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LNJ Logo 牧子嘉丸のショート・ワールド : ジョーシキか、ヒジョーシキか、そんなの関係ない
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    第9回 2014年6月19日

ジョーシキか、ヒジョーシキか、そんなの関係ない

  ―AB先生のハチャメチャ教室(ABはフランス語で「アベ」)

●先生―きょうは世間でよくいう常識とか非常識とは何か、みんなで考えたいと思います。たとえば、ここにA君と悪いBがいます。A君とは大の仲良しです。あるとき、A君とBがけんかをしました。そのときA君の友達ならあなたはどうしますか。

●タケシ―おいら凶暴につき、Bのやつをすぐぶん殴ってやります。

●先生―そうだよね。それが友達だよね。ところが、A君を助けるのは間違いだなんていうのが今までの日本の考え方なんだ。だから、日本の常識は世界の非常識なんて笑い者になっているんです。

●アキエ―でも先生。みんなでけんかなんかおよしなさいっていうのはどうなんですか。B君が何か勘違いしてたり、A君のほうが本当は悪かったなんてことあるんじゃないかしら。

●先生―アキエちゃんは女の子でやさしいからそうなんだけど、それは男の常識では女々しいことなんです。でもアキエちゃんはかわいいから、先生は好きです。ふふふっ。

●ケンザブロー―ぼっ、ぼくは、こどものけんかのアナロジーで国際間の紛争を論じるのはナンセンスだと思います。戦争になったら多大な被害が出る。ぼくはそこに実存的な危機を感じるのです。いくらこどもの僕だって、イマジネーションをはたらかせればそれくらいはわかります。

●先生―戦争になればそりゃ被害は出るでしょう。そこで自分が被害にあわないように、つまり実存的な危機に遭わないように考えるのが大人の想像力を働かせるということなんです。政治家になるとか、官僚になるとか。金持ちに生まれるとか。ハルキ君なんかどう思う。

●ハルキ―ぼくはそんなこと関心ありません。ノルウエーに行って森を散策したり、海辺でカフカを読んだり、女の子とセック、いや仲良くしたり、自分のからっぽな内面だけを見つめていたいです。

●みんな―さすがー。ハルキは将来、絶対売れる作家になれるよ。

●ナオキ―よー先生。日本じゃ、くそ貧乏な奴とか人間のくずみたいなのに対して出て行けとか、死ねとか言っていいけど、外国じゃそれは犯罪だなんておかしくないっすか。

●先生―そこが大事なことだな。まず人間はなんでも思い考える自由がある。またそれを言う権利もある。ちゃんと今の憲法でも思想信条や表現の自由として保障されています。いやな奴とか消えて欲しい奴がいれば、それを表現したって別にいいんだよ。でもね、物事には例外があります。アメリカ人にむかっては、ヤンキー・ゴーホームとか間違っても死ねとか言っちゃいけないよ。

●みんな―なんでですか。

●先生―それは先生のお爺さんさんが助けてもらったからなの。そこのところ、わかるね。アメリカの悪口なんか言ったら、先生はマジギレの激オコだからね。

●みんな―ワーイ、先生。激オコだって。チョウーナウイ。ナウイ。

●先生―おいみんな、それっておもいきり古くないか。

●ナオキ―先生よー。よくアジアのやつら、日本は侵略戦争にも従軍慰安婦にも反省しないなんていってるけどあいつらのほうが非常識だよね。なあ、カツト。お前もよくいってんだろ。(カツト、おずおずとうなずく)

●先生―そう。侵略の定義なんてないし、慰安婦なんてどこにでもいたんだよ。今までナオキのおつむは永遠のゼロだなんて思っていたけど、見直したぞ。ナオキみたいな子どもが真の愛国者だ。将来は特攻隊として死んでくれるな。

●ナオキ―いやだよ。おれ、死にたくないモンね。カツト、お前行けよ。どうせみんなから嫌われてんだから。

●先生―とにかく常識を疑う気持ちをもたなきゃだめだぞ。法律や条文に書いてあるからって、それが何なんだ。そんなものいくらだって好きなように解釈できるんだよ。気にくわなけりゃ、これは世界の非常識だと言えばいいし、世界から非常識だと非難されれば、それは我が国固有の伝統と文化だと答えればいいんだよ。みんなよくわかったかな。

●みんな―ぜんぜん、わかりませーん。

●先生―実際、何が常識か、非常識か先生もよくわからんし、考えたこともない。まあ、そんなこと関係ないし、どうでもいい。とにかく戦前の日本をトリモロス。平和憲法サヨウナラ。大日本帝国コンニチハ。戦争できる国バンバンザイだ。(異常に興奮しだして)さあ、みんなで歌おう。日本チャチャ、強い国。世界に輝くカミの国。ススメ、ススメ、兵隊さんススメ。(ひとり熱狂して行進を始める)

●アキエ―先生!さっきからナツオ君の様子が変です。青い顔をして念仏を唱えたり、うわごとを言ったり。

●ナツオ―ナムミョー。ああ希望は安定なり、安定は希望なり。級長の座を守るべきか捨てるべきか。(いきなり立ち上がって)先生、ぼくはやっぱし先生にどこまでもついて行きます、下駄の雪。

●先生―ナツオ、やっぱりお前が一番好きだ。アキエなんかもういい。これから地獄の果てまでも先生と一緒に行こうな。ススメ、ススメ。兵隊さん、ススメ!

●みんな―(一斉に)勝手にどこへでも行け。でも、ぼくたちごめんだもんね。  


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