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News Item 1176257268742st...
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大地実です。

首題の件、下記です。(重複の場合は乞許)
転送歓迎 
  
              記

憲法改正手続法案の憲法原理に則った慎重な審議を求める法学
研究者の緊急声明

現在国会で審議中の憲法改正手続法案は、報道によれば、4月
中頃までに衆議院を通過し、今国会中に成立する見通しとされ
ている。私たちは、法学を専門に研究する者として、現在の法
案には看過できない重大な問題点があり、これらの解消なしに
同法が成立することは、大きな禍根を今後に残すものと考える


国の最高法規である憲法の改正につき、主権者の国民による直
接投票によってそれを決するという重要な手続を定めるこの法
律が、憲法の諸原理に則ったものにふさわしいものとなるよう
慎重な審議を国会に要請するとともに、広く国民に対し討議を
呼びかけるために、この声明を発表する。

1.憲法改正手続の性格
憲法改正手続の制度は、憲法が定める国民主権、基本的人権の
保障などの基本原理にしっかりと基づき、かつ日本国憲法第9
6条の憲法改正手続の趣旨を正確に踏まえたものでなければな
らない。

第96条によれば、憲法改正案の発議は、国会の各議院の総議
員の3分の2以上の賛成にかかるものとされ、国民が自ら改正
案を提案することは想定されていない。また、憲法改正とは、
憲法という規範を定立する作用であり、しかも、国民の投票で
問われるのは、地方自治体などでの住民投票におけるような個
別施策ではなく、国の最高の法規たる憲法の改変の是非である


2.法律案の基本的な問題点
現在、国会には、自民党・公明党所属の議員提出の法律案(以
下、自民・公明案)と民主党所属の議員提出の法律案(以下、
民主案)が提出されている。これらには、次の基本的な点で、
重大な問題がある。

(1)最低投票率制度の欠如
自民・公明案、民主案とも、投票の成立に必要な最低投票率の
制度がない。これは、主権者たる国民の真正な意思の表明とし
ての実質をもたねばならない国民投票の制度として根本的な不
備である。

(2)公務員等、教育者の国民投票運動の制限
自民・公明案、民主案とも、公務員等および教育者に対して、
「地位利用による国民投票運動」を禁止している。これは、現
行の公職選挙法にならった規定であるが、議員候補者や政党の
名簿を選ぶ公職選挙の場合と、最高法規たる憲法の改正の場合
とで、この種の運動規制を同じようにしてよいか、厳密に検討
しなければならない。この規定に対応する罰則は定めないとさ
れているが、懲戒処分などのおそれがある以上、その「萎縮効
果」はなくならない。また、自民・公明案では、公務員の政治
的行為の制限を定める国家公務員法、地方公務員法の規定の適
用除外がはずされた。これらによる国民投票運動への「萎縮効
果」も重大である。

(3)発議から投票までの期間の短さ
自民・公明案、民主案とも、国会による憲法改正の発議から国
民の投票までの期間を「60日以後180日以内」としている
が、これは国民に対する改正案の周知と熟慮・討議の期間とし
ては短すぎる。この期間における活字および放送のメディアを
通じた報道や広告も、そうした熟慮・討議に資するものでなけ
ればならないが、それが確保されるかは両法案の制度ではなお
定かでない。

以上から、自民・公明案、民主案ともに、国民による自由で民
主的な意思の表明を保障する憲法改正手続の制度と言うことが
できない。国会に対しては、拙速を避け、慎重な審議を強く求
めるものである。

