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LNJ Logo 処分撤回を求めて(355)<速報>河原井・根津裁判 高裁で逆転勝訴/再雇用二次  控訴するな!都教委要請行動報告
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News Item 1432830905501st...
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東京・全国の仲間の皆さんへ。

被処分者の会・東京「君が代」裁判原告団の近藤です。

「処分撤回を求めて(355)<速報>河原井・根津裁判 高裁で逆転勝訴/再雇用二次
 控訴するな!都教委要請行動報告」を送信します。大変長くなりますが、最
後までお読みいただけたら幸いです。

◆都教委にダブルパンチ 河原井・根津裁判 高裁で逆転勝訴!

本日5月28日、2007年卒業式での「君が代」斉唱時の不起立による職務命令違反を
理由とした河原井さん(都立八王子東養護学校・当時)の停職3月、根津さ
ん(町田市立鶴川二中・当時)の停職6月の処分取消訴訟において東京高裁(第14民事
部須藤典明裁判長)は機械的な累積加重処分を明確に否定して「裁量権の逸
脱・濫用」で「違法」として、両処分の取り消し、さらに精神的苦痛に対する慰謝料各1
0万円の支払いを命じ、一審地裁判決を変更して逆転勝訴の画期的な判決を出し
ました。

一審東京地裁では、河原井さんの停職3月の処分を取り消したものの根津さんの停職6月
の処分を適法とし、両人の損害賠償請求を棄却していました。また、根津さ
んは最高裁で減給6月、停職1月、停職3月の取消請求がを棄却されており、東京高裁で
の逆転勝訴は無理だと思われていました。

須藤裁判長は、主文」を読み上げた後、「判決要旨を述べます」といい、普通は用意した
ペーパーを読むだけですが、ペーパーを見ることもなく傍聴席に向かって抑揚を
つけ語りかける調子で約10分も(驚きです!)判決要旨を述べました。

これにより都教委は、10・23通達(2003年)関連の事件で、25日の再雇用拒否
撤回第二次訴訟に続いて敗訴し、再び断罪され、今週だけで司法より痛烈なダブ
ルパンチを浴びせられられました。また、東京「君が代」裁判三次訴訟の31件・26名
の減給・停職処分取り消しを除いても、都教委が係わる事件で6連敗(再発防止
研修未受講事件(原告福嶋さん)、再任用更新拒否事件(原告杉浦さん)、条件付き採用
免職事件(Yさん)、Oさん免職事件の執行停止申立、再雇用拒否撤回二次訴
訟、今日の河原井・根津停職事件)となり、都教委の異常性を際だたせる結果となりまし
た。、

<判決 主文(抜粋)> (  )内は近藤の注
1 控訴人ら(河原井さん・根津さん)の控訴にに基づき、原判決中、控訴人らの敗訴部
分を取り消す。
2 東京都教育委員会が控訴人根津に二対してした平成19年3月30日付け懲戒処分を
取り消す。
3 被控訴人(東京都)は、控訴人河原井に対し、10万円及びこれに対する平成19年
3月30日から支払い済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。
4 被控訴人は、控訴人根津に対し、10万円及びこれに対する平成19年3月30日か
ら支払い済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。
5 控訴人らのその余の請求を棄却する。
6 被控訴人の控訴を棄却する。
7,8 略

<判決文より抜粋 印象的なところ>

・処分量定について 
(停職出勤などに言及した上で)これらの行為は,前回根津停職処分が間違っているとの
控訴人根津の意思を表明する行為であって,・・・上記の行為を勤務時間中に勤
務場所で行ったのではなく,・・・具体的に学校の運営が妨害されたような事実はなく,
「日の丸」「君が代」が戦前の軍国主義等との関係で一定の役割を果たしていた
とする控訴人・・・の歴史観や世界観に基づく思想等の表現活動の一環としてなされたも
のというべきであるから。・・・本件根津停職処分における停職期間の加重を基
礎づける具体的な事情として大きく評価することは,思想及び良心の自由や表現の自由を
保障する日本国憲嬢の精神に抵触する可籠性があり,相当ではないというべきで
ある。
 
・・・停職処分は,・・・処分それ自体によって一定の期間における教員としての職務の
停止及び給与の全額不支給という直接的な職務上及び給与上の大きな不利
益を与える処分であって,将来の昇給等にも相応の影響が及ぶだけではなく,・・・条例
によれば,停職期間の上限は6月とされていて,停職期間を6月とする本件根津
停職処分を科すことは,・・・更に同種の不起立行為を行った場合に残されている懲戒処
分は免職だけであって,次は地方公務員である教員としての身分を失うおそれが
あるとの警告を与えることとなり。その影響は。単に期間が倍になったという量的な問題に
とどまるものではなく,身分喪失の可能性という著しい質的な違いを・・・意
識させざるを得ないものであって,極めて大きな心理的圧力を加える結果になるものであ
るから十分な根拠をもって慎重に行われなければならない・・・。

