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なぜ何も答えないのか!〜「勾留理由不開示法廷」でOさんらが怒りの意見陳述

    山口正紀(ジャーナリスト)

 「裁判所前の男」Oさん(写真)が東京地裁に勾留理由の開示を求めた12月21日の法廷は、三浦裕輔裁判官が用意した文書を読み上げるだけで、弁護人の質問に何も答えない「勾留理由不開示法廷」になった。最後に、長谷川直彦弁護士、萩尾健太弁護士、当事者のOさんが意見陳述。「陳述は10分」と一方的に制限された中、3人は今回の逮捕・勾留の不当性、とりわけ裁判所の人権侵害を厳しく糾弾した。以下、3人の意見陳述要旨を紹介する。

◆「ワースト5に入るひどい勾留理由開示法廷」――長谷川弁護士

 きょうの勾留理由開示法廷は、これまで私が担当した中でワースト5に入るひどい法廷だ。裁判官は、勾留を認めた裁判官ではないのに、勾留状の被疑事実を読むだけで、勾留理由について具体的なことは何も言わない。中身が何もない「開示ゼロ」の法廷だ。
 被疑事実の建造物不退去罪は、住居の平穏を侵害する、そこにいることが平穏を害するという場合に適用される。しかし、裁判所は官公庁、つまり国民の財産であり、仮に裁判所に庁舎管理権があるといっても、不特定多数が出入りする場所だ。裁判所の庁舎に入ることは、裁判の公開、自由な傍聴のために必要であり、裁判傍聴権でもある。
 退去は、実害がなければ命じることは出来ない。きょうの説明では、なぜ退去を命ぜられたのか、まったく何もわからない。要注意人物というが、要は裁判所が気に食わない人間、好ましからざる人間は出ていけ、というレベル。具体的に「疑うに足りる相当の理由」は何も見当たらない。それは(勾留を認めた)泉(有美)裁判官の頭の中にあるだけで、それをあなた(三浦裁判官)が引き継いでいるだけではないか。
 裁判所職員のAさんが「出てってくれ」と言ったのに出なかったから、これで不退去罪というのは、常識では考えられない。「閉ざされた法廷」と判断せざるを得ない。
 勾留理由も何もわからない。勾留するには具体的理由がなければならない。逃亡の恐れも罪証隠滅のおそれも、何も説明されていない。即刻、勾留を取り消し、釈放すべきだ。

◆「起訴すれば憲法訴訟になっていく」――萩尾弁護士

 勾留状を見ると、「法廷内で録音機を使用する要注意人物」とあるだけで、具体的に、どのように「平穏を侵害」したのか、書いていない。何も法益を侵害していない。だから、裁判所に勾留する理由を開示してほしいと言ったのに、全く開示しない。
 Oさんは当日、法廷で録音機を使用したのか。また、仮に使用したとしても、それだけで退去命令の理由になるのか。法廷の平穏を害したことになるのか。現に今、裁判所はこの法廷で録音をしているが、これで何か平穏が侵害されたのか。非常に不公平だ。
 かつて、レペタメモ事件(法廷メモ訴訟、1989年最高裁判決。以後、傍聴者にも法廷メモが解禁された)までは、法廷でのメモも平穏を害するとされていた。本件も、もし起訴されたら憲法訴訟になっていくだろう。裁判所はそこまで見越しているのか。
 憲法上の権利は、何重にも保護されなければならない。Oさんが裁判所批判をやってきたことには根拠がある。彼に感謝している人は多い。
 録音機を使ってはいけない、と裁判所はOさんに事前に伝えていたのか。それも説明されない。不意打ちの逮捕は卑怯だ。現行犯逮捕で所持品を差し押さえたというが、証拠は開示されていない。釈放すると、何か工作するとでもいうのか。共犯者も存在しない。
 証拠隠滅の理由もないし、逃亡の恐れもない。無実の者が逃亡するか。Oさんは裁判所の監視活動をしているのであって、逃亡などまったく必要ないし、考えてもいない。
 釈放すると、裁判所批判を繰り返されるのが嫌だから、勾留を続けるのか。

◆「なぜ拘束するのか、なぜ何も答えないのか」――Oさん

 (裁判官が意見陳述を10分に制限したことについて)、なぜ10分なんだ。ふざけるな。なぜ10分か説明しろ。最高裁長官は、「わかりやすい、開かれた法廷に」と言ったはずだ。裁判官、おまえたちは最高裁長官の言うことを「くそくらえ」と思っているのか。最高裁長官をバカにしているのか。どうなんだ。
 でたらめ裁判官たちは、憲法違反ばかりしている。裁判は公平・公正でなければならないはずだ。裁判官、キミはこのことを認識しているか?都合の悪いことは、何も答えない。なんで、おれが拘束されなければならないんだ。なぜ、何も答えないんだ。
 法廷の録音・録画禁止は、憲法違反だぞ。裁判は公開が原則だ。録音も自由のはずだ。なぜ禁止しているんだ。どうしてだれも答えないんだ。規則は最高裁が作ったものだろう。しかし、われわれはそんなものには縛られない。従うのは、憲法と法律だけだ。
 お前たち裁判官は「裁判を公開している」と言う。しかし、民事訴訟は全部、書面のやり取りだけで、中身は傍聴者には何もわからないじゃないか。裁判は公開法廷でやるのが原則じゃなかったのか。それを、和解協議だ、進行協議だ、と書記官室でやっている。これは、裁判の公開原則に反したやり方じゃないか。
 判決について、裁判の当事者本人が「意味がわからないから説明してください」と頼んでも、裁判官はだれひとり答えようとしない。これほど無責任なことはあるか。本人に聞かれたら、なぜ説明しないんだ。
(ここで、裁判官が「あと1分」と言ったのに対し)ふざけるな。よく話を聞け。こんなものは裁判じゃないんだ。わかるか。
(裁判官が「もうやめなさい」と命令したが、Oさんが陳述を続けると、裁判官は「被疑者を退廷させなさい」と警備員に命じ、Oさんは、法廷から連れ出された)


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