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LNJ Logo 報告 : 「裁判所前の男」大高裁判、萩尾弁護士が鋭い追及
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9月16日午後1時半より、「裁判所前の男」大高正二さんの裁判が東京地裁429号の警備法廷であった。32名の傍聴席に42名が抽選に並んだ。5席の記者席が用意されていたが、終始空席だった。つまり10名の人が不当に「傍聴権」を奪われることになった。

この日は当初は結審の予定だったが、新たに萩尾健太弁護士がつくことになり、情勢はいっぺんした。裁判をすぐに打ち切りたい多和田裁判長に対して、萩尾弁護士は食い下がった。「これは冤罪事件だ。裁判所が裁判所内で起きた事件、つまり身内の事件を裁くわけで通常の事件とちがう。慎重にも慎重を期すべきだ。これまで出された証拠をざっと見ても、おかしいところだらけ。これから精査し、新たな証拠提出をしたい。とくに事件現場の監視カメラの映像確認は必須。すぐ映像があるかどうか調べてほしい。また“頸椎損傷”と認定した医師の診断書も疑わしい。別な医者の所見をとりたい」と弁論した。

この日も「帽子をかぶっていた傍聴人の即時退廷」を命じたり、大高被告に「黙りなさい!」とどなったりの独裁ぶりを発揮していた多和田裁判長だったが、萩尾弁護士の理路整然とした弁論に、まともに答えられず口ごもる。「裁判を迅速にしたいので次回(11/24)で結審にしたい」と懇願するばかりだった。これに対し大高さんは、裁判長に対して大声で「なぜそんなに急ぐのか。公平に慎重にやるのが裁判ではないか!」ときっぱり。多和田裁判長は、大あわてで「被告の発言を禁止します!!これ以上しゃべったら退廷させます」と言うだけで、傍聴席の失笑を買った。

次回は、11月24日だが、弁護体制が代わったことで、裁判の流れが大きく変わった。弁護団は、萩尾氏に加え大口弁護士など鉄建公団訴訟をたたかった弁護士計4名が加わることになった。これだけ力を入れているのは、この裁判が「裁判所の犯罪を裁く」重要な事件と認識しているから。さっそく裁判長に「大法廷での開催」を要求した。

またこの日の傍聴には、市民メディアグループの初めて参加するなど、関心の輪が大きく広がってきた。初めて傍聴した市民(女性)は「怖くて体が震えた。こんな酷い裁判は初めてだった。何とかしなくては」と感想を語った。(M)

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●大高裁判傍聴・私的メモ (メモ作成=Iさん)

2011年9月16日 第6回期日
東京地裁429号法廷13:30-14:30

刑(わ)第2949号 
東京地裁刑事第10部 公務執行妨害、傷害

被告 大高正二

裁判長 多和田隆史
裁判官 本間敏広
同 寺千尋(旧姓山田)
書記官 中條朋子

検事 山本佐吉子
同 大滝則和

 今回も抽選。記者席は5席、例によって誰も座らず。
 今回は、大高さんが国選弁護人を解任し、私選弁護人(萩尾健太)がひとり出廷することになっていたが、裁判所が国選弁護人の解任を認めなかったため、図らずも国選弁護人2人と私選弁護人1人の3人体制となった。弁論は私選弁護人の萩尾健太弁護士がひとりで行った。

 傍聴人が着席したところで、裁判長が帽子を被っている女性に帽子をとるように言う。
女性「かつらです」
裁判長「かつらなんですか?」
女性「かつらです」
裁判長「退廷を命じます」
 三人の所員に強制的に連れ出される。
裁判長「傍聴人に注意します。不規則発言、挙動不審は退廷を命じます。カメラや録音機などの所持禁止品をもっている場合も」
 大高さんが裁判長の横暴に抗議する。
裁判長、大高さんに向かって「審理を開始するので発言を禁じます」

