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LNJ Logo いよいよ投票まで1週間〜安倍を引きずり下そう
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特急たから@福島です。

鉄道と旅と温泉を愛する心の放浪人・特急たからがお送りする不定期コラム、「鉄ちゃんのつぶや記」第31号は、参議院選挙直前号です。

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【鉄ちゃんのつぶや記 第31号】まもなく参院選、消えた年金の真犯人は?

 参院選が近づいた。「消えた年金記録5000万件」が明るみに出てから安倍首相の支持率は急降下。政界では「いつ内閣が倒れてもおかしくない」とされる30%を下回る世論調査結果も現れ始めた。与党の惨敗は必至の情勢だが、2年前の郵政選挙の時も選挙直前まで郵政民営化への支持は50%に達していなかった。それが小泉前首相のプロパガンダで一夜にして変わったように、世間の風向きはふとしたことであっという間に変わることがあるから注意しなければならない。

同時に、「どうせ与党が衆議院で3分の2を握っているのだから何をやっても無駄」と虚脱感に陥っている人もいるかもしれない。私自身、「郵政選挙」での与党圧勝直後に本コラムでそのように書いたことがある(「小泉劇場の果てに」http://www7b.biglobe.ne.jp/~tomonigo/column/tetu/tetu25.htm)。しかしいろいろ考えを巡らせるうちに必ずしもそうではないことに気がついた。国会では「第二院」の地位しか持たない参議院といえども、与党を敗北に追い込むことは大きな与党への打撃になる。衆議院3分の2の巨大与党の前には何をやっても無駄だと考えていた人も、きっと考えが変わるだろう。

 日本国憲法第59条では、衆議院可決後、参議院で否決された法案も、衆議院で3分の2以上の多数で再可決すれば成立すると規定している。これだけ読めば、参院選で与党を過半数割れに追い込んだところで、悪法乱造装置と化した国会の現状を変えるすべはないように見えるが、それは違う。

 国会法の規定によれば、通常国会は延長されない限り会期が150日間である。この150日間での成立を目指して、だいたい1回の通常国会で、政府提出だけで100本近い法案が審議される。政府提出法案は多いときでは1通常国会で120本近くになることもある。ところが150日間の会期といっても、その間に週末があり、祝日もあり、審議が空転して開店休業の日もあるから、会期延長が行われなければ通常国会の実質開催日数は100日に満たないかもしれない。

 100日で100本の法案を通さなければならないとすれば、1日1本のペースである。法案成立といっても、片方の院で委員会審議、委員会可決、本会議審議、本会議可決してもう一方の院に送り、ここでも委員会審議、委員会可決、本会議審議、本会議可決という手順を踏んで初めて成立となるのである。重要法案であれば公聴会も開かなければならない。その手順を踏みながら1日1本のペースである。本来の議会制民主主義がきちんと機能していれば、そもそもこの日数でこの本数の法案が粛々と成立すること自体がおかしいわけで、日本が本当に民主主義国家なのか、この現状を見ると相当怪しいと言わなければならない。

 もちろん、国会がこれほど驚異的なスピードで悪法乱造できるのにはからくりがある。予算案は衆議院から先に審議を始めなければならないと決められているが(日本国憲法第60条参照)、一般の法案はどちらの院から審議を始めてもかまわないから、国会では一部の法案を参議院先議として審議の効率を上げるやり方がとられている。

 参院選で仮に与党が半数を大きく割り込み、自公あわせても過半数に遠く及ばない事態が現実のものになればこの状況は大きく変わり得る。政府提出法案のうち、与野党が対立しそうな法案を参議院先議で審議することは事実上不可能になる。そこで否決されれば終わりだからだ。これだけでも「悪法乱造装置」の性能は大幅にダウンすることになる。さらに、100日間で100本の法案を審議している状況で、政府提出の法案が参議院で次々と否決される事態が現実のものになったとして、それらすべての法案を再可決するだけの時間が国会にあるとは思えない。

 最後は「戦後史上もっとも強行採決を多用した内閣」という記録を残して辞任、という道筋も見えてくる。参院選で敗北すれば、衆議院で与党が3分の2を握っていても、安倍内閣総辞職の可能性はかなり高いといえるのだ。

 今回の選挙で最大の争点である年金問題について触れよう。反省のないこの国のマスコミは20年前、国鉄に対して繰り広げたのと同じ「社会保険庁労使悪玉」キャンペーンを繰り広げている。だが、20年前のあのとき、キャンペーンが真実でなかったのと同じように今回もまた偽りに満ちている。報道によれば、マスコミは社保庁労使が1996年に結んだ「45分間のオンライン入力作業後15分間の休憩」の協定を、怠け者の象徴としてやり玉に挙げているが、人事院が1986年に制定した通達「VDT作業従事職員に係る環境管理、作業管理及び健康管理について」には明確にこう記されている――「(単純入力型業務については)一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10〜15分のVDT作業に従事しない時間を設け、かつ一連続作業時間内において1,2回の小休止を取らせるようにすること」。

