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LNJ Logo 「レイバーネットTV」を観て〜イラク帰還兵の話から見えてきたもの
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●レイバーネットTV「戦争と軍隊は人間をどう変えるか〜イラク帰還米兵アーロン&アッシュが語る」を観て

ベトナム戦争からイラク戦争・・このアメリカのあまりのサイクルの速さに驚く。
ベトナム戦争関連の映画は多いが、私が二十代のころに
「七月四日にうまれて」が日本で公開され、ものすごい衝撃をうけた。
トムクルーズ主演の大ヒット作で、ビデオをレンタルして何十回と上映会をやったのだ
が、当のアメリカではどれほどの人が観たのだろう。

「ベトナム人の解放」と称して、ベトナムに赴いた米海兵隊。
でも、現地で民間人を襲撃し、子どもを殺したショックで、
仲間の兵士を誤爆し、自分も下半身不随になってしまう。
多くの米兵が人間をつくり変えられてしまったのだ。
帰国すると恋人は反戦運動をしている。「ベトナムで見てきたことを語って!」と言われるが、
「闘ってもいない奴らに何がわかる」とやけになる青年兵。

ベトナムで傷ついたアメリカの帰還兵はたくさんいる。トム・クルーズが演じた元海兵
隊員は、ロン・コービックという実在の人物で、彼は全人生をかけてベトナム人民もアメリカ
人も同じ人間だと訴え続けた。
傷ついたのはベトナムだけでなく、アメリカだったことが、痛いくらいに伝わる映画だ。

あれからまだ三十年もたってない。アメリカがイラクに侵攻したら同じことの繰り返し
だと思っていた。「大量破壊兵器なんてない」。そう国連が報告したのだから、イラク
を攻める理由なんてないはず。
・・・なのに戦争は始まってしまった。
今日みた二人の元兵士、アーロンとアッシュは、ベトナム帰還兵とまったく同じようで

まるでタイムスリップしたようだった。
なぜ同じことをくりかえす?
その問いは自分たちにも跳ね返ってくることを、感じさせられる番組だった。

翻って日本は、日本軍のアジア侵略以来、武器を持ったことはないかもしれない。
その代わりに背広をきて経済侵略、公害輸出・・・
経済がすべてに優先するという価値観が、アジアに犠牲を強い
あげくの果てに、国内でも被ばく労働者を生んでいる。
被ばく労働させられたり、健康被害をおそれる人たちのことを人と思うのなら、
あの大事故を起こしてなお原発にしがみつく・・なんてことはありえないだろう。

「原発報道」や「選挙戦」など、メディアが取り上げるとそれ一色になってしまう。
そして、時期が過ぎれば何事もなかったようになる。
そんな中でイラク帰還兵の話は、一見タイムリーでないようだったけれど、
さまざまなことを想像させるものだった。

そしてもうひとつ。誰に期待するのかよりも、
自分がどう生きたいのかに基軸があるんだと。
前回の大椿裕子さんの話もそうだったが、
レイバーネットテレビは、単なる「被害者」「犠牲者」で終わらない
「こんなふうに生きたくない!」という人たちが出てくるのがすごくいいと思う。
それこそ映画の主人公になりそうな・・テレビが扱わなさそうな人たち。
テレビを消したら頭から消えてしまうようなものでなく、
ずっと心に残る言葉が、たくさんあったような気がしている。

堀切さとみ

アーカイブ視聴(特集は12分から)

Created by staff01. Last modified on 2012-12-07 12:15:20 Copyright: Default

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