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・「都教委包囲首都圏ネットワーク」
・「新芽ML」
の渡部です。

昨日(211日)の「建国記念の日」に向けて

安倍首相が初めてメッセージを発表した。

それは以下のようなものであった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「建国記念の日」は、「建国をしのび、国を愛する心を養う」という趣旨により、

法律によって設けられた国民の祝日です。

 この祝日は、国民一人一人が、わが国の今日の繁栄の礎を営々と築き上げた

いにしえからの先人の努力に思いをはせ、さらなる国の発展を誓う、誠に意義深い日であると考え、

私から国民の皆様に向けてメッセージをお届けすることといたしました。 

 古来、「瑞穂の国」と呼ばれてきたように、私たち日本人には、田畑をともに耕し、

水を分かち合い、乏しきは補いあって、五穀豊穣(ごこくほうじょう)を祈り、

美しい田園と麗(うるわ)しい社会を築いてきた豊かな伝統があります。

 また、わが国は四季のある美しい自然に恵まれ、

それらを生かした諸外国に誇れる素晴らしい文化を育ててきました。

 長い歴史の中で、幾たびか災害や戦争などの試練も経験しましたが、

国民一人一人のたゆまぬ努力により今日の平和で豊かな国を築き上げ、

普遍的自由と、民主主義と、人権を重んじる国柄を育ててきました。

 このような先人の努力に深く敬意を表すとともに、この平和と繁栄をさらに発展させ、

次の世代も安心して暮らせるよう引き継いでいくことはわれわれに課せられた責務であります。

 10年先、100年先の未来を拓(ひら)く改革と、未来を担う人材の育成を進め、

同時に、国際的な諸課題に対して積極的な役割を果たし、

世界の平和と安定を実現していく「誇りある日本」としていくことが、

先人からわれわれに託された使命であろうと考えます。

「建国記念の日」を迎えるに当たり、私は、改めて、私たちの愛する国、日本を、

より美しい、誇りある国にしていく責任を痛感し、決意を新たにしています。

 国民の皆様におかれても、「建国記念の日」が、

わが国のこれまでの歩みを振り返りつつ先人の努力に感謝し、自信と誇りを持てる未来に向けて

日本の繁栄を希求する機会となることを切に希望いたします。

       平成26年2月11日

           内閣総理大臣 安倍晋三

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ここには、あたかももっともらしいことが書いてある。

しかし、これは極めてデマゴギーに満ち満ちたものである。

全てについての論評は避けるが中心的なことについて述べたい。

 

それは、「建国記念の日」の211日という日付は、

明治初期に定められ「紀元節」と同じ日であり、

『日本書紀』にある神武天皇が即位したとされる日

(辛酉(かのととり)年春正月庚(かのえ)(たつ)(ついたち))に由来する。

 

「紀元節」は1948年に廃止されたが、

1966年に「建国記念の日」として復活したの。

なぜ「の」が入ったかといえば、その日付に科学的な根拠がないからである。

 

戦前、『古事記』や『日本書紀』は<皇国史観>の原典になった。

要するに「建国記念の日」はその<皇国史観>に基づくものであり、

今回安倍首相は、その<皇国史観>を前面に出してきたわけである。

まさにここでも「戦前回帰」が行われている。

 

では、日本の人々の中では、ずーっと<皇国史観>が

当たり前のように信じられてきたのであろうか。「否!」である。

 

今年1月6日、安倍首相が「伊勢神宮」を参拝した時に、

私は江戸後期大阪の町民学者・山片蟠桃(やまかたばんとう)の『夢の代』

という書から、神社・鬼神批判の部分を紹介した。

 

実は彼は、この書の「巻之三 神代第三」の中で、

『古事記』や『日本書紀』をも徹底的に批判しているのである。

その中から以下三つほどの記述を紹介する。

 

冒頭には次のようにある。

 「日本書記ハ舎人親王及ビ太ノ安磨呂ノ五臣ニ勅シテ著ス処ニシテ、

 本朝第一ノ正史ナリ。浅学ノ児輩(蟠桃のこと)ナンゾコレヲ議セン。

 シカリトイヘドモ、疑ハシキハ疑ヒ、議スベキハ議ス。」

『日本書紀』は日本で第一の正史だが、疑わしいのは疑う、

議論すべきは議論する、と述べている。

 

その後、次のような記述もある。

 「日本へ文字渡リシコトハ、応神天皇ノ御宇(治世の期間)ニシテ、

 ソノ後ノコトハ〔事〕実明白ナリ。ソレマデノコトハ。口受伝説ニシテ

 実ヲ得ベカラズ。」

日本へ文字が渡ったのは応神天皇の頃なので、

その後のことは事実が明白だが、それまでのことは

口づたえや伝説なので、事実かどうかわからない、と述べている。

 

そして、伊勢神宮の「天照大神」については次のような記述がある。

 「マタ中根元圭(なかねげんけい。江戸中期の算学者)(いわく)

 『天照大神即位甲寅(きのえとら)ヨリ大永三年癸未(みずのとひつじ)ニ至ル

 二百三十四万四千六百五十年』ト。

 天照大神の即位ト云モヲカシ。小児トイヘドモ豈(あに)コノ年数ヲ

 信ゼンヤ。」

中根元圭(算学者)は、

天照大神の在位は234万4650年間と言っている。

天照大神の「即位」ということもおかしい。

小児といえどもどうしてこの年数を信ずることができるだろうか、

と述べている。江戸時代には中根氏のような算「学者」もいたらしい。

 

また、神武天皇より神后天皇までについても次のように記している。

 「神武ヨリ神后マデノコトタリトモ、文字ナケレバ知(しる)ベカラズ。

 マタ日本紀ニ神武已来(いらい)歳日ノ甲子(かつし。十干十二支のこと)

 シルストイヘドモ、コレ亦(また)(しんず)ベカラズ。

 スデニ文字アリテノ後トイヘドモ、文献足ラザレバ伝ルコトカタシ。

 況(いわ)ンヤ文字ナキ時ヲヤ。」

神武天皇より神功皇后までについては、文字がないので知ることはできない。

『日本書紀』には神武以来、十干十二支が記されたと言っても、信じてはならない。

すでに(中国にて)文字があって後のことと言っても、

(日本に関する)文献が足りないので、(現在まで)伝えることは難しい。

いわんや、日本では文字がない時である、と述べている。

 

このように、日本の一般大衆の学者の中には、

江戸時代後期において、『古事記』や『日本書紀』に対して

科学的な見方をしていた学者もいたのである。

もちろんここには<科学的な歴史観>はあっても、

<皇国史観>などはない。

 

安倍首相やその取り巻きの

「学者」「文化人」「政治家」らの認識は、

それよりもはるかに遅れているのである。

時代遅れ(アナクロニズム)、神がかり(ファナティシズム)

も甚だしいと言わざるを得ない。

 

しかし、戦前このようなバカげた考えで、

1934年に始まった国体明徴運動の中で、

美濃部達吉氏の「天皇機関説」が槍玉に挙げられ、

1935年には氏は貴族院議員を辞職せざるを得なかった。

このまま進めば、今また同じようなことが繰り返されかねない。

 

安倍政権の「時代遅れ」「神がかり」に対する批判を強めよう。

 

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