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涙と笑いと告発〜明日への活力もらった「レイバー映画祭」

7月26日、東京・港区の田町交通ビルホールで「レイバー映画祭2014」が開催された。連日の猛暑日で熱中症患者の報道が絶えないが、この日も朝から快晴。朝の田町駅では、道案内役の乱鬼龍師匠に声をかける女性の姿も。以下に簡単な感想を書いてみた。

■未来への希望を見た

最初の作品は『60万回のトライ』。大阪朝鮮高級学校ラグビー部の生徒たちが、全国制覇をめざす道のりを描いた青春物語だ。日本の学校の高校生にあたる子どもたちは純真そのもの。格闘技系の肉体美を誇示しながら、クラスメートとじゃれあう姿が実にほほえましい。帰国事業で北朝鮮に住む親戚を訪ねたり、同年代の在日同胞をキャンプに誘うシーンは貴重な一コマだ。少し冗長とも感じた前半を過ぎると、涙の連続になる。練習中の口論に分け入って諭す監督。勝利の後の慢心をいさめるOBの言葉が胸を打つ。ベスト4に進むも惜敗したチーム。ラストシーンで部員たちは、それぞれの思いを抱いて、学び舎を巣立っていく。

スポーツは政治を超えない。それでも政治と差別の厚い壁を打ち破ろうと懸命になる姿は感動を呼び、社会変革への息吹を伝える。2019年のワールドカップをめざす日本選抜チームと朝高の友情試合。終了後、笑顔で肩を叩き合うシーンに、さわやかなスポーツマンシップと未来への希望を見た。


      *写真=バク監督・朝鮮学校生が登壇

■原発労働めぐる遺族の葛藤

30分という短い昼休みをはさんで、第二部が始まる。『あしたが消える どうして原発?』は、1989年の作品。チェルノブイリ事故から3年後になる。福島原発で働き、家族を支えてきた父がガンで他界する。その娘である主人公は、死の真相を知ろうと運動に関わり始める。終始原発を肯定してきた父と、放射能の危険性や死の因果関係とのはざまで葛藤する女性。静かな口調だからこそ、その言葉が心に響く。デジタル画質に慣れた私たちが、当時の映像に触れる新鮮さ。福島の事故を予言するかのような内容は、まさに温故知新といえる。

『A2-B-C』は、日本在住の米国人監督によるフクシマのレポート。解説も音楽もなく、ひたすら現地住民の声を取りあげる。無邪気に遊ぶ子供たちの傍ら、一枚の柵を隔てた高線量地帯。カウンターの数値がみるみる上がっていく。派手に打ち出される復興キャンペーンとは裏腹の厳しい現実。屋根瓦を一枚ずつ手で拭く除染作業。なぜ瓦をそっくり取り換えないのか。現地の作物を買うことが、被災者を支援することになるのか。「生産者が加害者になりかねない」との言葉には、同感する部分が多い。

■スクリーンへ拍手喝さい

5本の作品中、会場がいちばん盛り上がったのが『続・メトロレディブルース』だ。東京メトロの売店で働く非正規労働者の闘いを描く。組合結成からストライキ突入そして裁判闘争まで。個性豊かな組合員の女性たちは、圧倒的な存在感で観客を沸かせている。

スクリーンは東京東部労組のセレモニー会場を映し出す。ステージで「白浪五人女」を披露する彼女らにカメラは肉薄。まるでその集会に参加しているように錯覚して、来場者は喝采の拍手を送る。

一人ひとりの生活にも入るカメラ。引きこもりや介護など、それぞれが抱える困難を共有することで、他人事ではない重い課題を問いかける。

メトロの売店は通勤経路、作品の舞台はまさに目の前にある。嘘や誇張のない等身大の闘いが、大きな説得力を持って見る者を釘づけにする。労働組合の本来の姿がここにある。


    *写真=『続・メトロレディーブルース』のトーク

■巨大企業の光と影を映す

『貪欲の帝国』は、韓国のグローバル企業サムスンにおける労災事件を取りあげた作品だ。半導体製造工程に従事する労働者に、白血病やガンが多発。すでに66人が死んでいるという。

社屋の前で抗議闘争を続ける被害者らをレンズは追う。若者たちに人気の巨大企業の実態を暴こうとするドキュメンタリーだが、取材上のさまざまな制限からか、ある程度の予備知識がないと分かりにくい面もある。

夏本番の一日に、エアコンの効いた快適な会場で映画三昧。どこか後ろめたさがないでもないが、レイバーフェスタと並ぶ重要なイベントを、380人の来場者が楽しんだ。涙と笑いとそして厳しい告発は、明日の闘いへの活力になった。(Y)


Created by staff01. Last modified on 2014-07-27 12:22:47 Copyright: Default

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