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佐々木です。

12月19日、浦和の埼玉会館で観た劇『地獄のDECEMBER』の感想です。

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ノンフィクション・ステージ『地獄のDECEMBER−哀しみの南京』(IMAGINE21)を観た。自分の頭をおもいっきりなぐられたような衝撃だった。親の世代が中国やアジアで犯した罪とわたしたち戦後世代がどのように向き合うべきなのか、真正面から突きつけられたと思った。

いままで、本や映像や体験者の話を通じて、わたしは日本軍の侵略の実態をみたり聞いたりしてきた。でもほんとうにわかっていたのだろうか。親の世代のこととして、過去のこととして歴史の清算を求めていただけだったのではないだろうか。ステージを観終わった時、こんな気持ちにおそわれた。

脚本を書き演じているのは俳優の渡辺義治さんと妻の量子さん。義治さんの父は、満州軍の将校で多くの中国人を殺した。父は戦後、母に暴力をふるい続け、母は躁うつ病になり父の死後自殺する。一家の悲劇の根を確認するために渡辺さ んは中国へ行き、南京と出会った。そうした中で量子さんも、商人として戦争で金儲けをした自分の父の罪に気づいていく。二人が父の罪を追及し、さらに自らの罪を自覚する中からでてきたのがこのステージである。わたしの父も中国を転戦していた。10年前に亡くなった父の姿が甦った。おまえの父の罪は、そしておまえは・・・、劇はわたしに問い続けた。

劇中、南京での日本軍の行動をさして「退廃のきわみ」という言葉がでてくる。「退廃のきわみ」から出発した戦後、その「戦後」はその「退廃」をそのままに「知らぬ、存ぜぬ」を通してきた。無念のうちに殺されていった無数の人間の魂を放置して、親の世代とともに戦後生まれのわたしたちも笑って未曾有の繁栄を謳歌してきた。「君が代」をそのまま歌い続けた日本人たち。

「日本人はいくらお金があっても、幸せになれないだろう・・・。中国、アジアの人々の怨念が消えない限り。今、幸せな人がいるとしたら、・・・それは、徒花にすぎない・・・。」最終章の台詞が脳裏をはなれない。

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※『地獄のDECEMBER』は、南京大虐殺70周年を記念して、南京市、ニューヨーク市、日本国内30ヶ所で公演が行われたそうです。東京での公演は残すところ一ヶ所。12月28日(金)開演15:00 ブディストホール(築地)予約申し込み 電話・ファックス 042-383-3667 080-5506-2295(当日券なし)大人4000円、中高生2000円


Created by staff01. Last modified on 2007-12-21 21:30:51 Copyright: Default

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