本文の先頭へ
LNJ Logo 1センチメートル四方の誇り(片岡伸行)
Home 検索
 


『週刊金曜日』公式サイト内にある副編集長・片岡伸行さんのブログ(シジフ
ォスの希望)に「国労バッジ闘争」の記事(2回分)が載りました。
筆者の了解を得て、レイバーネットに転載します。
なお26日には勝利集会があります。(編集部)

1センチメートル四方の誇り(1)  シジフォスの希望(37)

 文字通り「孤軍奮闘」であり、不撓不屈の闘いだ。辻井義春さんは1974年7月
に国鉄(日本国有鉄道)に入社し、2カ月後の9月に国労(国鉄労働組合)に加
入するとともに、勤務時間中の「国労バッジ着用」を始めた。現在も国労組合員
としてバッジ着用を継続している。わずか約1センチメートル四方のバッジ着用
をめぐり、JR東日本は「就業規則違反だ」として不利益処分を繰り返す。しか
し先月、辻井さん勝利の命令が出た。
 2010年1月26日、神奈川県労働委員会(関一郎会長)はJR東日本の行為を労
働組合法第7条に該当する不当労働行為だと認定し、「就業規則違反」を理由と
した処分によって減額した賃金に利息を付けて支払えと命じたのだ。

 それにしてもJR東日本の攻撃は異常だ。上記の不当労働行為救済申し立て事
件の「命令書」=神労委平成20年(不)第2号=の記述から要約する。
 中曾根康弘政権時代に国鉄が分割・民営化(1987年4月)された翌月のことだ
った。
「会社にとって必要な社員、必要でない社員のしゅん別は絶対に必要なのだ。
(中略)おだやかな労務政策をとる考えはない。反対派はしゅん別し断固として
排除する。等距離外交など考えてもいない。処分、注意、処分、注意をくり返し、
それでも直らない場合は解雇する」(JR東日本常務取締役・松田昌士、経営計
画の考え方等説明会で)。
 さらに、松田常務は同年6月20日の鉄道労連高崎地方本部主催の学習会でこう
述べる。
「就業規則で認めていないことが何で労働運動か。したがって、今度は、人事部
長名であらゆるところに掲示して宣戦布告し、個人説得をするなどしてそれでも
従わなかった者には処分という形で警告を与えた。しかし、これでは終わらない。
どしどしやっていかなければならない。どうしても一緒にやっていけない者は解
雇するしかない」

 JR東日本の組合員攻撃はエスカレートした。指導から警告、そして厳重注意
処分による一時金の減額などの不利益処分を乱発。「服装整正違反」を理由に処
分された者は1987年6月に4883人、11月に2089人、88年11月に2162人、89年5月
に2454人、90年3月に2298人、9月に2077人、91年3月に2053人……(これが毎年
延々と続いて)2002年3月に314人……。こんな会社の動かす電車に日々乗らざ
るを得ないのは何とも悔しい。
 
 辻井さんは申し立ての中でこう主張した。
「国労バッジ着用は、日常的な服装の一部として、国労組合員が国労に所属する
ことを表象するものに過ぎない。国労バッジは、約1・2センチメートル四方程
度の四角形の小さな物であり、着用していてもほとんど目立たない。このような
バッジを着用して就労しても、物理的にも、社会的にも、その労務の提供を妨げ
たり、疎かにしたり、又は誤らせるおそれを生じさせるものではない。(中略)
したがって、国労バッジ着用は、就業規則違反に該当するか否かを論じるまでも
なく、正当な組合活動である」。  (つづく)
                (2010年2月15日・片岡伸行)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
●1センチメートル四方の誇り(2) シジフォスの希望(38)

 国労組合員のバッジ着用をめぐるJR東日本との闘いは国鉄が分割・民営化さ
れた1987年から連綿と続けられてきたが、2006年11月に中央労働委員会での「包
括和解」に至る。しかし、その「和解」の中には国労バッジ着用を理由とする数
々の処分についての記述がなかったことから、辻井さんらは国労中央本部と同東
日本本部に抗議文を提出する。

