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12.2 キムジンスクさん講演を聴いて 佐々木有美

ツイッターの勝利!労働運動の枠をこえたキムジンスクのたたかい

309日間のクレーン籠城で韓進重工業の整理解雇を撤回させ、韓国労働運動に新しいページを開いたキムジンスクさんは、思いのほか小柄な人だった。ユーモアたっぷりの話からは、想像をこえる過酷な籠城生活の日々がよみがえった。

決行の2011年1月16日、プサンは零下13度だった。クレーンに登ると顎のふるえがとまらず、何で今日を選んだのか悔やんだという。クレーンは絶えず揺れ続け、吐き気もずっととまらなかった。

前年の2010年に韓進重工業は整理解雇を行い2500名の社員が800名になった。御用労組は、ジンスクさんが解雇撤回を求めてクレーンに登ると逃げ出した。毎日お粥を作り、洗濯をして、下から応援したファンイラさんや、クレーンの中間地点で137日間ジンスクさんを守り続けた仲間たちもいた。しかしクレーンの上で平常心を保つのはたいへんだった。警察がいつ来るかわからない。ジンスクさんはもし警察が来て下におろそうとしたら、飛び降りる覚悟だった。あるとき、警察に追い詰められたジンスクさんは、投身しようとクレーンをさらに登り始めた。それをアルジャジーラTVとBBCが中継し、さすがの警察もあきらめたという。

当初は、報道もまったくされなかった。こうした状況を破ったのが差し入れの携帯で覚えたツイッターだった。有名な女優がツイッターでつながり、クレーンまで来たが、警察に逮捕された。これが大きく報道された。ツイッターではフィンランドの人ともつながった。国境もなく、あらゆる人とつながれるツイッターの力で、韓国市民を大きくまきこむ「希望バス」の運動が始まった。電気が切られ、ツイッターができなくなったときは、パンにしのばせて充電器を上げ、ツイッターを再開したそうだ。

キムジンスクさんは、「あきらめないことが大事」と語った。抵抗し続けてこその勝利だった。さらに付け加えることが許されるなら、この闘いの勝利は、ツイッターの勝利ではないだろうか。彼女のつぶやきが、労働運動の狭い枠を超えて多くの人の心をとらえ社会運動となったとき、マスコミが動き会社が動いた。2003年の解雇でクレーンに登った組合支部長が、孤立した中で189日目に自死したことを考えると、その意味は明らかだ。アラブの春でツイッターやフェイスブックが果たした大きな役割は周知のことだが、労働運動にも同じ可能性があることをこの闘いは示した。

最後に、彼女の日本の労働者へのメッセージの一部を紹介したい。 「人間を金儲けの手段とみなして、より多くの利潤を上げるためにクビにして苦痛を与える悪は、どこにでも存在すると思います。問題はその悪に抵抗するか、屈服するのかでしょう。金儲けの手段ではなく、尊厳を有する人間だという叫び。その叫びが世界中のあちこちからはげしく聞こえてくる日、搾取と抑圧は止むでしょう。」
                             *写真=佐藤和之


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