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LNJ Logo 国鉄清算事業団の腐敗明らかに〜204億円「ヤミ超勤問題」で要請
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レポート=松原 明

5月22日午前10時、鉄建公団訴訟原告の木山誠二さんは、資料とラジカセを詰め込んだ大きなキャリーバッグを引っ張りながら、東京・西新橋にある「鉄道運輸機構」(旧国鉄清算事業団の承継団体)に乗り込んだ(写真左)。同行したのは、同じ原告の佐久間忠夫さんら(写真右)。

木山さんは、北海道稚内の元国鉄労働者で分割・民営化の時に、国労組合員ということでJR不採用になり、解雇撤回をもとめて20年間たたかっている。今回、木山さんが問題にしたのは、国鉄清算事業団時代に行われた管理者の「ヤミ超勤手当」問題。不採用になった国鉄労働者は、再就職あっせんを名目に国鉄清算事業団に3年間送り込まれたが、そこではまともな斡旋はなかっただけでなく、管理者が「ヤミ超勤」という不正・不法行為があったという。

木山さんは、当時の事業団の管理者同士の会話テープを入手している。それに加え昨年、鉄運機構からの情報開示請求を行ない、そのデータをもとに全体像をつかんだ。データを子細に分析した結果、「ヤミ超勤」で不法に支出された血税は、全体で204億円と推測される。そしてこの日、木山さんは、鉄運機構と国交省に対して「ヤミ超勤手当=総額204億円」の調査と責任を求める「請願」を提出することにした。

鉄運機構で対応したのは、轟課長。はじめに木山さんが、管理者同士の超勤をめぐるやりとりを記録した録音テープ(約15分)を聞かせた(写真上)。それによると、会社をずっと休んでいる人に対しても「ゼロじゃちょっとかわいそうだから」と超勤手当をつけていたこと、「一人毎月同じにつけているの。毎月17時間つけてるの。片方16なら片方18にしてるの」などバランスをとり、勤務実態と関係なく、一人の管理職員に平均月4万8千円の手当を3年間支給していたことが、明らかにされた。

このテープを乗り出すように聞いていた轟課長は、「これが事実だとすれば、おかしいこと」と認めざるをえなかった。しかし轟課長は「清算事業団関係の資料はほとんど残っていないから、調べようがない」と逃げの姿勢。木山さんは「それはおかしい。ないはずの資料が裁判では出てきているではないか。関係者にあたるなどしてほしい。また、あなたがたは“時効”というかもしれないが、この問題に“時効”はない。事業団のひどい扱いで自殺に追い込まれた人もいる」と迫った。佐久間忠夫さんも「私はあなたたちが出した国会資料では、36回就職あっせんをされたことになっているが、実際は1回しかなかった。そんなデタラメばかり」と怒りをあらわにした。木山さんはまた、本来事業団は負担すべきだった運転免許取得費用を自己負担させられた問題(13人分で合計216万円。多い人は64万円)が稚内清算事業団であり、その解決も求めた。これについては「自己負担はあり得ない話。領収書など残っているのか」と轟課長は強い関心を示した。

6月2日の鉄建公団訴訟裁判では、葛西敬之氏が証人喚問され「国家的不当労働行為」の実態にメスが入ることになるが、今回明白になった国鉄清算事業団管理職員の「ヤミ超勤」問題は、その不当労働行為の実戦部隊である管理職が、いかに腐敗していたかを示すものであった。


Created by staff01. Last modified on 2008-05-23 22:43:34 Copyright: Default

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