2007年4月11日
賛同者(*は呼びかけ人)
愛敬浩二(名古屋大学) 麻生多聞(鳴門教育大学) 足立英
郎(大阪電気通信大学) 足立昌勝(関東学院大学) 新垣進
(琉球大学名誉教授) 飯田泰雄(鹿児島大学) 生田勝義(
立命館大学) *井口秀作(大東文化大学) 石川裕一郎(聖
学院大学) 伊藤雅康(札幌学院大学) 池端忠司(神奈川大
学) 石埼学(亜細亜大学) 井端正幸(沖縄国際大学) 岩
佐卓也(神戸大学) 上田勝美(龍谷大学名誉教授) 植野妙
実子(中央大学) 植松健一(島根大学) 植村勝慶(國學院
大學) 右崎正博(獨協大学) 宇佐見大司(愛知学院大学)
 *浦田一郎(明治大学) 浦田賢治(早稲田大学名誉教授)
 大河内美紀(新潟大学) 大久保史郎(立命館大学) 大島
和夫(神戸外国語大学) 大津浩(成城大学) 大藤紀子(獨
協大学) 岡田章宏(神戸大学) 岡田正則(早稲田大学) 
奥野恒久(室蘭工業大学) 奥田喜道(東京農工大学) 小栗
実(鹿児島大学) *小沢隆一(東京慈恵会医科大学) 小田
中聰樹(東北大学名誉教授) 戒能通厚(早稲田大学) 片桐
善衛(名城大学) 加藤一彦(東京経済大学) 金子勝(立正
大学) *上脇博之(神戸学院大学) 川崎英明(関西学院大
学) 神戸秀彦(新潟大学) 北川善英(横浜国立大学) 北
野弘久(日本大学名誉教授) 木下智史(関西大学) 君島東
彦(立命館大学) 清田雄治(愛知教育大学) 久保田穣(東
京農工大学) 倉田原志(立命館大学) 倉持孝司(甲南大学
) 小林武(愛知大学) 小松浩(神戸学院大学) 近藤充代
(日本福祉大学) 斉藤一久(東京学芸大学) 斉藤豊治(大
阪経済大学) 阪口正二郎(一橋大学) 笹川紀勝(明治大学
) 笹沼弘志(静岡大学) 清水雅彦(明治大学) 白藤博行
(専修大学) 新屋達之(大宮法科大学院大学) 杉原泰雄(
一橋大学名誉教授) 鈴木真澄(龍谷大学) 隅野隆徳(専修
大学名誉教授) 高橋利安(広島修道大学) 高橋洋(愛知学
院大学) 高橋眞(大阪市立大学) 高瀬雅男(福島大学) 
竹森正孝(岐阜大学) 田島泰彦(上智大学) *只野雅人(
一橋大学) 玉樹智文(島根大学) 田村武夫(茨城大学) 
田村和之(龍谷大学) 塚田哲之(神戸学院大学)寺川史朗(
三重大学) 豊崎七絵(九州大学) 富井利安(広島修道大学
) 内藤光博(専修大学) 中里見博(福島大学) 中島茂樹
(立命館大学) 中村浩爾(元大阪経済法科大学) 長岡徹(
関西学院大学) 名古道功(金沢大学) 成澤孝人(三重短期
大学) 新倉修(青山学院大学) 西谷敏(近畿大学) 丹羽
徹(大阪経済法科大学) 根森健(東洋大学) 長谷河亜希子
(弘前大学) 平地秀哉(國學院大學) 広渡清吾(東京大学
) 渕野貴生(立命館大学) 本多滝夫(龍谷大学) 前原清
隆(日本福祉大学) 水島朝穂(早稲田大学) 宮地基(明治
学院大学) 宮本弘典(関東学院大学) 三輪隆(埼玉大学)
 村上博(香川大学) 村田尚紀(関西大学) 本秀紀(名古
屋大学) 元山健(龍谷大学) *森英樹(龍谷大学) 諸根
貞夫(龍谷大学) 山本晃正(鹿児島国際大学) 横田力(都
留文科大学) 吉田省三(長崎大学) 米津孝司(中央大学)
 脇田吉隆(神戸学院大学) 渡辺治(一橋大学) 渡辺洋(
神戸学院大学) 亘理格(北海道大学)
以上 111名(現職は職名を省略しました)

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