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LNJ Logo アジア記者クラブ通信11月号発行〜「戦後史の正体」をどう読むのか
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≪アジア記者クラブ通信11月号のタイトルとリード≫

■定例会リポート(2012年9月25日)
「戦後史の正体」をどう読むのか
孫崎享(元外務省国際情報局長・元防衛大学教授)
太田昌克(共同通信社編集委員)

 1冊の本が出版界の常識を覆し、人々の頭に新しい風を吹き込んだ。8月に刊 行された孫崎享さんの新著『戦後史の正体』(創元社)が、硬派の本と しては 異例の反響を呼び、発売2ヵ月足らずで20万部のベストセラーとなった。 2009年に出した『日米同盟の正体』(講談社現代新書)も10万 部を超し た孫崎さん。外務省で国際情報局長やイラン大使などを歴任、防衛大教授も務め た国際問題のエキスパートの視点は、対米従属的な立場に陥り がちの官僚や政 治家とは異なり、そうした見方に毒された一般市民らに衝撃を与えた。昨年12 月の定例会では中国の海洋進出をめぐり従来とは違った 認識を提示した孫崎さ んに、今回は『戦後史の正体』についてとともに、出版と同じタイミングでにわ かに緊張感が高まった尖閣諸島の領有権問題にも 言及していただいた。『日米 「核密約」の全貌』(筑摩選書)などの著書がある共同通信の太田昌克さんもお 招きし、孫崎さんのお話と著書についてコ メントをいただいた。(編集部)


■対ソ冷戦の“口火”となった日本への原爆投下           
広島、長崎を犠牲にした本当の理由
ワシントンズブログ

 原子爆弾は米軍機により日本で初めて実戦投下された。米国では長い間、非戦 闘員への大量破壊兵器使用の是非と真相を巡り研究者らが論議をたたか わせて きたが、一方で「徹底抗戦を叫ぶ日本を降伏へと追い込み、日本本土侵攻に伴う 米将兵の命を救うには原爆投下しか選択肢はなかった」との通説 が流布されて きた。日本でも原爆投下でようやくポツダム宣言受諾への道が開かれたとの見方 が一般人の間に強く根を下ろしている。ワシントンズブロ グはこの通説がいか に原爆投下の真相を覆い隠すものであるかを、太平洋戦争末期に米軍上層部にい た軍人の証言を中心に、当時の政治家や歴史研究者 の見解を丹念に追求して証 明しようと試みた。そして、1945年7月のポツダムでの米ソ会談で東西対立 はすでに抜き差しならない状態に至ってお り、米政府は対日参戦を急ぐソ連を 威嚇し、そのアジアへの膨張に歯止めをかけようとする政治的、外交的意図から 原爆使用に踏み切ったとの結論を導 き出している。米国は初期の対日占領政策 をかなぐり捨てて日本を冷戦構造に組み込んだ。本稿は日本の戦後史の原点を抉 るものでもある。(編集部)


■権力は最有力メディアをプロパガンダ機関へと取り込む     
NYTが抱えるジレンマ
エドワード・S・ハーマン(メディア批評家)

 太平洋戦争終結後、米国の“リベラルで進歩的なメディア”は敗戦国日本の民主 化の過程でモデルのひとつとされた。その筆頭格がニューヨークタイ ムズ (NYT)である。今日に至るも日本のマスメディアや知識層に圧倒的な影響力を 及ぼし、現地駐在の日本人記者はNYTが報じた記事の要旨を “転電”することが、 依然ルーティーンワークとなっているようだ。米国の権力層にとってNYTの報道 にバイアスをかけることに成功すれば、その情 報操作は瞬く間に全世界に影響 を及ぼすことになる。米国の従属国の読者は、“ねつ造された合意”の中に組み込 まれてしまうわけだ。米国の著名なメ ディア・ウオッチャーである筆者は、 「最も有力で信頼されているがゆえに最も有効なプロパガンダ組織たりうる」 NTYの抱えるジレンマを描き出 す。反チャベスや反プーチンなどのキャンペーン 記事を事例として挙げながら、同紙がいかに米当局の意思を“忠実に”取り込んで いるかを検証してい る。(編集部)


【パスクアル・セラーノへのインタビュー】
■“独立したジャーナリズムは存在しない”

 大手メディアに替わる独立したメディアの創出が可能なのか。日本でも実験が 試みられたが、未だに結論を聞くことはできない。そもそもジャーナリ ズムは 社会を変えることができるのか。16年前にレベリオンを立ち上げたスペインの パスクアル・セラーノは、イベロアメリカと欧州ですでに影響力 を行使してい る。彼は組織内か個人かを問わず、新しい時代の誠実なプロは、分析と解釈の ジャーナリズムを実践すべきだと説く。その上で、オルタナ ティブの真の使命 は、政治においても、社会学的意味においても、メディアコミュニケーションに おいても、主導権を握ることだと強調している。(編 集部)