・本件各処分の違法性及び都教委の過失の有無について
本件各処分が懲戒権者としての裁量権の範囲を逸脱してなされたものとして違法であるこ
とは、上記説示の通りであるが、・・・都教育庁指導部は,平
成14年11月に本件指導資料を作成し,国旗・国歌の法制化に当たり,主要国会審議におけ
る内閣総理大臣,文部大臣及び政府委員からの答弁・・・を掲載したが,そ
の中には,学校における国旗・国歌の指導と,児童・生徒の内心の自由との関係について
の答弁として,「学習指導要領に基づいて,校長,教員は,児童生徒に対し国
旗・国歌の指導をするものであります。このことは,児童生徒の内心にまで立ち至って強
制しようとする趣旨のものでない」との内閣総理大臣の答弁,「単に従わなかっ
た,あるいは単に起立をしなかった,あるいは歌わなかったといったようなことのみをも
って,何らかの不利益をこうむるようなことが学校内で行われたり,あるいは児
童生徒に心理的な強制力が働くような方法でその後の指導等が行われるということはあっ
てはならない」との政府委員の答弁が掲載されていることが認められ,上記答
弁をみると,国旗国歌法制定に至る国会審議の過程においても,国旗国歌に対する起立及
び国歌斉唱には,日本国憲法が保障している思想及び良心の自由との関係で微
妙な問題を含むものであること・・・「個人の歴史観ないし世界観に由来する行動(敬意
の表明の拒否)と異なる外部的行為(敬意の表明の要素を含む行為)を求められ
ることとなり,その限りにおいて,その者の思想及び良心の自由についての間接的な制約
となる面があること」・・・が意識されていたことが認められる。したがっ
て,国旗国歌法制定に当たって,外部的行為は,思想及び良心の自由との関係で微妙な問
題を含むものであることにも配慮して,起立斉唱行為を命ずる職務命令に従わ
ず,殊更に着席するなどして起立しなかった者について懲戒処分を行う際にも、その不起
立の理由等を考慮に入れてはならないことが要請されているものというべきであ
る。

・・・また,・・・処分量定はあくまで標準であり,個別の事案の内容や処分の加重につ
い・ては,表に掲げる処分量定以外とすることもあり得るものと定められている
ことを考慮すると,本件処分量定が定めている「処分量定の加重」ということは,必ず加
重しなければならないという意味での必要的な加重を定めているものではない
と解される。しかも,上記認定のとおり,本件指導資料に掲載された本件国会審議答弁に
は,国旗・国歌の指導に関する教職員への職務命令や処分についての答弁とし
て,「職務命令というのは最後のことでありまして,その前に,さまざまな努力というこ
とはしていかなきゃならないと思っています。」との文部大臣の答弁,「実
際の処分を行うかどうか,処分を行う場合にどの程度の処分とするかにつきましては,基
本的には任命権者でございます都道府県教育委員会の裁量にゆだねられているも
のでございまして,任命権者である都道府県におきまして,個々の事案に応じ,問題とな
る行為の性質,対応(ママ),結果影響等を総合的に考慮して適切に判断すべき
ものでございます。・・・なお,処分につきましては,その裁量権が乱用されることがあ
ってはならない」との政府委員の答弁,「教育の現場というのは信頼関係でござ
いますので,・・・処分であるとかそういうものはもう本当に最終段階,万やむを得ない
ときというふうに考えております。このことは,国旗・国歌が法制化されたとき
にも全く同じ考えでございます。」との文部大臣の答弁が掲載されていることが認められ
るのであって,このような上記答弁の趣旨は,国旗国歌法制定に当たり,国
旗の掲揚や国歌の斉唱に関する指示や職務命令等に従わない教職員に対する懲戒処分を発
令する場合には,問題となる行為の性質,態様,結果,影響等を総合的に考慮し
て適切に判断すべきであることや、園発令が合理的な裁量嫌悪範囲を逸脱したり、裁量権
を濫用してなされるものであってははならない・・・。

・(体罰の事案との比較で 累積加重処分について)都教委は,体罰に至る背景事情,体
罰等の態様,傷害の有無・程度,児童・生徒への影響,過去の処分等を総合
的に判断し,.量定を決定しており,個別の事案ごとに処分を決定し,あらかじめ体罰の回
数に応じて機械的に一律に処分を加重していくという運用はしていないこと
が認められる。

