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『二つの扉』上映終了...映画は終わっても竜山は終わらない

キム・イラン監督、まだ言い尽くせない話は残る... 『二つの扉2』を構想中

ソン・ジフン記者 2013.01.23 17:11

1月19日、映画、『二つの扉』が上映を終了した。累積観客7万3千人。2012年に 封切られた独立映画で最多の観客を動員した。『二つの扉』の興行で、大衆の 脳裏から忘れ去られていた竜山惨事の記憶が喚起され、真相究明と責任者処罰 を要求する声がまた高まった。観客は2年ぶりにまたナミルダンに来て自発的に 追慕集会を開き、空地になったナミルダンに献花した。1月19日に開かれた竜山 惨事4周年追慕大会には2千人を越える市民が参加した。

『二つの扉』が残したもの-「竜山惨事はまだ終わっていない」

民主統合党の鄭東泳(チョン・ドンヨン)常任顧問といった政治家はもちろん、 多くの映画人も二つの扉を見るために映画館に来た。ある俳優は自分が出演し た映画を広報するインタビューで、推薦したい映画に『二つの扉』を選んだ。 玄炳哲(ヒョン・ビョンチョル)国家人権委員長も、人事聴聞会の時に『二つの 扉』を見るために映画館を訪れた。もっとも映画を見られないまま追い出され たが。

『二つの扉』を演出したキム・イラン監督は、「一年間で驚くようなことが起 きた」と感想を述べた。独立映画、それもドキュメンタリーというジャンルの 限界にもかかわらず、7万を越える観客を動員したのはそれこそ異例なことだ。 キム監督は「竜山惨事の真相究明と責任者の処罰、遺族の名誉回復を願う人々 の期待が、そのまま観客動員につながった」と話した。「竜山を忘れない観客 の力」だ。

キム・イラン監督の言葉のように、『二つの扉』は観客の期待でできた。観客 は配給と劇場上映のために、『二つの扉配給委員会』に多くの人が少額のカン パを送り、そうして集まった力で二つの扉は上映された。SNSと噂を通した広報 も、観客の役割だった。映画を見た観客は、また誰かを映画館に率いた。誰か に引きずられて映画を見た人々は、また別の誰かを。7万3千人という観客動員 は、そうして積もった数字だ。

観客たちは、映画を見るだけでは止まらなかった。彼らは自発的に追慕集会を 企画し、遺族が竜山惨事現場を離れて2年後に、またナミルダンでキャンドルを 灯した。映画を見た761人の市民は、竜山惨事責任者処罰を要求する告発状を出 し、総選挙では警察責任者の落選運動を展開した。ただ映画だけの功績とは言 えないが、映画の後、人々は「竜山はまだ終わっていない」と話し始めた。

竜山惨事真相究明委員会のイ・ウォノ事務局長は「映画が全国的に封切られ、 竜山惨事がまた全国的規模の問題に浮上した」と話した。イ・ウォノ事務局長 は「10月に行われた『生命平和大行進』で『二つの扉』を見たと言って激励と 支持してくれる多くの市民と会うことができた」と話した。

▲19日、竜山惨事4周年追慕大会に参加した市民

キム・イラン監督も「多くの市民が竜山惨事をもうずっと前に終わったと認識 していたが、映画の封切り後には竜山惨事がまだ終わっていない現実なんだと 再認識しただけでなく、再開発制度の問題を見るしっかりした見解を持つ人が 増えたようだ」と話した。

映画は、観客だけでなく、当事者である遺族と活動家にも力になった。遺族は 多くの人々がまた竜山惨事を思い出したことで、力が出ると話した。竜山惨事 4周年の当日だった1月20日、犠牲者が安置された磨石牡丹公園烈士墓地で遺族 のキム・ヨンドク氏は「一緒にしてくれる皆さんを信じて、希望を失わずに4年 を粘ることができた」とし「竜山惨事を忘れないでほしい」と頼んだ。キム・ イラン監督は「多くの人々が忘れずに一緒にするということが『二つの扉』が 遺族にあげた力だろう」と話した。

『二つの扉』もまだ終わっていない

映画が多くの成果と意味を残したが、キム・イラン監督にはまだ残念な部分が 多い。キム・イラン監督は「映画が成功し、むしろ残念な点かもしれないが、 さらに配給委員会活動を活発にして、さらに多くの成果を出したら良かった」 と話した。「責任者を拘束して罰したり、すぐ拘束者を赦免させる程度は難し かったが、もっと世論が活発になれば聴聞会程度は引き出せたのではないか」 という惜しみだ。

キム・イラン監督は「映画一本では竜山惨事の真実を語り尽くせない」と話す。 映画を作りながら、やむを得ずカットした場面やエピソードも多い。「映画が 要求する竜山の真実は多少抽象的で、そこまで言えない言葉も多かった」と言 う。そのためか、キム監督は「二つの扉の『劇場上映』は終わっても、(共同体 上映はずっと続き)竜山惨事はまだ終わっていない」という点を強調した。

▲ホン・ジユ、キム・イラン監督(左から)

『二つの扉2』への期待も高まっている。キム・イラン監督は「まだ、具体的に 企画はしていない」と前提にしつつ「竜山惨事についてまた話すべき部分は多 い」と話した。キム監督は「封切り期間に観客との対話を進めるたびに、観客 に竜山惨事は相変らず終わっておらず、現実は続いていると話したのは、まだ 観客と語り合うべき言葉が残っているという約束だったようだ」と話した。

「二つの扉2を作ると公然と宣言したわけではないが、結局観客に残された話を すると約束をしたのではないかと思う」ということだ。キム・イラン監督は 「二つの扉2ができれば、国家暴力の部分をもっと具体的に指摘したい」と明ら かにした。「多少抽象的」な部分についても「私たちが真相究明のために何が でき、何をするべきか、さらに具体的に表現したい」と話した。

題名が『二つの扉2』になるかどうかはわからないが「観客との約束を守らなけ ればならず、竜山惨事の真実も話し続けなければならない」というキム・イラ ン監督の次の映画も、竜山惨事を素材にする可能性が高いようだ。

しかし長い間撮影し、長い間編集するドキュメンタリー映画の特性を考えると、 おそらく次期作までは多少時間がかかるだろう。しかし『二つの扉2』が見られ なくなっても、早く竜山惨事を解決することを希望する気持ちは『二つの扉』 を見たすべての観客の共通した心理だろう。

▲2012年7月、市民らが自発的に準備した追慕集会

付記

  1. 二つの扉を製作した『ヨンブンホンチマ(ピンクのスカート)』は現在、双竜 自動車解雇労働者の現実についてのドキュメンタリーを準備している。演出 はハン・ヨンヒ監督。
  2. P2Pサイトには『二つの扉』が不法に流通している。キム・イラン監督は 「1人でも多くの人が映画を見て竜山惨事の真実に関心を持つのは嬉しいが、 独立映画配給の構造を考えれば不法ダウンロードよりも正しい経路で映画を 観覧してくれればもっと嬉しい」と話した。

『二つの扉』の劇場上映は終わったが、共同体上映は続く。問い合わせは 『ヨンブンホンチマ(ピンクのスカート)』まで。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2013-01-24 20:46:14 / Last modified on 2013-01-24 20:46:15 Copyright: Default

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