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LNJ Logo 報告 : 日比谷憲法集会に2600人、被災者からは切実な訴え
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5月3日、東京・千代田区の日比谷公会堂で12回目を数える憲法集会が開かれ、2600人(主催者発表)が参加した。朝からの雨が時おり強く降りつける会場周辺。入場整理券が配られる30分も前から長蛇の列ができていた。

憲法施行から65年目を迎える今年。主催した実行委は「輝け9条 生かそう憲法 平和とくらしに 被災地に」を掲げた。午後1時ちょうどに開会。主催者を代表して西田美樹さん(女性の憲法年連絡会)があいさつ。「自民党は自衛隊を国軍にする改正案を発表した。許せない。私たちはもっともっと今の憲法の素晴らしさを語り、生かすべきだ。最も大切なことは個人の尊重、自分たちが主人公だということ。今日より明るい明日のために憲法を輝かせよう」と呼びかけた。

■被災者の切実な訴え

福島原発事故で被災し、首都圏に避難している松本徳子さん(写真下)は、家族と分かれて暮らし、同じ境遇に置かれた母親たちのネットワークで活動している。40年以上も原発に反対し続けている人々の存在を、初めて知ったという。「東電が起こした事故のために、家族の命と電気を天秤にかけている。自殺した人もいる。電気料金の値上げなんてとんでもない。危険な核エネルギー開発を、原発をなくすべきだ」と言葉を詰まらせた。

伊波洋一さん(元宜野湾市長)はまず、震災で命を落とした人々の冥福を祈った。そして日米安保に苦しめられ続ける沖縄の現実を告発。「解決能力を失った外務・防衛両大臣は即刻辞任せよ」と声を荒らげると、会場は大きな拍手に包まれた。

60年前の安保条約は、米ソ冷戦構造のなかで締結された。だが現在は対米より対中国貿易が拡大し、米軍と自衛隊は中国との戦争を準備している。日本を取り巻く環境が大きく変わっていくなかで、アメリカだけを見て軍事的緊張を続けるべきではない、と伊波さんは指摘。「日米安保を清算し、アジアの平和、日本の平和、沖縄の平和を作っていこう」と訴えた。

脚本家の小山内美江子さん(写真上)は、ヨルダンやカンボジアなど他国を訪れた際に称賛された9条の素晴らしさを、ユーモアを交えて明るく語り、会場をわかせた。中川美保さん(写真下)は、ピアノ伴奏で「港が見える丘」「長崎の鐘」「愛の賛歌」など数曲を熱演。会場は美しく響くサックスの音色に酔いしれ、アンコールを求める拍手が鳴り止まなかった。

■被災地にこそ憲法を

昨年秋、休眠状態に陥っていた憲法審査会が動きだした。4月27日には、自民党が新改憲案を発表。自衛隊を国防軍に格上げするほか、大規模な災害の際に首相が「緊急事態宣言」を発し、行政が国民に義務命令を下す条項を盛り込んだ。

「憲法に緊急事態法がなくて困ったことなど、何もない」――社民党の福島瑞穂さんは、審査会の議論や自民党の改憲案を厳しく批判した。憲法は国民が政府を縛るためにある。国が国民に説教を垂れ、公益・公秩序を守れなどと命令される筋合いはない。自民党案には、憲法9条改悪のための議会での賛成を3分の2から過半数への緩和も明記されている。

「維新の会と自民党が手を組めば、あっという間に憲法改悪がなされる」。福島さんは警告。「原発輸出反対。辺野古海上基地反対。原発再稼働反対。憲法を活かす社会を共につくっていきましょう」。

日本共産党の志位和夫さんは、「憲法を守る闘いは、憲法と相いれない現実を変えていく闘いだ」と前置きし、3つの視点で提起した。ひとつは、「原発と憲法」。震災関連死が1700人近くに上る現実を挙げ、「原発と憲法は両立しない」ときっぱり。「再稼働と電力需要を天秤にかける議論じたいが間違っている」と声を張りあげた。

■「維新の会」を軽視せず

「原発や安保に比べると格落ちの問題だが」――志位さんは最後に「大阪維新の会」に触れた。職員への思想調査や教員の口元チェックについて、「思想信条・教育の自由を土足で踏みにじる恐怖政治・独裁政治だ」と怒りをあらわにし、がれき処理が進まないことを9条のせいにした橋下知事を、容赦なく糾弾した。「人権と民主主義を守る共同の闘いをつくろう」と結んだ。

集会後、参加者は複数のグループに分かれパレードに出発。デモ隊の先頭には、二人の私服警官が常時張りついていた。右翼らの襲撃から参加者を守るためなのか。それはあくまで口実だ。数寄屋橋交差点を過ぎると、歩道では構成員らがデモ隊に罵詈雑言を浴びせていた。最初のうちは機動隊員が彼らを規制していたかに見えたが、警察はある地点で車道との境界の柵まで右翼を誘導。挑発行為の場を提供していたのだ。

被災者の回復も、被災地の復旧も、原発事故の収束も遅々として進んでいない。それは、平和憲法のせいではない。政府の無策が、歴史的な悲劇すら奇貨とし、大震災に便乗して改憲をねらう勢力に、つけ入るすきを与えているだけのことだ。

集会は「今こそ憲法の出番だ」と声をあげた。参加者の熱意そして一体感を、ひしひしと感じた一日だった。(Y)


Created by staff01. Last modified on 2012-05-04 20:35:36 Copyright: Default

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