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LNJ Logo レイバー映画祭2014 率直な感想(正木斗周)
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正木斗周です。

 ひと通りの感想を。

 映画を見て、そのあといろんな人と話す機会があったのですが、人によって評価がこんなに違うのかと、自分の気持ちも揺れているような状態ですが、まずは直感的に感じたことをできるだけ素直に書きます。。

 遠方からの参加でしたので、残念ながら午前中の『60万回のトライ』は未見。ただ、「ぜひ見ろ」「関西でも上映会をやれ」という声をたくさん聞きました。

◆『あしたが消える』

 よかったという声をたくさん聞きました。が、私は今回の上映作品の中ではいちばん評価しない作品。いまこの作品を見ることの意味は何かというところで、引っかかりを感じました。

 ずっと以前から原発の問題は指摘されていたのだということを知ったとして、そこから何を教訓として引き出すのか。原発に否定的な意見を持った人たちが、「やっぱりそうだった」と自分たちの考えを自己肯定する以上のものがあったのかどうか。

 この作品の選択自体が、原発に関心の薄い人に向けてではなく、すでによくわかっている仲間同士で頷きあうための、自閉的な方向性を持っていたのではないかと私は思わずにはいられないのです。

 チェルノブイリと福島を重ねた図に予見性を感じるのは自由ですが、福島が選ばれたのはおそらく「たまたま」で、他のどこよりも福島で事故が起きる可能性が高いと理論的に予見したものではないでしょう。結果論として〈当たり〉だったことを「すごい」と感心しても、それだけにすぎない、と思います。

◆『A2-B-C』

 外国人監督だからという特殊事情があるのかどうか、非常に素直に、しなやかに被写体となっている人々の中に入り込んでいっている撮影姿勢にまず感心。
 
 そして冒頭の、子どもたちがマスクをして公園の遊具で遊んでいるシーン。子どもたちの口から「放射能」という言葉が自然に出てくるこの不自然さ。事故前にこんな映像をドラマで作ったら、SFどころでない、荒唐無稽な物語だと一笑に付されたのではないかと思えるほど、この現実の異常さが見事に表現されていて、私はめまいに似た感覚すらおぼえました。

 終わり近くの2人の対話で、「もっと怒ってもいいんだ」と語りあうシーンには大いに共感したのですが、逆にこのシーンはよくないという意見もかなり聞きました。それ以前の流れから切れて唐突に挿入されている点、2人の感情が内に向かって完結してしまっている点に、引いてしまった人も多かったようです。

 私も、あそこで泣かずに毅然と言い放たれていればなぁという感想は持ちました。

◆『続・メトロレディーブルース』

 まことにビデオプレスらしい正攻法ドキュメンタリーといえるのではないでしょうか。「白浪五人女」のシーンが少々バランスを欠くほどに長いとは思いましたが、切るに切れない映画の目玉だったのでしょう。観客を引きつけるに十分な面白い
シーン。

 鑑賞後、ひきこもりの息子さんと、これからの裁判のことがずっと心に引っかかっています。「完」の文字のあとも現実は終わらない、ドキュメンタリーならではと言うしかありません。

◆『貪欲の帝国』

 大変申し訳ないけれど、冒頭から本論に入るまでの長い平板なシーンの連続に、つい寝てしまいました。

 ここで扱われている事態の前提となるべきものが共有されていないために、意味の分からない部分が多々あり、論評できるほどにはきちんと鑑賞できていません。

 素朴に考えて、サムスンだけにあれほどの傷病が発生しているのはなぜなのか、納得させてもらえないまま裁判の原告被告の対立が語られていて、原告を応援してよいのかどうか、私にはわかりませんでした。もっとも、寝ている内にその辺りの説明があったのならゴメンナサイですが。

 鑑賞後に他の人にも聞いてみましたが、何人もの人から「よくわからなかった」という答えが返ってきました。背景知識を欠いたままの観客に問題があると同時に、編集次第でもっとよくなる作品だし、もうちょっとよくしないと、運動としても損をする映画だと感じた次第です。

以上


Created by staff01. Last modified on 2014-07-29 12:05:26 Copyright: Default

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