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影書房新刊、李正子歌集『沙果、林檎そして』
をご案内させていただきます。

(以下、転送・転載歓迎です。)*****************

李正子(イ・チョンジャ) 著
歌集『沙果(サグァ)、林檎そして』
    (2010年11月、影書房刊) のご案内

    ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

本書の著者・李正子(イ・チョンジャ)さんは、1947年生まれ、
三重県伊賀市在住の在日韓国人二世の歌人です。
二十歳のころ、「朝日新聞」の朝日歌壇に初めて投稿した歌、

 はじめてのチョゴリ姿に未だ見ぬ祖国知りたき唄くちずさむ

が、近藤芳美氏の選でトップ掲載されたことがきっかけで、以来歌
を詠み続けてこられました。このたびの新刊が第五歌集となります。

 民族と出会いそめしはチョーセン人とはやされし春六歳なりき

 「チョーセン人チョーセンへ還れ」のはやし唄そびらに聞きて
  少女期は過ぐ

 泣きぬれて文盲の母を責めたりき幼かりし日の参観日のわれ

       ――以上、第一歌集『鳳仙花(ポンソナ)のうた』より

日本の地方都市で生まれ育ち、何の疑問もなく幼時を過ぎて、小学
校へ上がる六歳の春。周りの子どもたちからはやし立てられ、突如
として自分がまわりとは異質な存在であり、「チョーセンジン」という
言葉で差別される身であることを自覚させられる。以後の、弁当箱
に砂を詰められ、石つぶてを投げつけられる日々。多感な時期を染
める、あまりに過酷な現実……。

この第一歌集『鳳仙花のうた』に寄せられた「序」で、歌人で李さんの
師でもある近藤芳美氏は、李さんの歌を「幼さと清純の中に、負って
生きなければならない民族の悲しみと怒りとが激しくうたい告げられ
ている」と書かれています。そして「その悲しみと怒りとは、わたしたち
日本人に向けられているものとも当然思わなければならなかった。」
とも。(*『鳳仙花のうた』影書房刊は現在品切れです)

第二歌集『ナグネタリョン』(河出書房新社)所収の、指紋押捺拒
否の際の心情を詠んだ歌が、在日韓国人歌人として初めて「国語」
教科書(三省堂)に採用されるなど、李正子さんは歌の世界にとど
まらず、高い注目を集めてきました。

第一歌集『鳳仙花のうた』出版から四半世紀、六篇のエッセイも織り
込んだ最新歌集『沙果、林檎そして』は、これまでと同様、
日本的叙情の世界に終始しない詩精神に溢れながら、
より自由な世界を求めているように感じられます。

 在日へ吹く隙間風に交わらぬ韓流ドラマ見ているそれでも

 この国に生まれて再入国許可書要る一体わたし入国したの?

 唐突に共生移民外国人など歴史認識もてないニホンに

 移民から知事を生み出すアメリカの夢は太平洋を越えることなし

                ――『沙果、林檎そして』より(以下同)

韓流ブームに沸きたつ一方で、朝鮮植民地支配の加害の歴史には
全く関心を示さない大多数の日本人。しかも、戦後すぐに始まった
在日外国人に対する諸政策は、実質的に植民地主義を継続し、
現在に続く歴史でもあるのに……。
戦後65年も経つにもかかわらず、いまだ地方参政権さえ許さない国。
「チョーセン人チョーセンへ還れ」の言葉は、いまなお日本の街中に
響き、その声は大きさを増してさえいます。
新たな来日外国人の増加など、日本社会の大きな変化も詠みこみつ
つ、牢固として変わらない日本の状況を、李さんは歌で問いかけます。


 湖に漣(さざなみ)たつはみじかすぎるキミの一生(ひとよ)の
  パンソリなりき

 湖底には母のナミダの精霊壺沈めてキミが孵化するために

 古書店にキミが求めたエッセイ集 鷺沢萌はチョゴリ姿で

本書には最愛の息子さんをなくされた深い悲しみが底流に流れ、
時に溢れ出て、読む者の胸を強く打ちます。


 デラシネに保証などなきふるさともなくて口ずさむ朝鮮の詩(うた)

 綿雲のとどまるさきに絶望という名にひそむ希望やわらか

 ただひとりの人とし歌を詠むほかになにもできないなにももたない

在日韓国人として、一人の生活者として日本に生きる「日常」を詠み
続けてきた李正子さん、一人でも多くの方にその歌の世界にふれて
頂きたいと願っています。

本書を受け止めてくださる読者が広くありますことを祈りつつ、
ご案内をお送りさせて頂きました。
長文最後までお読みいただきありがとうございました。

※ご注文は下記へ。
e-mail : kageshobo@ac.auone-net.jp
TEL:03-5907-6755
FAX:03-5907-6756
「メールを読んで」と添えて下されば、11月末までの期間限定で
消費税・送料サービスとさせて頂きます。
また、影書房発行の本は、全国どちらの書店からでもお取り寄せいただけます。

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◆書 名:歌集『沙果(サグァ)、林檎そして』
◆著者:李正子(イ・チョンジャ)
◆体裁:221頁、四六判上製
◆価格:2200円+税
◆発行:影書房
目次等詳細はこちらへ↓
http://www.kageshobo.co.jp/main/books_individual/sagaringososite.html

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以上。

2010年11月 影書房 松浦
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◆影書房◇
〒114-0015
東京都北区中里3-4-5 ヒルサイドハウス101
TEL03-5907-6755 FAX03-5907-6756
e-mail : kageshobo@ac.auone-net.jp
URL : http://www.kageshobo.co.jp
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