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岩手「地域農政学習会」報告

日時:10月13日(木)15:00〜17:30 

場所:ホテル花巻(岩手県花巻市)

主催:労農岩手県民会議

参加者:約40人

連鎖集会第2波の最後として、農林業関係の労働者を中心に参加があった。イさんは冒 頭、「10月6日に来日して以来、各地を巡り、日本はもっと豊かな国だと思っていた が、そうではないと言うことが分かった」と切り出した。「東京ではソウルよりも多く のホームレスの人々がおり、農民の農産物も下落を続けて、農業で生活できない状態だ と言うことが分かった。日本もますます経済格差が開きつつあり、農民、労働者の運動 が大切だ」と語り、韓国での農業の現状や農民の闘いについて報告した。(講演の要旨 参照)。

また、政府などが農業の大規模化や有機農業への転換をすることで生き延びていくこと ができると言っていることに対しては、「大規模化といっても、韓国や日本のレベルで はアメリカなどの規模や中国の低賃金構造とは勝負にならない。農産物価格が安定しな ければ農業は成り立たない。また、有機農業も、最近は労働者の賃金切り下げの中で、 高い有機農産物が敬遠されて韓国では余っている状態だ。さらに、中国の黒竜江省では 200万ヘクタールもの農地で有機農業が展開されようとしており、それらは日本や韓 国に輸出される。そのような中では、有機農業への転換も限界があるだろう」と、根本 的にはWTOやFTAによる自由貿易体制そのものを問題にしなければならないと訴え た。

また、日本でも最近注目されている直接支払い制度について、「韓国では2000年か ら直接支払制度が取り入れられた。水田では最初は1ヘクタール当たり3万円が全水田 に支払われたが、その後の農民の闘いによって、わずかずつではあるが増額され今では 1ヘクタール当たり7万円までなった。このほか、畑地や畜産、山間地域、環境保全型 農業にもそれぞれ直接支払い制度がある。これは、現行のWTO協定の中でも認められ ているものであり、アメリカやヨーロッパでは農民の所得の大半を占めている。日本で 行われていないことを知り大変驚いている」と述べ、「WTOルールは問題があるが、 それでも農民の生活を守るためには、ルールの抜け穴も利用しなくてはならない。日本 でももっと要求して勝ち取るべきだ」と訴えた。

質疑では、輸入農産物の安全性とそれに対する消費者の意識、農民の闘いに対する国民 の反応、日本でも農協が自民党の支持母体となっている現状、農産物の自由貿易につい ての考え方などの発言があった。

イさんは、「輸入農産物は安いという幻想から脱却する必要がある。最初は安くても、 国内に農業が無くなれば、結局高いものになる。例えば、韓国で1980年代に冷害あ って、輸入米を入れたら、大変高いものとなった。食料の安全保障という観点が大切だ 」「韓国でも兼業化が徐々に進んできたが、最近は兼業先の雇用が不安定になっている 。非正規雇用やリストラが横行すると、農業をやっている人が真っ先に切られる状態だ 。やはり、農民は農業で生活できる道を要求して闘おう」と力強くしめくくった。

こうしたイさんの訴えに応えて、岩手県からもWTO閣僚会議が行われる香港に代表を 派遣することが急遽決まるなど、実りの多い集会となった。


Created by Staff. Last modified on 2005-10-15 23:18:46 Copyright: Default

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