投稿コラム:お葬式とお墓をめぐる叔父と姪の会話 | |||||||
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投稿者: 小林たかし マジョリティは無意識の暴力をかかえてるんや。 ――お葬式とお墓をめぐる叔父と姪の会話―― さ お り◎オッチャンのお母さんが亡くなってからもう一年やなあ。 オッチャン◇うん、ほんまは一周忌やから、親戚一同を呼んで、坊さんにお経を読んでもろて、お清 めいうてみんなにご馳走せなあかんかったんや。けど、ワシと妹夫婦の三人で墓参りするだけで済ま してしもた。 さ お り◎ほんまに日本の冠婚葬祭はややこしいからなあ。故人をちゃんと偲べばそれでええのに なあ。お寺と葬儀屋がもうかるように、わざとややこしくしとるんちがうか? オッチャン◇日本の冠婚葬祭は、宗教ゆうより習俗やからな。それもときには必要かもしれんけど、 最近は形骸化してしもうて、貧乏人は死ぬときも収奪されるのやなあ、って暗澹たる気持ちになって しまうわ。 さ お り◎でもオッチャン、故郷のお墓に行って、なつかしい山や川をながめながら、お母さんの ことを思い出すのもええもんやろ。 オッチャン◇それが自然なことで、日本人はずーっとそうしてきたんや、というところに落とし穴が あるのではないかなと、いま考えとんのや。純粋な郷土愛いうのもあるとは思うんや。でもそれが愛 国心になって、それから愛国主義に、そして民族主義に、最後は排外主義というイデオロギーに変わ っていく危険性がないという保障はないんや。 さ お り◎ふーん、話がややこしくなってきたな。 オッチャン◇そうなってしまうのはワシが日本人だからなんや。日本にいる外国人は、日本人がなつ かしがる故郷の自然を、ワシらと同じようにはみていないと思うんや。日本にいる外国人、つまりマ イノリティ(少数民族)にとって、故郷は日本以外の国の郷土なんや。このあたりまえのことが、日 本人つまりマジョリティには理解しがたいことなんよ。ワシもそうなんやけど、日本にいるだれもが 日本の自然を愛していると錯覚しとるんや。お墓についても、外国のひとはそれぞれの国の伝統や習 慣にもとづいた墓があって、それは日本の墓とはちがうのや。形式も考え方も。 さ お り◎そや、四、五年前のことやったかな、在日朝鮮人の友だちの話を思い出したわ。彼女は お母さんが亡くなって涙にくれているときに、どこで聞きつけたのか日本の葬儀社のひとが来て、葬 儀を取り仕切って墓までつくらされてしまったのや。家族は悲しみのなかでオロオロしてたから、仏 教徒でもないのに全部仏式で片づけられてしまったそうや。 オッチャン◇それも日本のマジョリティによる、ほとんど暴力にちかい仕打ちかもしれんなあ。 さ お り◎ちょっと前に、日韓両国の有名人はだれかゆうアンケートをした新聞社があったやろ。 韓国のひとが選んだのは安重根が暗殺した伊藤博文だったのに、日本人が選んだのは「ヨンさま」こ とペヨンジュだった。ウチはペヨンジュも好きやけど、このギャップは大きすぎへんか。せめて日本 で拉致されて以来、苦難の道を歩み、民主化の過程で大統領となった金大中さんくらいを選んでほし かったなあ。 オッチャン◇その程度なんや。残念やけど、それが日本のマジョリティの現実や。韓流ドラマが70年 代の韓国民主化闘争のなかから生まれたということも、日本のマジョリティは気づいてへんと思うの や。これは木下昌明という映画批評家の説なんやけどな。そや、彼の新しい批評集が11月に出版され るそや。 さ お り◎オッチャン、その本ウチ買うて読むわ。なんという題の本や? オッチャン◇前宣伝によると『映画は自転車にのって』いうのや。 さ お り◎おもろい題やな。「春は馬車に乗って」いう小説もあったけど、もちょっとしたら冬や さかい、インフルエンザの注射しときや、オッチャン。 オッチャン◇注射はきらいや。若い女性の看護師さんは好きやけど。 さ お り◎しょうもない!「憎まれっ子、世にはばかる」やな、オッチャンは。 オッチャン◇いや、「憎まれて世にすむ甲斐はなけれども、可愛がられて死ぬよりはまし」や。 さ お り◎オッチャンは、もともと可愛ないわい! 【2010.10.22 小林たかし‘記す】 Created by staff01. Last modified on 2010-10-22 01:10:35 Copyright: Default |