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法廷に広がる涙と怒り〜メトロコマース「非正規差別なくせ裁判」山場

    佐々木有美


 *報告集会

 証言台に立つ後呂良子さん(写真下)の声がつまった。30秒の絶句。そして続けた。「ありがとうと言われた。あとでハンカチと手紙をもらった。その手紙には『後呂さんはこころのオアシス』と書いてあった。会社には評価されないが、お客は見ていてくれたのだ。これからもがんばろうと思った」。彼女は茗荷谷売店から豊洲売店に5月末に異動したが、その最後の日のエピソードだ。2014年5月に始まったメトロコマース20条裁判が山場をむかえた。6月23日、東京地裁で証人尋問が行われた。4時間30分の長丁場、100人近くの傍聴人が押し寄せ入れない人が続出した。

 ズッシリと手ごたえのある法廷だった。原告4人の証言に、傍聴席は一体となって、ときに涙し、怒り、共感した。会社側の向井総務部長(当時)の証言は、差別の理由を説明できず「覚えていません」を連発。原告弁護団から完膚なきまでに反論された。正社員と契約社員の間にはなんら業務上の違いはなく、差別だけが温存されてきたことが白日の下にさらされた。

 絶句は、後呂さんだけではなかった。瀬沼京子さんは、母親の介護のため退職し収入の道を絶たれたとき、姉妹に援助をたのんだという。苦しい選択だったと思う。正社員には認められている介護休暇が非正規の契約社員にはなかったからだ。疋田節子さんも、昨年の定年後の一時期、年金だけでは生活できず、取り崩していた貯金も8万円になって、途方にくれたという。大根の葉も大切に調理する毎日だった。

 加納一美さんの証言からは、売店勤務の過酷さが浮き彫りになった。早番の時は、家を朝5時に出る。遅番の時の帰宅は、夜中の12時。それが一週間ごとに変わる。交替がいないのでトイレには頻繁に行けず、お腹をこわさないように食べ物にも気をつけていたという。彼女は、3・11の翌日も一睡もせずに店を開けた。

 伝わってきたのは、4人の誠実で献身的な働きぶりだ。それが売り上げのアップや、客との心の交流を生み出した。それを契約社員だからとあたりまえのように差別し、平然としているメトロコマース。裁判報告会で後呂さんは、「裁判でも会社は、わたしたちに誠実に向き合わない。勝っても負けても会社の体質は変わらないだろう。でも労働者の意識は変った。闘い抜いていく」と力強く誓った。


Created by staff01. Last modified on 2016-06-25 15:52:21 Copyright: Default

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