「国労がバッジ処分の撤回を求めて労働委員会闘争を闘ってきたのは、会社の不
当労働行為を追及し、その根絶を図ることが目的だったはずです。しかし、今回
の和解には、『会社に二度と不当労働行為をさせない』『バッジ処分を出させな
い』という保証が何ひとつありません。それどころかこの『包括和解』は、分割
民営化以来20年にわたる会社の不当労働行為責任をうやむやにし、国労の側が不
当労働行為を全面的に容認するものとなっています。……私たちは国労組合員と
しての誇りにかけて、この『和解』を拒否します」

 方針転換後の国労と一線を画し、ただ一人で国労バッジ着用を続ける辻井さん
に対して、JR東日本はより重い懲戒処分である出勤停止を重ね、さらには定年
後に再雇用しない旨の予告をする。『週刊金曜日』09年6月26日号に掲載された
「辻井さん対JR東日本のバッジ闘争」の記事(筆者・古川琢也さん、バックナ
ンバー注文ページ)にこうある。
「02年以来、JR東日本による辻井さんへの処分は総計55回。失った生涯賃金は
1000万円にも上るという」
 たった一人だから簡単にひねりつぶせるはずだ。資本金2000億円、6万人以上
の社員を抱える巨大企業・JR東日本はそう思ったに違いない。しかし辻井さん
は屈しなかった。

 そして、勝利命令。神奈川県労働委員会は先月26日、JR東日本に対して、辻
井さんへの不利益処分の回復を命じるとともに、下記の文書を渡すよう命じた。
「当社が申立人に対し、国鉄労働組合のバッジを(略)着用したことを理由とし
て出勤停止処分を行ったこと及びこれらの処分を理由に期末手当の減額の措置を
行ったこと並びに定年後に再雇用しないと予告したことは、神奈川県労働委員会
において労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。
今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。 平成 月 日  辻
井 義春殿」

 前出の記事の中で辻井さんはこう述べている。
「私も来年2月末に定年を迎えます。恐らくその日、このバッジを外すことにな
るでしょう。でもバッジをつけようとつけなかろうと、国労の誇りを胸に闘う人
が増えてくれればそれでいい」
 2月26日(金)午後6時30分から東京・飯田橋のSKプラザ地下ホールで「国
労バッジ事件」勝利報告集会(『週刊金曜日』協賛)が開かれる(本誌2月19日
号「市民運動案内板」に詳細)。その2日後、辻井さんは「誇り」を胸に定年退
職する予定だ。
 (2010年2月15日・片岡伸行)

****国労バッジ事件勝利報告集会****

ご存じの通り、神奈川地労委は1月26日、国労バッジ事件で闘っている辻井義春さんに完全勝利の画期的な命令を出しました。そこで、国労バッジ事件勝利 報告集会を下記の通り、開催いたしますので、是非奮ってご参加ください。
東京ビデオフェスティバルで優秀作品賞をとった湯本雅典さんの
「国労バッジははずせない!」も完結編で上映します。


●と き  2月26日(金)18:30〜
●ところ  飯田橋SKプラザ地下ホール(飯田橋駅東口7分)
    http://vpress.la.coocan.jp/skmap.html
●なかみ *講演−−下山房雄氏(九大名誉教授)
         「神奈川地労委命令の内容と意味」
     *ビデオ上映(最新版)30分
     *「バッジの歌」他(ジョニーH)
     *応援メッセージ
     *辻井義春さん・家族の訴え 他
●おかね 参加費500円(会場費・資料代)
●主催 JRウォッチ(代表 佐高信) 03-3511-3386
 協賛 「週刊金曜日」


Created by staff01. Last modified on 2010-02-16 10:23:56 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について