ビデオプレス一日上映会感想〜迫真のドキュメンタリーに涙の連続 | |||||||
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夏本番、ビデオプレスの上映会に出かけた。そこで「人らしく生きよう−国労冬物語」を初めて見た。友人から評判は聞いていたものの、いまだにDVDプレイヤーのないわが家。完成から7年目の「試写」となった。修善寺大会も、六本木委員長も、その後の臨時大会も、当時を懐かしく思い出せた。涙、涙の連続だった。 管理職の点呼を拒否する組合員たち。映画では「ささやかな抵抗」と紹介されるが、今この時代の尺度で見ればけっして「ささやかな」闘いには映らない。 昨年のレイバー映画祭で「地の塩」を見たが、この「冬物語」も、女性たちの存在感が際だっていた。特に藤保美年子さんが、会場から演壇に押し上げられるシーン。 ロシアのソビエト大会に行ったジョン・リードが、労働者に「アメリカの労働者の報告を」と求められ、「だめだ、代議員ではない」と断りながら、「代議員権? そんなものいらないよ」と推されて、「世界の労働者の大同団結を」と叫ぶ。映画「レッズ」のクライマックスを思い出した。 「私たちの気持ちは、14年前の、あの時に止まっているんです」――涙で席に戻る藤保さん。闘争団の怒りはさらに燃え上がった。壇上に駆け上がる。机が倒れる。占拠する。まるで自分が会場にいるような錯覚に陥る。 撮影した松原明さんは、このときの様子をパンフレットで克明に語っている。記録の舞台裏も興味深いが、それでも私は、この日だけは、鑑賞中に撮影方法に思いを巡らせる余裕がなかった。劇的な、歴史的な時間の流れに、スクリーンに釘づけになってしまったからだ。労働者の、人間としての生身の良心と誇りが、闘争団にはあった。 それにしても。理不尽な国家の政策に、したたかに抵抗する人々。「少数派」に追い込まれていく危機感。家族の生活を考えるとき、人に言えない苦しみもあるだろう。だのになぜ当事者たちは、これほど明るく、さっぱりとしているのだろうか。その答えはきっと、本心ではだれもがそうありたいと願う、単純なものに違いない。 私の予想を超えた、素晴らしいドキュメンタリー作品。いつまでも、一人でも多くの人に見てもらいたい。(レイバーネット会員・Y) *写真=「人らしく生きよう」のトークをする佐久間忠夫さん Created by staff01. Last modified on 2008-07-22 21:01:02 Copyright: Default |