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秘密保護法と「ナショナリズム」

DvdPhoto 秘密保護法案が国会に上程され重大な局面を迎えている29日、DVD「レーン・宮澤事件―もう一つの12月8日」(1993年、 ビデオプレス制作)の上映と、久保博夫さん(神奈川県藤沢市職員・盗聴法に反対する市民連絡会)の講演による「秘密保護法を考える学習会」が浦添市内であ りました。主催は住基ネットに反対する市民ネットワーク沖縄。立ち見も出る多くの参加者の真剣なまなざしが事態の緊急性と危機感を示していました。

 
「宮澤・レーン事件」とは、北海道大学生(当時)の宮澤弘幸さんが旅行の際に見た根室飛行場のこと(周知の事実)などを同大講師のレーン夫妻に話したことが軍機保護法違反のスパイとされ、太平洋戦争開戦の194512月8日に逮捕、拷問の末、懲役15年。戦後釈放されるものの、47年に27歳 の若さで亡くなったという事件です。軍(政府)の判断で一般庶民がいつ「スパイ」にされ逮捕され、人生を奪われるか分からない。まさに秘密保護法のかつて の姿にほかなりません。息子を「スパイ」よばわりされて奪われた宮澤さん家族は戦後も精神的苦悩が続きました。実妹の秋間美江子さんは「私たちのような悲 しい家族を二度とつくってはいけない」と涙ながらに訴えていました。

 
久保さんは秘密保護法で「特定秘密」とされるもののうち「テロ活動」と「特定有害活動」の担当が警察になることを取り上げ、「戦前の軍機保護法と治安維持法の両方の機能をもたせようとするもの。まさに特高警察の復活」だと指摘しました。

 
大変気になる言葉がありました。DVDの 中で「宮澤事件」を掘り起こした朝日新聞の籔下彰治朗編集員(当時)が言い、この日また久保さんも指摘した言葉です。「(秘密保護法を支える)ナショナリ ズムの構造がまだ日本に脈々と生きている」。秘密保護法の裏に脈々と生き続けている「ナショナリズム」とは何なのか。戦前のそれと、籔下氏が痛感した20年前のそれと、今日のそれは、どこが同じでどこが違うのか。

 
共同通信の世論調査では確かに50・6%が秘密保護法案に反対しています。しかし賛成の35・9%もけっして小さな数ではありません。さらに反対も賛成も、どれだけこの法案を自分のことと考えているでしょうか。例えば「知る権利」「報道の自由」といっても、それを庶民はどれだけ自分にかかわりがあるものととらえているでしょうか。

  この法案は国家権力と国民・市民との緊張関係を知る人にはきわめて重大な法案ですが、そうでない人には自分とのかかわりが実感されにくい法案ではないで しょうか。その背景にあるのが「脈々と生き続けているナショナリズム」であり、さらにそれに“他人まかせの生活保守主義”が重なっているのではないでしょ うか。その深部にメスを入れない限り、この悪法をほんとうに葬り去ることはできないと思います。

ブログ「私の沖縄日記」(10/31)より

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