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LNJ Logo ドイツ G8 対抗国際デモに8万人〜警察は強圧的弾圧姿勢
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WSF連絡会の大屋(@ドイツ)です。

 ドイツG8対抗行動初日(6月2日)の国際デモに参加してき
ました。もうすでにいくつか他の方の報告や情報提供が流され
ていますが、私の見聞した範囲でのことを報告しておきます。

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 2007年6月2日、ドイツで予定されるG8サミットに対抗する
国際的なデモンストレーションが、開催地に近いロストック市
で開催され、5万人が参加した。デモの到着地であるロストッ
ク港には最終的に8万人が集った(主催者発表、警察発表によ
れば2万5千人であるとのことである)。
 G8で論議される政策とその存在自体に疑問を突きつけるこの
デモは、二箇所の出発地が設定され、午後1時より3時間ロス
トック市内を行進した。ドイツ国外から参加した国際NGOを先
頭に、さまざまな社会運動体、ドイツの左翼諸党派、アナーキ
スト・アウトノミア活動家などの直接行動左派が、一体となっ
ていた。印象的だったのは、直接行動派の部隊がデモ全体の中
で2割から3割の規模を占めていたことである。
 途中一部の直接行動派が、多国籍企業の広告などを破壊した
が、全般的にデモは平和的に行われた。

●デモ到着集会
 デモが到着するロストック港では、記念集会が開催された。
ここでは7人の各界代表が登壇し、新自由主義、戦争、環境破
壊、人種・移民差別、家父長制など、G8が主導する世界秩序の
さまざまな問題点が指摘された。
 グリーンピース・ドイツの代表は、G8各国の温暖化にたいす
る無策や原子力開発の推進継続を批判した。ATTAC・ドイツか
らは、G8の推進する新自由主義的政策が、民営化による公共サ
ービスの破壊や、金融資本の優遇をもたらしているとの非難が
あった。ドイツ政界からは、緑の党青年団や左翼党の連邦議会
議員が演説した。直接行動派の代表は、テロを口実とする不法
移民の取締りを批判し、すべての人間の平等な権利を訴えつつ
、6月4日以降のサミット会場封鎖を訴えた。アフリカのNGO
代表は、サミットのアフリカ支援策がアフリカの民衆のための
ものではなく、その支援策で進出する多国籍企業の利益となる
だけだと訴えた。
 とりわけ、フォーカス・オン・ザ・グローバル・サウスを代
表して登壇したウォールデン・ベロー氏は、今回の対抗行動を
二年前のグレンイーグルス・サミットでの対抗行動と比較し、
ボノやボブ・ゲルドフなどのロックミュージシャンによってG
8の問題点が誤魔化されることは今回はない、ここには200
1年のジェノバ・サミット対抗行動の精神が正当に継承されて
いる、と述べ、とりわけ大きな喝采を受けた。

●ドイツ警察の挑発
 しかし、この到着集会において、ドイツ当局の強硬姿勢も明
らかとなった。
 デモの途上で行われた一部の破壊行為を理由にして、ドイツ
警察はデモ隊全体に対して圧力を加え、午後3時にデモがロス
トック港に到着し始めると、集会会場を一時包囲した。NGO、
社会運動、直接行動派が合同して構成されたデモ主催者は、デ
モ到着集会の開始を遅らせ、警察当局と交渉、午後4時半まで
に機動隊の包囲を解くことに成功した。
 だが、機動隊は部隊を分散させ、到着集会が行われている間
も、ゲリラ的・波状的に挑発行為を繰り返した。一部活動家は
これに反発し、機動隊との小競り合いが発生した。(自動車が
一台、この過程で放火された。)午後5時ころ、警察は放水車
を集会会場に投入した。デモ主催者の代表は、到着集会の演壇
上からマイクを使って、警察は挑発行為をやめるよう繰り返し
勧告し、舞台裏では当局と交渉を続けた。
 この交渉過程で、警察は集会終了後午後6時から予定されて
いた音楽祭の中止を勧告した。しかし、デモ主催者は、音楽祭
の続行を決断、この決定は、今回のデモを主催したNGO、社会
運動団体、直接行動派などドイツの運動体の総意であると会場
で宣言した。
 到着集会が終わった午後7時、音楽祭は決行された。機動隊
は放水車とともに集会会場を包囲、デモ主催者は人間の鎖を会
場の周囲に組織し、警察の突入を阻止した。午後10時、機動
隊に包囲される中、音楽祭は平穏に終了した。
 こうした一連の動向を見る限り、ドイツ警察は今回のG8対抗
行動を強圧的に取り締まるようである。集会に放水車を直接突
入させるなど、運動全体に対するあからさまな弾圧姿勢は、ド
イツの多様な運動体の反発をもたらすことであろう。

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大屋定晴
世界社会フォーラム連絡会事務局

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