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News Item 20051217m1
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今年のレイバーフェスタは私自身がとても楽しみにしていた。 4年前、レイバーフェスタ実行委員になったのも、「コッタジ を呼ぶから」という誘いにのったからだった。色々事情があって 今年、やっと実現可能となった。終わってみて、本当に夢のような 時間だったと思う。

今回は私も参加している労働者協同組合の新人の20代の女性も きてくれた。感想を聞くと、「映画がとても重くてつらかった。 レイバーソングDJで大熊さんが紹介していた『不屈の民』がよかった。 コッタジも声がきれいで盛り上がっていていい」という事だった。 私自身の感想は、映画は悲しく現実的だったが、後半のレイバー ソングDJとコッタジミニコンサートは希望を与えてくれるものだった のではないかと思う。特にコッタジの歌声は迫力もあり、また、 楽しいノリもあった。今回、私は前日のコンサートにも参加したが、 そこではじめて聞き、フェスタでも歌ってくれた「この闘いの道を 行かん」という曲に感動した。

♪誰かが言ったわけじゃない 私にこの闘いの道を行けと でも一歩 また一歩 いつのまにか敵の前へ 辛い道を越え 労働者の道を ただ一歩踏み締めてきただけ (略)

カク・キョンヒさんの澄んだ声とやさしいメロディーにこの詩に は心底胸をうたれた。コッタジコンサートでは、歌っている時に 歌詞をモニターで見る事ができたので、聞きながら涙が止まらな くなってしまった。フェスタでは歌われなかったが、「反撃」と いう歌もチョ・ソンイルさんの声も曲も今の若い人にも普通にお 勧めできるかっこいい曲だ。「呪文」や「人は花より美しい」も 好きで好きで何度もCDをくり返し聞いていたが、生で聞くとよさ は倍増した。

3分ビデオは今回も力作ぞろいだったと思う。私は「悲正規労働者 〜立命館の乱」という作品がよかったと思った。また、「息子の 場合」もおもしろかった。ちなみにフェスタ後の交流会で、コッタ ジのソンイルさんも「自分もコッタジの活動をしていなかったらあ あなっていたかも」と言っていた。…私も仕事がない時はああいう 感じかもしれない。

私は韓国の労働文化を知る会にも参加したが、韓国の活動家の方た ちの実演はとてもおもしろかった。色々教えてもらってみんなで踊 ったりして、楽しかった。

韓国の方たちが帰国する前日のお別れ会では、韓国の活動家の 人がフェスタの感想として「3分ビデオで鉄道民営化のビデオが 衝撃的だった。韓国でも民営化の攻撃はし烈になっている。現在 の韓国の状況は悲正規労働者が増えているのと正規労働者の賃金 カットなどの問題、労使関係○○法案(すみません聞き取れません でした)が通されそうになっている。これが通ってしまえば、韓国 の労働運動も5年以内に潰されてしまうと思っている。そういう意 味では今回きた人たちも様々な問題を抱えながら来た。私達も帰り 道は真面目に闘っているのか話し合い、もう一度自分たちの方向性 を考えながらできるところは連帯していきたい」と発言していた。

私はとある会報紙で今回のレイバーフェスタの宣伝用原稿として 4年前のコッタジをはじめて知った時の事を書いた。 当時、私は5年半かかった解雇争議が全面解決し、フリーランスの今 の労働組合に入ったものの、組合内の労働運動に対する温度差に絶望 的な気持ちになっていた。労働者という言葉自体、古臭いとか、リス トラは世の流れで仕方がないなどと言われ反論しても中々納得してもら えず、思い悩み、自分がこれまでしてきた運動の意味さえわからなく なっていた時期だった。そんな時に「人らしく生きよう」の上映会 後のミニコンサートでコッタジの歌を聞いた。何曲か歌った後、コッタ ジのソンイルさんが「映画を見たけれど、韓国でも今、鉄道の民営化 が問題になっている。まさに今、万国の労働者、団結せよ!という 感じです」と言い、会場に拍手がわきおこった。私と同年代だろう (今回聞いたら同い年だった)彼が、何のてらいもなく言った言葉には 本当に感動した。その時は歌自体はじめて聞き、言葉はわからなく てメロディ−のよさにひかれていたが、ソンイルさんの言葉で何を 歌っていたかがわかった。私が運動を続けてきたのも、コッタジの歌 に励まされきたからだと書いた。 その記事をコッタジ応援団の尾沢さんがソンイルさんに訳して伝えてく れたそうで、「記事を読んで感動した」と言ってくれた。私は その言葉を聞いて更に感動したのだった。そして、お別れ会でソンイル さんに色々話しを聞いて見ると、彼は大学生の時に先輩にひっぱられて 学生運動をしていたそうだ。もともと歌が好きでバンドを組んでいたり したので、歌で運動をしていきたいと思うようになり、コッタジのオー ディションを受けた、という。韓国でも思想などについては学校では教 えられないといい、先輩や仲間に教えられたり、運動をしていくうちに 考えるようになったと言っていた。

韓国の労働文化活動が盛んなのは、厳しい闘いの中でも人々が 互いに励まし合う気持ちが強いからではないだろうか。 歌や踊りを一緒にすることで、それぞれの気持ちを励まし合っているのだ と思う。運動をしていく中では、弱気になったりする時もあるが、それを 責めたり見捨てたりするのでなく、許しあい、励ましあって共に闘ってい く事が団結というものだと思った。厳しい闘いの中では共に闘う仲間こそ が重要だ。彼等がやっている歌や踊りは自分を表現する為とか、楽しいか らというだけでなく、仲間の為にやっているという気持ちが私には強く感 じられた。 今回、きてくれた韓国の活動家の方たちはみんな真面目で陽気で楽しい方 たちだった。短い間だったけれど、交流ができ、本当に幸せだった。 彼等が帰国してしまった今、寂しくて思い出しては泣き暮らしている状態だ。

レイバーフェスタの実行委員をしてきた中で、第1回目と同じくらい忘れられ ないものとなった。フェスタを通して私は色々な事を学ばせてもらった。

今、韓国でも日本でも、世界の他の国でも“敵”は同じような事をしようと している。こんな時代だからこそ、労働者が団結していかなければならない。 韓国の仲間に教えられた事をこれからの運動に生かしていきたいと思う。
(広浜 綾子)


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