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JAL不当解雇争議 ILOから第2次勧告 当該労組が声明を発表

2013年11月20日、厚労省記者クラブにおいて、日本航空乗員組合、日本航空キャビンクルーユニオン、JAL不当解雇撤回国民共闘、日乗連、並びに原告団が記者会見を開きました(写真)。会見では、当該組合から見解を発表、第2次勧告の内容を解説しました。

ILOの第1次勧告について

2010年大晦日にJALのパイロットと客室乗務員を合わせて165名が整理解雇された事件は、2012年6月にILO理事会から、労働者の解雇が労働組合員に対する差別であり、条約違反であると認定されました。そして、「協議の場」を設けるようにとの勧告が出されています。勧告からすでに1年以上経っているのに、日本政府とJALは、話し合いの場を設けていません。それどころか、JALは解雇した客室乗務員を職場に戻さないまま、現在まで1500名以上も採用しています。

一歩踏み込んだ第2次勧告

こうした状況を踏まえ、2013年10月31日、ジュネーブで開催された第370回結社の自由委員会において、JAL不当解雇問題についての実質上、第2次勧告といえる「見解」が表明されました。これは、ILO勧告の効果を検証するフォローアップ手続きによるものです。
この「見解」では、第1次勧告と比較して、一歩踏み込んだ内容となっています。つまりILOは日本政府に対して、東京高裁の判決だけではなく、「その結果生じるフォローアップ策」を報告するようにと要請していることです。

JALへの勧告と同じ

さらに「見解」は客室乗務員を新たに採用している事実に注目し、今後の採用計画において、解雇した者たちの雇用を含めた協議を求めています。
こうした内容は、国労の案件より踏み込んだ内容であると言えます。さらに国際機関独特の言い回しではありますが、この案件が一般論ではなく、JALの整理解雇に対して述べられていることは間違いありません。ILOは今後もJALの整理解雇事件を重大な監視対象としており、それが解決されるまで継続して行われていきます。

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第319回 ILO理事会報告書
2013年10月16〜31日 ジュネーブ
ILOフォローアップ見解

(翻訳文責:日本航空乗員組合・日本航空キャビンクルーユニオン)

第一次勧告の再確認

62.  委員会は、日本航空インターナショナルによる労働者の解雇が労働組合員に対する差別であるとした申し立てに関するこの案件を2012年6月に検討をしている(第364 結社の自由委員会報告パラグラフ594-649参照)。その際、委員会は以下のように勧告を行った。

(a) 委員会は、従業員の人員削減の過程において、労働組合と労働者の継続する代表者が役割を果たせるように、関連する当事者間で協議が実施されることを確実に保障するよう、日本政府に要請する。

(b) 整理解雇された労働者148人が、2011年1月に会社を相手取り、東京地裁に提訴し、労使間に法的拘束力のある雇用契約が存在していることを認めるよう、裁判所に要求していることに注目し、委員会は、当該の裁判の結果に関する情報を提供するよう、日本政府に要請する。

(c) 再建計画を策定する場合、そのような性質の計画が労働者に及ぼす悪影響を可能な限り最小限に止める上で、労働組合は主要な役割を担うため、委員会は、労働組合と十分かつ率直な協議を行うことの重要性を強調する。委員会は、日本政府がこの原則が、十分に尊重されることを確実に保障するよう、期待する。

(d) 委員会は、「企業再生支援機構(機構)の不当労働行為」について東京都労働委員会が2011年8月3日に交付した救済命令の破棄を求め、2011年9月1日に会社が東京地方裁判所に提訴した訴訟の結果に関する情報を提供するよう、日本政府に要請する。

当該労組からの追加情報

63.  2012年10月10日付の文書において、日本航空乗員組合(JFU)並びに日本航空キャビンクルーユニオン(CCU)は、本委員会の勧告の後、当局、この場合国土交通省および厚生労働省及び日本航空に対し、人員削減の過程において当事者間の協議が確保されることを求めた。しかし申立者は、当局は委員会の勧告を検討することなく適切な時期にILOに対し報告を行う旨のみを回答したとしている。この点で、日本航空は東京高等裁判所で本件が提訴中であり解雇について労働組合と協議を行うことには慎重にならざるを得ないと述べ、当局の要請に応じて、委員会勧告に適切に対応すると述べた。当該企業における労働者の現状について申立者は、2012年4月に日本航空は710名の客室乗務員の採用開始を公表したとしている。また同年7月には、510人が入社している。さらに日本航空は同年7月に追加の230名の採用を公表し、採用が合計940名となった。しかしながら、CCUからの要請や世論の支持にもかかわらず解雇者の職場復帰は行われていない。申立者によれば、日本航空の従業員数は2010年3月の48,714名から2011年3月には31,263名に減少している。各職場で深刻な人員不足が起こっている。さらに急激な給与削減、悪化する労働条件と人員削減は労働者の士気に影響し、結果100名の運航乗務員、700名の客室乗務員、200名の整備士が整理解雇以降2012年9月までの間に自主退社している。

日本政府からの追加情報

64.  2013年8月27日付の文書において、日本政府は委員会勧告の(a)及び(c)に関して、使用者と労働組合の間での交渉を可能にする十分な措置が日本には存在するとした。146名の解雇者による東京地方裁判所への日本航空との間での雇用契約の確認を求める裁判について、日本政府は申し立てが棄却されたが、原告は東京高等裁判所に控訴しており係争中であるとした。東京地方裁判所への日本航空による東京都労働委員会の救済命令に関する申し立てに関し、日本政府は本件が係争中であるとした。

第二次勧告に相当する事項

65. 委員会は日本政府と申立者によって提供された情報を留意する。146名の解雇者による日本航空インターナショナルとの間での雇用契約の確認を求める裁判に関し、委員会は2012年3月に本件が棄却されたものの、原告は東京高等裁判所に2012年4月に控訴し係争中であることに留意する。委員会は政府に対し、東京高等裁判所の判決ならびにその結果生じるフォローアップ策について報告するよう要請する。東京都労働委員会の救済命令に関する日本航空の東京地方裁判所への提訴に関し、委員会は本件が係争中であることを留意し、日本政府に対し、本裁判のいかなる結果についても情報提供を行うよう要請する。

66. さらに日本航空が2012年に客室乗務員940名の採用を行っていることからしても、委員会は本件の前回の審議で、企業が人員削減計画を行う際には労働組合との完全かつ率直な協議が確実に実行されることが重要であるとしたことに注目し、そのような協議において、経済的理由による解雇の後に再び雇用される(職場復帰)労働者に関して、彼らの見解が十分に重きをおかれることを目的として、今後の採用計画において、全ての労働組合との協議が、確実に実行されることもまた期待する。

*JAL不当解雇撤回ニュースNO.33より


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