検事「乙号証6号から8号について弁護側の意見をきく」
萩尾弁護士「不同意です。乙6号証から8号証は大高に対する偏見を抱かせるもので不当である。40年前の交通事故は関係ないし、7号証8号証は名誉棄損有罪判決でありそれは本件とは全く異なっており偏見を抱かせるもの」
弁護士「裁判長、さきほどの退廷命令は審理に入る前であるので、裁判長に権限がないのでは?」
裁判長「それは終わった事です。傍聴者が入った段階で裁判長に権限がある」
大高「発言!弁護人を解任した」
裁判長「解任の権限は(大高さんには)無い。発言は禁止する。続ければ退廷を命ずる」
弁護士「(解任ができないことを)本人に分かるように」
裁判長「説明する必要は無い。刑訴法上の問題。主任弁護人、私選弁護人に説明しなさいよ」
(弁護人同士での説明はなかった)
大高「国選弁護人は(来るのが)いやなのに来た」
裁判長「(大高さんに)座りなさい!退廷を命じますよ。弁護人はちゃんと対応してほしい。」
弁護士「国選弁護人解任の権限は裁判長から説明されるべきでは」
裁判長「引き続きやってもらう、不服申し立て権はない」
大高「法律で示してほしい」
裁判長「そんなことは関係ない。検事どうですか?」
山本検事「刑訴法323条1号で証拠請求する」
弁護士「異議あります。必要性のないものは請求する必要もない」
裁判長「採用する」
弁護士「異議申し立てします。理由は必要性、関連性がない」
裁判長「異議を却下します」
山本検事、乙1号から8号までの概略を説明する。
裁判長「それでは(乙号証を)提出して下さい」
(山本検事、回答書の内容朗読。入構禁止命令、構外退去命令は庁舎管理規定に基づくものと規定の説明をする)
裁判長「立証は終えたでよろしいか」
山本検事「はい」
裁判長「被告は9月2日、9月12日と最終弁論二通を出しているので従来のように結審していいか」
弁護士「認めません。証拠調べが不十分。(検事の?)回答書で益々必要性を感じる。意見書を提出します。その意見書を読みます」

・萩尾弁護士提出意見書

 私選で弁護に付き間がないので、証拠調べや管理規定を精査したい。主たる争点は大高さんが2010年8月10日合同庁舎南門で守衛長をゲンコツで2回たたいたという暴行があったかどうかである。また、大高さんに発令された構外退去命令の適法性である。被害者が裁判所職員である。裁判所が当事者であり、裁判所が大高さんを裁くことに問題がある。杉田、橋本他2名が取り調べられた。ところが告発人であるから身内にすぎないし、大高さんへの抗議という共通目的があったと思える。岡事務局長が告発したという心理的な圧力もあると思う。暴行事実は疑わしい。その矛盾は提出命令申し立てで述べているが、2階の監視カメラで当時の映像をとっていたはずであり提出を求めたい。門扉バーに腹を乗せて殴打したとなっているがその動作は困難である。飛び乗って殴ると言う動作の前に避難するのではないだろうか。杉田はすぐに門扉を閉めたと言うが、そのことと殴った事が整合性がない。倒そうとしたとされるカンバンは端にあり、すでに閉まっていた門扉からそれはできないので、時間的に暴行できる時間はない。現場の再現実験を検討している。

 傷害事実は医師証言で認められなかった。4時間後にコブがひいていたとなっているし、捜査機関にもコブのことは一言も言っていない。このことは医師の証言に合わせるもので不自然。杉田は制帽を被っていて、その上から殴られて頸椎損傷になり、4時間後に外部所見が無いことについて他の医師の意見を求めたい。

 大高は排除されるとき負傷している。7日間の安静治療が必要とされた。それは必要最小限の有形力ではなかったのではないか? 大高の排除を目撃していた人物の証人申請をしたい。
 庁舎管理権と有形力の問題は憲法問題である。検事は管理規定をどう調査されたのか。第三者的な見地から憲法との意見も聞きたい。ケータイをもっているだけでだめなら、今私も持っている。(と言って自らのケータイを示す)

