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LNJ Logo ヒューマン・ライツ・ウォッチ:日本、移住労働者政策の改善と難民の受け入れ必要
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***動画のダウンロードは以下よりどうぞ:
http://media.hrw.org/index.asp?ID=IDNUB&lang=ENG&showEmbargoed=true


日本:移住労働者政策の改善と難民の受け入れ 必要
世界的な投資・援助国 しかし人権の指導力欠く

英語オリジナル: https://www.hrw.org/news/2017/01/12/japan-improve-migrant-treatm
ent-accept-refugees
日本語リリース: https://www.hrw.org/ja/news/2017/01/12/298898
 
(東京、2017年1月12日) - 日本に住むマイノリティの人びとは、人権の完全な享受に向
けて困難に直面しており、難民認定は非常に残念な状況だった、とヒューマン・ライツ・
ウォッチは本日発表の2017年世界人権年鑑で述べた。


ヒューマン・ライツ・ウォッチの日本代表の土井香苗は、「日本はアジアにおける重要な
民主主義国家であるが、それにみあうグローバルな倫理的指導力を示しているとはいえな
い」と指摘する。「シリア人を含む多数の庇護希望者に門戸を閉ざしている他、日本に入
国できた難民申請者もほとんど難民認定されなかった。」
 
発行27年目を迎える「世界人権年鑑2017」(全687ページ)で、ヒューマン・ライツ・ウ
ォッチは90を超える国々の人権状況を評価。その序文でケネス・ロス代表は、新世代の権
威主義的な大衆主義者が、人権を多数派の障がいとみなし、人権保護の概念を覆そうとし
ていると指摘。世界経済の発展から取り残されたと感じ、暴力的な犯罪への恐怖を募らせ
る人びとのために、市民社会団体、メディア、人びとは、これまで人権尊重型民主主義社
会が基礎を置いてきた価値を再確認するという重要な役割を負っている。2009年4月に東
京オフィスが開設されて以降初めて、世界人権年鑑に日本の章が加わった。
 
日本は、難民申請者や移住労働者にとって未だに厳しい国となっている。近年、難民認定
申請者数は大きく増加しているが、2016年上半期に難民として認定されたのは4名に過ぎ
なかった。外国人技能実習生(主に中国やベトナム出身で、工場労働や、農業、漁業、建
設業などに従事することが多い)に対しても、2010年以降労働法が完全適用されるように
なったものの、法的保護はいまだ脆弱であり、違法な残業や賃金未払い、強制帰国などの
人権侵害が2016年も続いた。
 
日本で同性婚は認められていない。しかし2016年、性的少数者への注目は増し、同性パー
トナーシップを認定する自治体も増加した。ヒューマン・ライツ・ウォッチは2016年報告
書でLGBTの子ども・生徒に対するいじめ問題を調査・検証したが、学校を含む日本社会に
おける性的指向・性自認に基づく差別に対応するための超党派議員連盟が立法議論を続け
たものの、十分な進展はみられなかった。
 
4月には、障がい者権利条約批准のための国内法整備の一環として日本政府が制定した「
障がい者差別解消法」が施行された。7月に障がい者施設「津久井やまゆり園」(相模原
市)で、26歳の男性により男女19人が刺殺され、27人が負傷した。しかしながら、地域社
会での自立生活を実現する権利の保障など、障がい者に対する偏見を解消するための抜本
的な改革は打ち出されていない。
 
日本の刑事法も人権の観点からは十分とはいえない。刑事訴訟法は、起訴前の被疑者を保
釈の可能性なしで、最長23日間拘禁することを認めている。また2016年中、3人の死刑囚
に絞首刑が執行された。
 
前向きな動きとして5月、児童福祉法の一部改正案が可決・成立。子どもが権利の主体と
して初めて明記された。本改正法はまた、施設から家庭へと社会的養護制度の大転換を謳
う。ヒューマン・ライツ・ウォッチが2014年報告書で強調したとおり、社会的養護下の子
どもの約85%が施設入所下にある現実がある。
 
安倍首相は2013年に「自由、民主主義、基本的人権、法の支配の基本的価値に立脚」した
外交を展開すると宣言した。しかし特にアジアにおいて、静かな外交が目立つことに変わ
りがなかった。2016年の安倍首相演説では、こうした価値を共有する国々との連携を深め
ると約束するにとどまった。主たる例外は北朝鮮であり、北朝鮮政府による日本人拉致問
題などに起因する。
 
日本は、フィリピン、タイ、カンボジア、ベトナム、ビルマといった深刻な人権問題を抱
えるアジア諸国に対し、多くの場合沈黙を貫いている。安倍首相は最近、訪日したフィリ
ピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領を歓迎したものの、麻薬撲滅戦争における6千人超の
超法規的殺害を非難しなかった。
 
米大統領選挙後、米国が多くの人権問題で指導力を発揮することに対する期待が低くなっ
たことを受け、土井代表は「アジア最大の民主主義国であり、世界第3位の経済大国であ
る日本がその指導力を示すために、安倍政権は特に重要な時期を迎えている」と指摘する
。「2017年の門出にふさわしいのは、難民と移住労働者の保護に向けた大胆な改革の実現
だろう。」

Created by staff01. Last modified on 2017-01-13 08:18:17 Copyright: Default

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