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現代資本主義のラジカルな解明〜小野利明著『リーマンショック以後―変貌する資本主義』

    中野哲明
 格差が広がり、分裂する世界の現実をどう捉えるか。

 本書は、序章と気ら珪呂泙任裡管構成になっている。序章では著者が現代資本主義をどう見ているのかを、総括的に述べている。そこでは現代の金融独占資本が国民国家の枠を超えて、グローバルに利潤を吸い上げる能力を持ったと同時に、巨大な資本蓄積そのものが資本主義世界を長期の停滞へ引き込み、その結果、貧富の格差が広がっていると主張する。この観点から第犠呂任魯檗璽襦Εルーグマンやトマ・ピケティに対して徹底した批判を行う。蕎呂任話者自身の現代資本主義観―長期停滞論―を展開している。珪呂任話者の資本主義観の基礎にあるローザ・ルクセンブルグとエルネスト・マンデルの理論を検討している。

 それにしても、外国人排斥、テロリズムが横行する世界は、今後どうなるのか。

 希望の一つに、バーニー・サンダースが若者たちの支持で米大統領予備選挙で健闘していることをあげたい。しかし、注目されているのは、トランプが共和党大統領候補となるというニュースの方である。トランプの動きは、排外主義の台頭というヨーロッパでも東アジアでもクローズアップされている動きのひとつとみることができる。ポピュリズムの台頭である。

 マスコミは「ではなぜポピュリズムが台頭するのか」について、あいまいな説明しかしない。差別はよくないという道徳的な立場を表明をして、すますのがせいぜいということになる。

 しかし、著者はクルーグマンやピケティを批判しつつ、「道徳的な批判では、広範な人々を資本主義批判へ向けた共同行動に結集することはできない」とする。「利潤追求の過程そのものが、資本主義の政治的・経済的・社会的矛盾が累積する過程である」ことを丹念に追究し、その成果を本書に結実させている。

 アメリカの大統領選挙にむけた予備選挙で、民主社会主義だと自己規定するサンダース候補が、なぜ予備選挙終盤まで戦うことができるのか。著者はリーマンショック以後のアメリカ、そして世界が露呈している深刻な危機に現代資本主義の停滞が深く関与していることを明快に提示する。そこから先は読者自身の考える課題となる。

 今、安倍政権と闘う若い世代にとって本書は、みずからの闘いが「どこから来たのか。そしてどこへ行くのか」を明らかにする手掛かりを与えてくれるはずだ。

<2016年3月発行 績文堂出版 1800円+税>
申込み http://www.sekibundo.net/new/new31.html


Created by staff01. Last modified on 2016-05-18 11:54:52 Copyright: Default

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