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トヨタ不当労働行為行政訴訟  東京高裁第一回弁論
10月29日(月)  10:00 824号室
戸塚逸朗 国際人権法・龍谷大学教授を証人申請

東京高裁は国境を越えた労使関係という事実から出発しなければならない!      

                        フィリピントヨタ労組を支援する会
                        全造船機械労働組合関東地方協議会

驚くべき東京地裁判決

 東京地裁判決は驚くべき判決を行った。地裁の主張はこのようなものである。
――日本国憲法が保障している労働者の団結権、団体行動権は日本国内の労働者を対象と
したものである。したがって、日本の法律では海外で行われたこの団結権、団体行動権の
侵害を裁くことはできない。また、その侵害行為が日本での親会社の指示、承認によって
行われたものであっても、日本の労働組合法はその行為を裁くことはできない――
つまり日本で行われた日本の法律に違反した行為であっても、団結権・団体行動権を侵害
された労働者が日本国憲法の管轄外の外国にいるから日本の法律では救済されないという
のである。

フィリピン労働者の団結権、団体行動権は守られなければならない
フィリピン法も国連の国際人権規約、ILO条約も
           労働者の団結権、団体行動権を認めている。

 いうまでもなく日本国憲法の団結権、団体行動権は海外の労働者のそれを保障するもの
ではない。しかしフィリピンにおいても団結権、団体行動権は保障されている。また日本
もフィリピンも労働者の団結権、団体行動権を保障する国連の国際人権規約、ILO条約な
どを承認している。したがって、フィリピン労働者への団結権、団体行動権の侵害は救済
されねばならない。
それはフィリピン(裁判所)の責務であるだけでなく、世界の責務である。
フィリピン労働者に対する団結権、団体行動権の侵害の最終的な救済はフィリピンで行わ
れねばならないが、日本トヨタの組合潰しの指示、承認についての救済は日本の労働組合
法で行われる必要がある。つまり、日本トヨタはフィリピントヨタに労組つぶしを改める
よう指導しなければならない。

多くの発展途上国で傍若無人に振舞う多国籍企業

 現在多国籍企業は世界中で、とりわけ、発展途上国で大きな力を持っている。途上国の
ほとんどの国は法律上では労働者の団結権、団体行動権を認めている。しかし、途上国政
府は資本誘致、技術移転、雇用確保などのため、多国籍企業を積極的に誘致している。そ
のため、途上国政府は多国籍企業の組合つぶしを事実上容認し、積極的に擁護している。
多国籍企業は発展途上国の多くで傍若無人に振舞っている。
 フィリピンでもトヨタは合法的に獲得された団体交渉権を拒否し、それに抗議する労働
者を233名も一挙に解雇した。その上、これに抗議するストライキで操業が停止するや
フィリピン政府に「争議を正常化しないと資本を引き上げる」と圧力をかけ、フィリピン

府はスト中止命令を出した。それ以後もフィリピン政府はトヨタの御用組合育成を全面的
に支援してきた。

国境を越える多国籍企業に対し、労働者も国境を越える
グローバル時代に立ち遅れる日本の司法

 途上国のほとんどの国では、国境を越えて活動する多国籍企業の強大な力によって、政
府の強権で法律で認められた団結権、団体行動権が、現実的には否定されてしまってい
る。だからフィリピントヨタ労組は現地で闘うだけでなく国境を越えて全造船関東地協に
加盟し、組合つぶしを指示し、承認している日本トヨタに団体交渉を申し込んだのであ
る。つまり団体交渉の議題は国境を越えた労使関係であった。
 ところが東京地裁はこの国境を越えた労使関係をフィリピンの労使関係にすり替え、日
本の労組法の適用範囲ではないとした。むろん、フィリピントヨタ争議は単なる日本の争
議ではない、と同時に単なるフィリピンの争議ではない。それは、正確にはフィリピンと
日本の国境を越えた多国籍企業トヨタの争議である。東京地裁は、このグローバルな時代
に何十年も前の頭脳で「フィリピンか日本か」などと言っているのである。
 東京高裁は、東京地裁のような架空の世界ではなく、「国境を越えた労使関係」という
明確な事実から出発しなければならない。


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