そうすると,本件処分量定においても,本件国会審議答弁においても,機械的に一律に処
分を加重して行うことには,もともと慎重な検討が要
請されていたものということができる。しかるに,都教委は,上記認定のとおり,平成15
年11月から12月にかけて行われた都立学校の周年記念式典以降,入学
式,卒業式又は周年記念式典において,校長から起立斉唱行為を命ずる職務命令が発せら
れていたにもかかわらず,国歌斉唱時に起立しなかった教職員に対して,職務命
令違反として,1回目は戒告,2回目は給与1月の月額10分の1を減ずる減給,3回目は給与6
月の月額10分の1を減ずる減給,4回目は停職1月,5回目は停
職3月,6回目は停職6月の各処分を行っており,このような機械的な運用は,もともと機
械的に一律に加重して処分を行うことには慎重な検討を要請していた本件国会
審議答弁における各答弁内容や本件処分量定を定めた趣旨に反するものといわざるを得な
い。しかも,このような学校における入学式,卒業式などの行事は毎年恒常
的に行われる性質のものであって,しかも,通常であれば,各年に2回ずつ実施されるも
のであるから,仮に不起立に対して,上記のように戒告から減給,減給から停
職へと機械的に一律にその処分を加重していくととすると,教職員は,2,3年間不起立を
繰り返すだけで停職処分を受けることになってしまい,仮にその後にも不起
立を繰り返すと,より長期間の停職処分を受け,ついには免職処分を受けることにならざ
るを得ない事態に至って,自己の歴史観や世界観を含む思想等により忠実であろ
うとする教員にとっては,自らの思想や信条を捨てるか,それとも教職員としての身分を
捨てるかの二者択一の選択を迫られることとなり,・・・日本国憲法が保障して
いる個人としての思想及び良心の自由に対する実質的な侵害につながるものであり,相当
ではないというべきである。

・(累積加重処分の否定)
上記のところを考慮するならば,被控訴人においては,起立斉唱の職務命令に反して起立
して斉唱しなかった控訴人らに対して不利益処分を
科す際には,その処分が控訴人らの個人的な思想及び良心の自由に対しても影響を与える
ものであることを十分に考慮した上,不起立の回数に
よって機械的かつ一律に加重して処分を行うのではなく,本件各処分の対象となった不起
立等の態様や,不起立によって式典にどのような影響
が生じたのか等を個別具体的に認定し,想定される処分がなされた場合に生ずる個人的な
影響や社会的な影響等をも慎重に検討した上で,それ
ぞれの非違行為にふさわしい処分をすべきものであった。

しかるに,本件では,都教委が控訴人らに対して本件各処分を行うに当たり,本件各不起
立の性質,実質的影響,本件各処分によって控訴人
らが受けることになる不利益,社会的影響等についても十分に考慮した上で慎重に検討さ
れたことを認めるに足りる的確な証拠はない。そうで
ある以上,本件各処分には懲戒権者に与えられている合理的な裁量権の範囲を逸脱した違
法があるものといわざるを得ず,しかも,上記認定の
とおり,本件指導資料に掲載された本件国会審議答弁の内容やその趣旨は、都教委関係者
は当然い理解しておくべきであって、・・・機械的かつ一律に処分を加重するこ
とを許容すべき者ではないことは明らかで・・・
都教委には本件各処分に際して過失があったものと言わざるを得ず、国賠法上も違法性が
認められるというべきである。


◆控訴するな!都教委要請行動報告 都教委は控訴の動きが判明

上記、河原井さん・根津さん停職処分取消訴訟判決の後、5月25日の再雇用拒否撤回第
二次訴訟の勝訴判決を受けて都教委要請行動を行い、都教委に控訴断念を迫りま
した。原告ら17名が参加し、都教委側は教育庁総務部教育情報課長、同広聴担当課長代
理が対応しました。

東京都では、損害賠償金額が3000万円を超える事案について控訴するには、都議会の
承諾が必要なことから、東京都は2週間の控訴期限に間に合わせるために、承
諾を得ようと都議会各会派に出向いて説明していることが、都議会情報として、要請行動
の前に明らかになっています。

なお、原告団は、都教委要請行動の後、共産党都議団(都教委に「控訴するな!の要請を
計画中)、都議会生活者ネットを訪ねて協力を依頼しました。その中で、6月1
9日の都議会文教委員会で控訴について改めて「議案」になることが分かり、その時はま
た都議会文教委員会の傍聴行動を提起するので(詳細は後日連絡)、多くの参
加をお願いします。

<都教委要請書 項目のみ>

2015年5月28日
東京都知事   舛添 要一殿                           
東京都教育委員会 教育長 中井 敬三殿
再雇用拒否撤回を求める第二次原告団  
 代表 泉 健二  他23名 

22名の原告に対して謝罪と即時賠償を求める要請

1.控訴を断念すること。
2.原告から定年退職後の職を奪ったことに対して誠意をもって謝罪すること。
3.原告に対して、ただちに損害賠償の手続きに入ること。
4.司法に「違法」とされた再雇用拒否を行った責任の所在を明らかにし、再発防止策を
講じること。
5.別件の同種の訴訟に対しても請求を受けること。
6.10・23通達及びそれに基づく職務命令を撤回すること。
7.上記の職務命令違反等による懲戒処分を撤回すること。
8.本要請書を教育委員会で配付し、慎重に検討、議論し、回答すること。


処分者数一覧表等更新。入学式処分・再処分抗議声明等掲載。
「お知らせ」、通達関連裁判進行状況等随時更新。
各種判決文、声明文、行動予定、資料等入手可能。
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「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会
東京「君が代」裁判原告団
事務局長 近藤 徹
携帯:090−5327−8318
e-mail:qq947sh9@vanilla.ocn.ne.jp
事務所:〒160−0008 新宿区三栄町6 小椋ビル401号
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