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LNJ Logo 福島民報の誤報記事『母子の自主避難者の賠償金額・なし』に被災者激怒
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2011年12月6日、文部科学省で第18回原子力損害賠償紛争審査会(原賠審)が開かれ、自主避難者への賠償金額の目安が発表された。 政府が指定した警戒区域、計画的避難区域外の23市町村の被災地から、自主的に危険を判断して避難した人々への賠償金額は妊婦と子供(18歳以下)は一人当たり40万、それ以外は8万円というガイドラインが出された。

審査会に参加した被災住民の『全被災者が対象でないと被災者同士の軋轢を産む』という声の基に、避難していない住民も一律、この賠償の対象となる。 つまり全福島県民への賠償が認められる事となったが、金額が低過ぎる事への抗議の声が噴出した。

地元新聞で誤報発生。 7日朝刊で『福島民報』は賠償対象者の『母親と子供』について、『賠償金額なし』 との記事と図解を掲載した。 妊婦と子供以外は一律8万の筈なのに、と不審に思った読者が文科省に問い合わせをし、誤報が発覚した。 福島民報は慌てて『遅刷り』と呼ばれる朝刊の最新版で訂正し、翌日8日に訂正記事を出した。

同社に問い合わせしたところ、編集局の佐久間順さんという方が対応した。 仔細を聞くと『共同通信配信の記事を載せたところ、その中の賠償金額が間違っていたので、誤報になった』との事。 『たとえ共同通信と言えど、内容をチェックしないのですか?裏付け取りはしないのですか?』と聞いたところ 佐久間『普段はしない物なんです』とのこと、共同通信社配信の記事をノーチェックで掲載した所の誤報事件だった。

『自主避難を考えている親御さんにとって母子にとっての、心理的、社会的影響を考えなかったのか』との問いには答えなかった。経緯については 佐久間『朝の早刷り、6版で指摘があり気がつき、8版の遅刷りで訂正し、翌日訂正記事を出した』という経緯の説明を受けた。 『6日の経産省で行なわれた原子力賠償紛争審査会には東京に取材に行ったのか』 佐久間『行ってません』

そこで共同通信社に改めて誤報が流れた経緯を聞いた。 同社のニュースセンター整理部・新堀浩朗部長が『大変申し訳ない事で、申し開きが出来ない事』と全面的に共同の記事が間違いであったと話し、『取材をした記者の聞き取り間違いです』と取材ミスからの誤報であった事を認めた。

『当事者にとっては非常に重要な問題、これは情報の隠蔽なのか、何かの意図があるのか』 新堀『全くありません、最初、母子の賠償は賠償金額にまた新たな金額を上乗せするか、との審査会でのやり取りで『上乗せはしません』という返答をしていたのを聞いていた記者が『母子自主避難賠償金額は0円』と聞き間違え、そのまま記事になってしまったのです、ニュースリリースも無く、その場のやり取りを聞いていくという取材でした』 『取材ミス、という事ですか』 新堀『その通りです、6日に審査会があり、7日に記事が各報道機関に配信され、翌日8日に訂正されました、配信した報道機関には、間違いであった事は通達しました』 『他の新聞社も、掲載されましたか』 新堀『詳しくは解りませんが、掲載された』

二人の記者に話を聞いて、感じたのは『事件への問題意識が希薄』という事だった。 沢山配信される記事、膨大な情報、日々の更新・・・ の、その中の誤報のひとつでしかないのだろう、しかし、ガラスバッチを持たされ、それを計測されて報告される毎日よりも、放射能のない地域で暮らしたい、と思ってる親子には実にショックな内容の記事だ。 怒っている人達が沢山いるのも当然と思う。

特に福島民報は地元の読者が当事者である(原陪審)に取材にいかず、中央の報道機関の記事をノーチェックで掲載する、という脇の甘さ。 報道関係者としての矜持を疑う物である。 二度目に『福島民報』を取材した時は終始『訂正したんで』と面倒そうに答えていた。(その時の対応者は風間記者)

読者はお灸の据え方をよーく、考えた方が良いと思う。

写真は『STOP』原発!アクション http://www.geocities.jp/stopnuclearkansai/index.html より提供。

上田眞実 2011 12 15


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