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黒鉄好@安全問題研究会です。

今年4月から、私、黒鉄好は福島県から北海道に転居しました。これに伴い、今後は北海道から従来同様、様々な情報を発信してきたいと思います。

さて、JR福知山線脱線事故から25日で8年を迎えました。改めて、企業責任をどう問うていくかが全国民的課題となっています。ブログからの転載です。

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JR福知山線脱線8年、改めて企業責任を厳しく問う

参考記事
<尼崎脱線>忘れない「9時18分」…事故から8年(毎日)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130425-00000016-mai-soci

福知山線脱線8年、負傷者の半数なお心身不調(読売)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130421-OYT1T00290.htm?from=popin

JR福知山線事故から8年となるこの日を、当ブログと安全問題研究会は、昨年までとまったく違う新たな気持ちの中で迎えた。私自身が、昨年、福島第1原発事故の責任を問う「福島原発告訴団」の告訴人のひとりとなったからである。昨年までのように、企業責任追及のために闘う「他の誰か」を支援する、という立場には、すでに私はない。107人の犠牲者とその遺族は、東電とJR西日本、相手こそ違え、最低限の法の支配にすら服する意思を持たない「国策暴力団企業」に対して闘いを挑む仲間である。

24日夜に放送されたNHK「クローズアップ現代 “企業の罪”は問えるのか〜JR福知山線脱線事故8年〜」( http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3340.html )は、それなりによくまとまっていたとは思う。イギリスで犯罪行為をした法人に「上限のない罰金」を課することのできる法律が成立したことも、法人故殺法の名前こそ出さなかったもののある程度伝えている。もっとも、この番組はクローズアップを標榜しながら、今まで政府や企業の責任という「問題の核心」は決してクローズアップしたことがない。イギリス法人故殺法を持ち出したのも、日本政府やJRの責任に触れないで30分の放送時間を埋めるにはどうしたらいいか考えたあげくの浅知恵だろう。法人故殺法制定以降のイギリスで、企業の自主的努力の機運が生まれ、事故が30%減少したという事実以外に見るべきものはなかった。

当ブログの読者でクローズアップ現代を見逃した人がいたら、代わりに安全問題研究会が昨年の「ノーモア尼崎事故!生命と安全を問う集会」で報告した講演録とスライド資料( http://www.geocities.jp/aichi200410/amagasaki-accident/120421campeign/120421amagasaki.html )を読んでほしい。この資料をお読みいただければ、24日夜のクローズアップ現代など見なくて結構だと当ブログ・安全問題研究会は誤解を恐れず断言する。クローズアップ現代程度の考察は、当ブログと安全問題研究会はすでに1年も前に行っているのだ。

「みなさまの公共放送」が、潤沢な制作資金を持ちながら、私のような一鉄道ファンが行った考察程度のことを、1年遅れでようやくしているようではお里が知れている。やはり、この間、最も劣化したのは政治でも行政でもなくメディアだと思う。

冒頭で引用した毎日新聞の記事は、JR西日本主催の「追悼慰霊式」で遺族代表のスピーチを行う人が昨年に続き、2年連続で誰もいなかったことを伝えている。JR西日本が本当に安全第1の企業になったかどうかは、かけがえのない人を奪われた遺族こそが最もよく知っている。その人たちがスピーチを拒否する実態を見れば、JR西日本が自画自賛する安全への取り組みもいまだ心許ないものであることがうかがえる。JRは成果を強調するが、ここ1、2年はJR西日本の社員の不祥事が報道されることがむしろ増えた印象がある。不祥事を起こす社員は全体から見れば一部に過ぎないが、こうした不祥事の続発は、JR西日本が多くの社員にとって働きやすい環境にないことの最も象徴的な現れである。社員にとって働きやすいと言えない会社が、利用者にだけ親切になどなれるか? 言うまでもないであろう。

昨年1月の刑事裁判で無罪が確定した山崎正夫・前社長のほか、検察審査会の議決による強制起訴を受けて被告の立場にある南谷昌二郎、垣内剛の両元社長は慰霊式に参加し、現場に献花に訪れた。しかしJR西日本の強権的企業体質を作り上げた張本人であり、「天皇」とまで呼ばれた井手正敬・元社長はこの日も現れなかった。2009年、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会委員によるJRへの調査報告書「漏えい」事件が起きたが、その後設けられた説明会の場にも井手氏は一度も姿を見せなかった。彼が遺族の前に姿を現すのは強制起訴の法廷だけだ。

冒頭に紹介した新聞記事のとおり、多くの被害者がいまだ事故前の生活に戻れないでいるなかで、罪を認めるどころか犠牲者に追悼の意を表すことすらしない井手氏の「人格欠落者」としての傲慢な振る舞いは今なお続いている。

組織の指導者が責任を取らないことが文化となってしまっているこの日本で、果たして企業犯罪の責任を問えるようになる日は来るのだろうか。そのことを考えるたびに、私のなかで絶望と希望が綱引きを繰り返す。膨大な被害を出したあの戦争も、日航機御巣鷹事故でも誰も責任を問われなかった(帝国主義者が別の帝国主義者を裁く「東京裁判」があるにはあったが)。過去の歴史は惨憺たる事実を私たちに告げている。一方、尼崎事故では、遺族の粘り強い闘いで、JR西日本発足以来の歴代4社長全員が被告人席に座ることになった。この国で組織の指導者、責任者と呼ばれる人たちは世界有数の無能揃いだが、市民は一方で世界有数の英知を持っている。その市民たちが今、歴史の針を、少しずつではあるが着実に前に進めている。私はそう信じたい。

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黒鉄 好 aichi200410@yahoo.co.jp

首都圏なかまユニオンサイト
http://www3.ocn.ne.jp/~nakama06/

安全問題研究会サイト
http://www.geocities.jp/aichi200410/

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