人事院はこの通達の制定の動機について、前文で「国の職場における情報技術化の急速な進展に伴い……この間の医学的知見をふまえ」たものであると説明している。社保庁労使が結んだ協定は「医学的知見」に基づいた通達を具体化する現場協議の賜物であり、何ら非難されるいわれはないものである。この考え方は、民間労働者を守るための労働安全衛生法にも生かされており、官民問わず労働者を健康被害から防止するためのものである。こうした正当な権利に対するマスコミのバッシングが、必ず民間労働者にも労働条件の低下として降りかかってくるであろうことは、国鉄バッシングから20年の歴史が余すところなく教えている。

 今日(7月22日)の「河北新報」紙(東北の地方紙)は、1958年に行政管理庁(現在の総務省行政評価局)が行った監査で、すでに年金記録不備が指摘されていたという驚くべき事実を伝えた。自民党政権こそ、半世紀にもわたって年金記録不備を放置してきた真犯人である。その自民党政権は、金権腐敗・利益誘導の政治で財政赤字を膨らませ、収拾がつかなくなった1997年に財政構造改革法を制定した。この際、それまで一般会計(税金)でまかなわれていた社保庁の事務費――例えば机やパソコンを買ったり、公用車にガソリンを入れたりする経費――を国民が納めた保険料から支出してよいという制度が作られたのである。これは、国民が納めた保険料がお年寄りの年金給付に充てられるわけでもなければ、将来の自分たちの年金給付に充当されるわけでもない、文字通りのピンハネを認める悪法だった。

 先日、私は安倍内閣が強行採決で成立させた年金「改革」関連法の全文を入手した。その関連法のひとつ「国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律」の中に驚くべき条文があった。保険料を国民年金事業の事務の執行に要する経費に充てることを認める内容がそこには紛れもなく記載されている。制度を導入した橋本内閣ですら、あまりの恥ずかしさからか、この制度を財政再建までの過渡的な措置としていた。それが、社保庁が解体された後も半永久的に保険料から事務費をまかなうというのだ。いったいこれのどこが「改革」法なのだろう。これでは国民が汗水垂らして働いて納めた保険料の「ピンハネ恒久化法」ではないか!

 まだある。「日本年金機構法」(社保庁解体法)は、社保庁に代わって発足する日本年金機構が「制裁規程」なるおどろおどろしい決まりを作って厚生労働大臣の認可を受けなければならないのだという。そこには、規則に違反した職員は免職になることがわざわざ明示的に定められる。新たな組織は「初めに懲罰ありき」でなければならないというのだ。

 こうした恐怖政治が何をもたらすかは明らかだろう。「処分されるくらいなら余計なことはしないでおこう」という雰囲気がはびこり、新たな組織ではますます何も行われなくなる。処分を避けるため悪い事実が隠蔽され、あるいは上部に報告されなくなる。その結果ますます無気力とごまかしが支配するようになる。最後には運転士を日勤教育で締め上げた挙げ句、大事故を起こしたJR西日本と同じ末路をたどることははっきりしている。

 恐怖政治を敷けば優秀な職員が残り、不良職員は排除できると安倍内閣が考えているのなら、それも大きな間違いである。真に優秀な物言う労働者は日本年金機構から去っていく。後に残るのは「従う」しか能がない不良職員ばかりになることは、国鉄〜JRがたどった20年を見れば明らかであろう。ズタズタにされた年金の再建は、社保庁解体ではなく、逆に社保庁要員を充実させることでしか実現することができない。

 日本国憲法には「公務員の憲法尊重義務」がうたわれている。みずからの敬愛すべき祖父が戦犯として公職追放されている間に、どこかで誰かが勝手に決めた平和憲法なんて糞食らえ、というのが安倍首相の本心だろう。「戦犯の孫」…安倍首相を評するのにこれ以上の言葉が必要だろうか? そもそも戦後日本が、旧ナチス関係者は地獄の底まで追いかけてでも断罪するドイツのように徹底的な戦後処理をしていたならば、首相はおろか政界に籍を置くことすら許されなかったであろう種類の人間なのだ。

 このような人物は1日も早く「公職追放」しなければならないが、その手始めにはまず首相から引きずり下ろすことが必要である。それには参院選がもっとも手っ取り早い意思表示の手段である。マスコミに惑わされず、自分の目で未来を見据えて投票しよう。いよいよ投票まであと1週間である。

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