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原発も「バランス良く食べよう」〜九電株主総会で瓜生社長

    林田英明


 *株主総会前に会場入り口でアピールする脱原発グループ

 4年ぶり復配がニュースとなった九州電力株主総会。6月28日、福岡市中央区のホテルニューオータニ博多で開かれた総会は昨年を下回る567人の参加者が3時間21分のセレモニーを見守った。会社提案の4議案を可決、脱原発派の株主提案7議案を否決した瓜生道明社長は5年目を迎え、余裕の指揮ぶりだったともいえよう。しかし私は、彼が原発を推進する理屈として言い放った「食べ物を食べる時にはバランスよく」とのセリフが今も耳から離れない。

●タイムキーパーで質問制限

 広い会場の正面左右には大きなモニターがついており、後ろの席からも会社説明の文字や役員の顔がよく見える配慮がなされてきた。だが今年から、質問者の制限時間3分をタイムキーパーでモニターに表示するようになったのには驚いた。これまでも、要領を得ない質問にしびれを切らしてヤジを飛ばす株主はいたが、今回からは3分を過ぎれば議長の瓜生氏だけでなく会社寄りの株主も堂々と「時間過ぎてるぞ!」などと議事進行を積極的に促していく。以前なら3分を過ぎても心にしみる質問や問いかけには“延長”してマイクを握っていた株主への無言の圧力である。

 会社の4議案は、‐衢抄發稜枦⊆萃役14人の選任4萄彩鬘蛙佑料任な箏膣萄彩鬘運佑料任。一方、「九電消費者株主の会」提案の7議案は、“鯑饌从事業部署の設置東京電力福島第1原発の事故原因に沿った新基準合格まで原発停止2仍海砲弔い討粒惱囘検討部門の設置で冢ЦΦ翩門の設置ゴ覿箸亮匆馘責任を果たすための第三者による社員研修委員会の設置κ射性核廃棄物処理企画検討部門の設置С貿確船汽ぅル事業からの撤退。

 3万株以上の賛同によって提案こそできるが、会社は数の力で封じ込める。翌日の産経新聞九州・山口版のように「瓜生社長『玄海再稼働 28年度内に』」「4年ぶり復配 歓迎の声」の見出しで株主総会を伝えるだけでは脱原発派の意図をくみとることはできない。他紙を読めば、瓜生社長が原発に対する不安を一蹴し「安全性に問題はない」と主張しているにすぎないことが分かる。ガス営業部の新設を見出しに取った新聞もある。朝日新聞が一報の夕刊で熊本県水俣市の永野隆文さん、翌日の朝刊で元熊本大学助教の神谷杖治さんをそれぞれ脱(反)原発の視点で写真付きの報道をしていたのが編集方針を感じさせた。

 だが、私にとって肝心の記事がなかなか見つからない。ようやく毎日新聞の経済面で質疑応答のコーナーにそれはあった。

《株主 原発中心の経営の妥当性を明らかにしてほしい。
瓜生社長 同じ食べ物ばかりでは死んでしまう。いろんな野菜も肉も食べることが重要だ。(火力発電や再生可能エネルギーだけでなく)温暖化対策などで総合的に優れている原子力は残していく。》

 これは、従前「ベストミックス」と九電は称していた。総会終了後に手渡された“宣伝土産”の小冊子『おしえて!電気のハテナ』を開くと「食事のように、エネルギーもバランスが大切です」の見出しが目に飛び込んでくる。グラフもあしらわれており、瓜生社長の言葉はこれに呼応する。だからこそ、「毒まで食うな!」という総会時の的確なヤジにも動じなかったのだろう。これは社是である。

●「安全」うたい続ける狂気

 原発は稼働すれば微量ながらも空と海に放射性物質が放出される。一定程度の健康被害ならびに死者の発生を織り込みつつも、個々の因果関係を立証できないため経済効果が喧伝される。福島原発事故が起こっても、今後は新たな「想定外」を起こさないよう努めるとうそぶいて再稼働へ突き進む。「安全神話」が崩壊しても瓜生社長は「安全確保を大前提に」と言う。その違いを問われると「最大限の自主的継続的な安全対策を実施してまいりたい」と抽象論でけむにまく。当然、ヤジが飛ぶ。「言葉に誠意がないぞ。軽く言うな」。だが、それに振り向くことはなく、次の質問者を指名するのだった。採掘段階から始まる被曝も、定期検査時の被曝も、そこに居合わせるわけではない者たちが「安全」をうたい、死の灰と呼ばれる核廃棄物を生み出し続ける。しかし、そんな狂気をみじんも感じさせない瓜生社長である。脱原発派の言う「公害企業」のトップは、こうでなければ務まらない。

 今回の配当は1株5円。瓜生社長のように2万4000株持っていれば12万円となるが、総会参加に最低必要な100株しか持たない私は500円だった。会場までの交通費にもならない。こうして不毛な総会は、破局の日まで繰り返されていくのだろうか。


Created by staff01. Last modified on 2016-07-18 13:33:24 Copyright: Default

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