 刑訴法1条(後注)の実現が裁判所の責務。審理を続行してほしい。

裁判所「論告弁論は行わない」
弁護士「法務省照会請求申し立てをする。裁判所が被害者となっている。杉田、橋本は(証人として)信用性が低い。監視カメラの写真をつけた。南門の監視カメラである。大高が被疑事実があれば写っているはず。1階の行動は写っている。事実を明らかにするためには必要。管理している事務局に対し2010年8月10日0時20分から30分までの間のカメラ映像を任意提出するかどうか照会してほしい。刑訴法99条2項により提出命令されたい。」
裁判所「釈明しますが、カメラ様のものがあるが、照会は映像保存、設置時期、なども照会する必要があるか?論理的順番としては1年前にあったのか録画されているのかをきく必要があるのでは?前向きに検討する」
弁護士「(画像が)無い場合いつまで保存していたのか?慌てて消したのかもしれない。消してものの再現する手段、保存期間なども」
検事「必要性は感じないが、裁判所がやるとするなら」
裁判長「直ちに決定しないが期日外でやりたい」
検事「必要性はない。職権でするならいいが」
裁判長「画像が残っていれば客観証拠になるということだね。次回期日にビデオを証拠申請するということか」
弁護士「はい」
裁判長「法務省照会の結果を待ってから憲法学者などの証人尋問をする訳ですね。先に次回期日を決めーておきます。11月24日13時30分から16時30分」
弁護士「本件は注目されているにもかかわらず、記者席があって傍聴人が入れない。大法廷でやってほしい」
裁判長「それは裁判所が判断すること。回答結果が来てから期日外で証拠の採否を決定することになる。次回期日で証拠調べができる。証拠調べを行わないということになると論告弁論になる。2ケ月あるから期日外で証拠請求をしてほしい」
弁護士「証拠申請が認められるのか?認められなかったら論告弁論に入るというのはどうか」
裁判長「それはまだわからない。採否は裁判所が決めることだし」
弁護士「必ず論告弁論に入るのは困る」
裁判長「採用だったら証拠調べだし、不採用だったら論告弁論をやっていただく」
弁護士「その場合は他のことを考えたい。学者の意見書は時間がかかる」
裁判長「意見書が必要かどうか、不同意だったらどうするか」
弁護士「裁判所相手だから裁判所の判断でするのはおかしい」
裁判長「傍聴人、笑ったら退廷を命じます」
弁護士「(学者の)意見書は2ケ月くらいかかる」
裁判長「早急に書いてもらって下さい。憲法学者の尋問はするんですか」
弁護士「申請します。医師の意見書も時間がかかる」
裁判長「1ケ月でできませんか。カメラ等の証拠申請は10月17日までに請求してほしい。学者や医師は2ケ月で11月16日にはできる訳ですね」
弁護士「どんな力で殴るとコブができ、4時間でそのコブが引くか、という意見書」
裁判長「それも11月16日に合わせて請求してほしい。意見証拠だから検事は同意しますか」
検事「そうですね」
裁判長「学者意見書、証人尋問、医師意見書を11月16日までに請求してほしい。11月24日証拠決定していれば、仮定だが証拠調べをする。学者は事前開示しているから論告弁論できる。被告は最終弁論を出しています。だから論告弁論できるのは」
大高「ウソを言うな。その後に弁護士が代わっている」
弁護士「公訴権濫用なども考慮したい」
裁判長「(大高さんの発言を禁じ)警備法廷だから期日がとれない。2ケ月でやってほしい」
弁護士「できない。管轄問題(後注)もあると思う。別期日に論告にしたい。冤罪で拘束されているため慎重な審理が必要とされる。本人も慎重な審理を望んでいる」
裁判長「期日については別途打ち合わせをしたい。10月17日までに照会結果をふまえて11月16日までに学者証人申請、医師意見書証人申請をしてほしい。11月24日証拠請求の採否を行い、論告弁論にしたい」

 閉廷の後裁判所、検事、弁護士で日程協議がされた。
 その後萩尾健太弁護士も加わり簡単なブリーフィングが行われた。尚、今後は私選弁護人4人が入り、解任が許されなかった国選弁護人2人の計6弁護士体制となる模様。
 また、多和田隆史裁判長は共産党ビラ入れ事件で有罪判決を下した人。


*刑事訴訟法

第1条 この法律は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする。
第99条 2 裁判所は、差し押えるべき物を指定し、所有者、所持者又は保管者にその物の提出を命ずることができる。

管轄問題とは刑事訴訟法の第17条 検察官は、左の場合には、直近上級の裁判所に管轄移転の請求をしなければならない。
1.管轄裁判所が法律上の理由又は特別の事情により裁判権を行うことができないとき。
2.地方の民心、訴訟の状況その他の事情により裁判の公平を維持することができない虞があるとき。
2 前項各号の場合には、被告人も管轄移転の請求をすることができる。


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