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LNJ Logo グランパ礼賛〜「牧子嘉丸のショート・ワールド」第2回
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グランパ礼賛

 「牧子嘉丸のショート・ワールド」第2回(2013.10.11)

  
            マンガ=壱花花

A それにしても、今度の17年ぶりの消費税増税はうまくいったね。これぞまさに連携プレー。おまけにマスコミは歴史的会見なんてヨイショしてくれるし。

B 最初から出来レースなのに、二ヶ月間も激しい攻防があったなんて吹きだしちゃうね。このぶんじゃ10%なんてちょろいもんよ。

A 私は、あなたがまたなんか失言するんじゃないかとヒヤヒヤしてたんだけど。でも、いつもそうやって口をへの字に曲げて、喋らないようにしてたんだ。

B これはもとからなの。あなたのほっぺがたるんでるのと同じよ。

A 失礼。しかし、失言のないあなたなんてクリープを入れないコーヒーみたいじゃない。

B (フルすぎーだちゅうの。)いやこの前のナチス発言で懲りちゃってね。

A でも、世界の政治家であんなこと言うのは、前の都知事かあなたぐらいなもんでしょ。

B いやどうも、ありがとうございます。

A 汚染水を隠してオリンピック招致に成功、やらずぶったくりの消費税も思惑どうり。あとはTPPに原発再稼働。最後の仕上げは九条だけ。ここはおっしゃるとおり、こっそりひっそりとナチスに学ばなきゃね。さて、問題はその次なんだが。

B そりゃ漢字のゼンパイでしょ。漢字をなくせつーの。あれ以来、トラウマになってんだから。原発なんかより漢字こそ即ハイドだ、、。何、あれハイロと読むの?

A まあまあ。でもこうしてお互い権力握ってここまでエラクなれたのは、なんだかんだ言っても、やっぱしグランパのおかげだね。私の祖父は、昭和の妖怪なんて呼ばれた政界の黒幕で、戦犯としてもA級、アメリカにはサンキュウーの人生でした。

B たしか、妖怪人間ベムも遠い親戚だったとか。

A まさか。しかし、いつもながらあなたの発言はホントに人間ばなれしてますね。

B いやー恐れ入ります。漫画とコミックしか頭にないもんで。

A それから祖父の弟、私の大叔父なんだが、これまたケッサクな人物でね。国民からエーチャンなんて呼ばれたいなんて言い出して。

B そうそう。それをマネたのが矢沢のエイチャンなんだ。

A まあ、アメリカのベトナム戦争には加担するは、沖縄を密約で売り飛ばしちゃうはで、どちらも兄たりがたく、弟たりがたしでした。

B たしかノーベル賞を貰ったんだったね。

A それも平和賞。あれが世界的ブラック・ジョークの最高記録としてギネスに書かれてます。まあ、そういう由緒正しいブラックな家系なんです。でも、その点ではあなたのグランパなんかも石炭を掘りまくって稼いだんだから、元祖ブラックだな。

B それはいかがなものかな。おたくの妖怪爺さんが満州をデッチあげたんで、あぶれた中国人や朝鮮人をうちの爺さんが雇っただけ。だから、手は真っ白で、金はガッポリ。

A よく共産党なんかが、アメリカの言いなり、財界・官僚の言いなりなんて僕たちを攻撃するけどさ、グランパの言いなりになってることも忘れないで欲しいね。

B そして何より、国民を騙す才能をちゃんと隔世遺伝して受け継いでることもね。

A 悪運の尽きることなしわが世かな、てとこだね。でもいつまでつづくかな。

B もちろん今だけでしょ。どうせダメになるんだから、でもそのときはこう言ってやってくださいよ。アイムソーリ、フクソーリって。

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〔著者紹介〕 牧子嘉丸(まきこ・よしまる)

「泥濘ー冬の日の森鴎外」で上林暁賞受賞。ラフカデイオ・ハーンの晩年を描いた「海の挽歌」や上田秋成の生涯をもの語る「秋成幻談」でコスモス文学賞受賞。以上は著作「海の挽歌」(彼方社)に所収。また昭和最後の日に大杉栄の亡霊とともに反逆する魂を描いた「曇天」などを収めた幻の異色短編集「花づな」(彼方社)がある。レイバーネットの連載・掌編小説「ショート・ワールド」では、「ショートであっても世界を描きたい」と意欲満々だ。月1回程度を予定。  


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