■EUへのノーベル平和賞授与は茶番である            
その好戦主義と人道軽視を告発する
フェリシティ•アーバスノット(ジャーナリスト)

 日本はもとより世界中の有力メディアは欧州連合(EU)へのノーベル平和賞 授与を“素直に”受け止め、評価した。確かに、血を流し合ったドイツ とフラン スが戦争を繰り返すまいとの意思と理念に基づいてEUの母体は第2次大戦後に 形成された。ただ報道がこれを美化し過ぎると、ことの本質を 見失い、その内 容はあまりに虚ろになってしまう。言うまでもなく、近代民主主義と自由主義の 理念と制度は欧州で生まれた。しかし、外では世界の富 を簒奪し、原住民を虫 けらのように殺戮した帝国主義が猛威を振るい、内では膨張し続けた資本主義が 労働者、農民を収奪し、抵抗を弾圧した。筆者は 平和主義に身をくるんだ欧州 資本の帝国主義的野望は、EUにおいても基本的に変化のないことを内外で生起 している事例に基づいて検討する。そして EUへの平和賞授与を巡る声明を引 用し、「歴史上最も記憶に留められることとなる空想的な馬鹿げた文句である」 と告発した。(編集部)


■現実離れしているのは政治かメディアか
米大統領選報道で伝えれない真実
シェイマス•クック(ソーシャル・サービス・ワーカー)

 「どちらが勝つか」、「投票日まであと何日」。新聞・TVを中心にした邦字 ディアが連日伝えてきた米大統領選のフレーズだ。これに何の意味があ るのだ ろうか。米3大ネットワークやメインストリームのヘッドラインを忠実に再現 し、これまでのサミットやG8報道と同様、民主・共和両党の“公 式発表”や“政 府発表”に依存する報道スタイルは変わっていないようだ。その一方で、二大政 党制によって選択肢が奪われていることへの米国民の怒 り、アルバイトのかけ 持ちが就業率に加算される失業率のトリックなど、疲弊した米国が抱える矛盾に ついてオルタナティブメディアは現実の世界を伝 えてきた。本稿は、日本でも 機能不全を露呈しているのは政治だけなのか、メディアの存在意義も改めて問い かける結果となっている。(編集部)


■連載:被ばく量改ざん、死者数隠ぺいは日常茶飯事だ        
日本の原子力事業の闇 (2)
リチャード・ウィルコクッス(在京ライター)

 野田政権が一部原発を再稼働したことで、福島第一原発の危機的な作業員不足 にますます拍車がかかっている。福島原発の状況は深刻化を増している とい う。筆者は、作業員を消耗品扱いする原発マフィアは作業員の線量計を取り外さ せるか、それを鉛で覆い隠させて、被ばくデータを改ざんしてい る、と告発す る。専門家は「最大の問題は、下請け作業員が放射能の危険性を本当に知らず、 自分の身を守る方法を知らないことだ」と警告、防護マス クを装着すると心地 が悪いので多くの作業員が就労中にマスクを外してしまう、と訴える。作業員た ちはこれまで、過去の作業履歴を明らかにしないま ま、原発施設を転々と渡り 歩き、不法就労を強いられてきた。高濃度な放射能に曝されてガンで死亡した多 数の下層労働者の実態は闇の中である。彼ら を使い捨てできるのは暴力団が暗 躍するからだ。ヤクザが中枢に居座る“原発マフィア”の世界は無法地帯なのであ る。(編集部)


■結局こうなるしかない 原発推進の血塗られた末路
山崎久隆(たんぽぽ舎)

 福島第1原発の事故以降、世界中が原子力発電の推進に待ったをかけた中で、 インドは数少ない原子力発電の導入に積極的な国である。同国は核保有 国でも ある。近隣の大国との間で領有権を巡って軍事緊張を抱え、戦争の危機を内包し ている。そこに、国内では脱原発への道を唱える一方で、海外へ の原発輸出は 拡大するという矛盾撞着した政策を掲げる日本が市場として重視するインドへ触 手を伸ばしてきた。筆者は原発大国インドで広がる反原発 運動の実情、同国の 電力政策の矛盾、杜撰な安全管理の問題がここでも繰り返されていることに警鐘 を鳴らす。(編集部)


■原子力規制委の責務は重大 チェック機能を厳密に果たせ
池田龍夫(ジャーナリスト)

■書評 屋良朝博『誤解だらけの沖縄・米軍基地』(評者 瑞浪利彦)


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