『雇用溶融』〜掛け値なしにお勧めの一冊 | |||||||
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北です。
アジア記者クラブ定例会で講師をする風間直樹さんの新刊 『雇用溶融』を、「赤旗」のご依頼で書評しましたので紹介します。掛け値な しにお勧めの1冊です。 風間さんは昨年、出版労連・出版研究集会で、言論弾圧訴訟とたたかう当事 者として「週刊東洋経済」の山崎編集長とともに参加、発言いただきました が、「平成の手配師」クリスタルへの勝訴は当然とはいえ、ほんとによかった と思います。 ―――――――――――――――――――――― ◆読書 がんばる人も報われない衝撃ルポ 雇用溶融 風間直樹著 「しんぶん赤旗」5月27日付 液晶テレビのシャープ亀山工場。大分キャノンのデジカメ工場。マスコミが 「生産拠点の国内回帰」と絶賛した?ものづくりの最先端?で何が起きている のか。 本書は、ロストゼネレーションと呼ばれる就職氷河期世代に属する『週刊東 洋経済』の若手記者が、同世代の働き方の深層に迫った衝撃のルポであり、類 書中群を抜く力作だ。 人材派遣会社の奥谷禮子社長の「過労死は自己管理の問題」発言も風間記者 のインタビューで、『東洋経済』に載って波紋を広げたが、本書では奥谷との 問答が全文収録されている。 「労働法をなくし首切りを自由化せよ」という奥谷の暴言は、労働ビッグバン の本当の狙いを理解する格好のテキストで、これだけでも一読の価値がある。 だが本書の白眉は、現場に通い当事者に寄り添った者だからこそ書けた、 「がんばる人も報われない」実態の活写だ。 偽装請負の末に過労死した若者、トイレに行くと罰金を取られる外国人研修 生、有給も労災給付もないバイク便ライダー。なぜこんなことが……。読みな がら、幾度も胸を衝かれた。 政府と財界が進めた雇用規制緩和が、働く者から希望を奪いその精神さえ傷 つけている実態が、リアルに伝わってくる。 とくに当事者の語りが光っている。それは何より風間の取材姿勢が築いた信 頼関係の賜物だが、当事者を支える各地のユニオンの活動にも胸が熱くなる。 本書に結実した取材は、真実に迫ったがゆえにリアクションもあった。最大 のものが請負大手クリスタルが仕掛けた請求額十億円を超える名誉毀損訴訟 だ。その経緯も本書に詳しいが、勝利を得た風間はもちろん、支え続けた彼の 同僚たちにも心から敬意を表せずにはいられない。 では、雇用融解を止めるにはどうしたらいいのか。もとより国民的課題だ が、著者の続編にも期待したい。(北健一 ジャーナリスト) Created by staff01. Last modified on 2007-07-03 11:37:34 Copyright: Default |