本文の先頭へ
LNJ Logo 木下昌明の映画批評『沖縄 うりずんの雨』
Home 検索
 


●ジャン・ユンカーマン監督の『沖縄 うりずんの雨』

史実に刻み込まれた「沖縄戦」〜沖縄の戦後史を“いま”に問う


     (C)2015 SIGLO

 沖縄では、普天間基地移設の名目で辺野古に新基地が造られつつある。推進する政府と反対する住民との闘いは今も続いており、すでに『圧殺の海』『泥の花』『戦場ぬ止み』の3本のドキュメンタリー映画となって上映されている。浅瀬の海での果てしない攻防の映像をみていると、現場に居合わせたかのような切迫した気持ちに駆りたてられる。

 沖縄の“いま”に至るまでを歴史的に問う映画が、ジャン・ユンカーマン監督の『沖縄 うりずんの雨』だ。沖縄と米軍との、70年に及ぶ関わりを捉えているのが特徴だが、もう一つ、監督は米国出身で、沖縄で反戦米兵に対する支援の経験もあり、「日本国憲法」など日本の問題を描いているドキュメンタリストであることだ。

 タイトルの「うりずん」は、沖縄の方言で「潤い初め」を意昧し、木々が芽吹く時期を指す。つまり、1945年の木の芽時に行われた「沖縄戦」を表している。

 映画は「沖縄戦』を第1部とし、「占領」「凌辱」「明日へ」の4部構成。1部では当時の米軍の記録フィルムをふんだんに盛り込み、日米元兵士らの体験談を重ねている。短いが注目したのは、住民が収容所に入れられている間に米軍が土地を接収し、大型車両を使って10か所も空軍基地を造るシーン。これが世界に米軍基地を増やしていく原点となったのか、と考えさせられる。

 「凌辱」では、6歳の少女が米兵に強姦された揚げ句、ゴミ捨て場に捨てられた話や、12歳の少女を襲った元米兵3人のうちインタビューに応じた一人が、今なお後悔し、苦しんでいることを明かすなど、やりきれない気分にさせられる。隠されていた事実として、沖縄基地内では、米兵の女性兵士に対する性暴力が年間で推定200件起きていると明かし、驚かされる。

 日本の戦後史は、沖縄の基地問題抜きには語れないと痛感した。
(木下昌明・『サンデー毎日』2015年6月28日号)

*東京・岩波ホールで公開中。全国順次公開。

〔追記〕沖縄戦は6月23日に終結した。この日は「慰霊の日」とされている。NHKの『沖縄戦全記録』をみると日本軍は住民を巻き込み、軍民一体となる絶滅(に至るまで)戦争をくり広げていたことがわかる。元兵士の一人が「沖縄戦はずっと進めていけば、日本軍の愚かな戦争に到達する」と述懐している。子どものころ、沖縄戦の映画『健児の塔』(52年)や『ひめゆりの塔』(53年)を見にいった。暗い夜道をトボトボ帰ったが、映画の上とはいえ戦争の悲惨さを味わったのが、この時はじめてだった。


Created by staff01. Last modified on 2015-06-23 12:21:39 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について