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News Item 20030424nikkan
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日韓投資協定NO!緊急キャンペーン改め、 「異議あり!日韓自由貿易協定」キャンペーンの土松です。

4月18日〜19日の2日間、東京・文京区民センターにおいて、韓国・民主労総の ソン・ナック教育宣伝室長を招いて、日韓自由貿易協定(FTA)対抗運動の発足集 会とワークショップを開催しました。主催は「異議あり!日韓自由貿易協定」東京集 会実行委員会。 韓国ゲストのソン・ナックさんは民主労総の公式スポークスマンで、民主労総が発表 するさまざまな声明の作成を担当している方です。最近、民主労総に加盟した鉄道労 組が民営化反対のストライキを4月20日に控える超多忙な中を、割いて来日してい ただきました。集会は、日韓FTAに対抗していく新しい運動体として、「異議あり !日韓自由貿易協定」キャンペーンの発足を参加者全員の拍手で確認しました。

●18日夜の「異議あり!日韓自由貿易協定」東京集会は約100名の参加を得て行 なわれました。 集会は冒頭、実行委員会を構成する反資本主義行動(ACA)のnoizさんの司会開会 挨拶の後、「ノレの会」による韓国の民衆歌「ともに行こうこの道を」と労働歌「も う一度前へ」(トダシアプロ)の熱唱で始まりました。つぎに主催者挨拶として、中 小労組政策ネットワーク共同代表で全労協副議長の中岡基明さんが、新自由主義グ ローバリズムに反対する労働組合の課題としても、日韓労働者連帯の課題としても、 日韓FTAの反対運動に取り組んでいくことが力強く述べられました。つづいて、経 過報告に立った日韓投資協定NO!緊急キャンペーン事務局の土松が、日韓投資協定 で本文挿入を許さなかった労働運動の弾圧条項(いわゆる「真摯条項」)が、いま進 められている日韓FTA共同研究会の場に、日本経団連からの強い要求で持ち込まれ 検討されており、これを許さず闘うことを訴えました。

つぎに、韓国ゲスト・民主労総のソン・ナック教育宣伝室長が講演に立ち、金大中政 権の5年間で進められた構造調整、公企業の民営化、労働市場の柔軟化政策などに反 対してきた民主労総の闘いを紹介しました。そして、新たに政権に就いた盧武鉉大統 領も基本的に金大中政権の新自由主義的政策を引き継ぐものと考えられ、FTAや投 資協定そしてWTOなどの新自由主義グローバリズム政策と国内の経済自由区域(経 済特区)法制定などと闘っていく民主労総の方針が報告されました。とくに、97年 の通貨危機の際、韓国政府がIMFからの金融「支援」を受けて以降、急速に横文字 が国内に氾濫し、何がなんだか判らないまま事態が進み、経済特区法の国会通過のよ うに有効に対応できなかった事案もあったとして、資本の新自由主義グローバリズム に対しては総合的な対応が必要なことが訴えられました。

休憩のあと、農業ジャーナリストでアジア農民交流センター世話人の大野和興さんか ら、農業分野から見た日韓FTAの問題点と東アジアの農業構造の問題点を衝く連帯 の挨拶をいただいた後、マダン(広場)形式になった会場で実行委員会を構成した4 団体のチームによるパフォーマンスが行なわれました。 ATTAC Japanチームの寸劇「臭いWTOにFTA(フタ)」は、WTO反対行動 が世界中で取り組まれている中、それをしり目にFTAや投資協定など2国間・地域 間協定が締結されている現実を暴き、「世界は売り物ではない!」と警鐘を鳴らす物 語。日韓ネット・チームの寸劇と歌「ユニクロ君と日韓FTA」は、全身ユニクロ製 品ずくめの日本のフリーター青年ユニクロ君が、中国や韓国の労働者と出会う中で、 グローバリズムのからくりに気づき成長していく物語。アジア共同行動(AWC)日 本連絡会議チームによる漫才「経済特区が得かどうか労働者はとっくに知ってるぜ トーク」は、韓国の経済特区政策がメキシコのマキラドーラと同様、労働者の権利を 破壊し搾取を強化するものであることを暴露した辛口トーク。反資本主義行動(AC A)チームの寸劇と歌「マクドナルド水滸伝」は、マクドナルドに就職したての新入 りパート青年が、店の先輩からマクドナルド・ハンバーグの安さの秘密を聞き、資本 のグローバリズムのもとで私たちの食の安全が日々脅かされていることを暴いたシリ アスな物語。4チームそれぞれが趣向を凝らしたパフォーマンスで資本のグローバリ ズムのからくりを暴き、参加者も一体となっての爆笑、拍手、親しみのこもった野 次、声援ありの取り組みとなり、反グローバリズム運動の集会に新境地?を開拓しま した。

パフォーマンスにつづいて、日本消費者連盟の水原博子さんから消費者は労働者であ り、労働者こそ反グローバリズムの運動に取り組もう、WTOと二国間協定に反対し ていこう、と力強い連帯挨拶をいただきました。また、全労協の藤崎良三議長からは 集会に賛同し反グローバル化・日韓労働者連帯の運動を進めていく連帯メッセージを いただき、司会者によって朗読されました。さらにATTAC Japan事務局次長の秋 本陽子さんから特別アピールとして、今年9月のWTOカンクン閣僚会議に向けての 日本の運動として「脱WTO草の根キャンペーン」開始の行動提起がありました。つ づいて、「異議あり!日韓自由貿易協定」キャンペーン発足宣言の文案が、実行委員 会を構成したアジア共同行動(AWC)日本連絡会議の峰一也さんによって朗読さ れ、参加者一同による拍手で採択されました。これによって、新しい運動体「異議あ り!日韓自由貿易協定」キャンペーンが発足しました。集会は最後に、「ノレの会」 の演奏で「もう一度前へ」(トダシアプロ)の日本語歌詞を参加者全員でうたい、東 京集会を終了しました。

●19日午後行なわれた日韓FTA対抗ワークショップは、約25名の参加で行なわ れました。 司会の土松が前日の東京集会の報告を行ない、3人の方が主題報告を行ないました。

◎第1報告:民主労総ソン・ナック教育宣伝室長による「盧武鉉・新政権の東アジア 中心国家構想と日韓FTAに対する民主労総の対応」では、前日の報告とも関連して 日韓FTAへの対応として、?日韓FTA共同研究会が非公開・秘密裏に進められて いるため、状況を正確に掴むため、日韓両国の運動体がお互いに連絡を緊密に取り合 うことが大切であり、?日韓政府に情報公開を要求する闘いが必要で、?日韓FTA で影響を受ける人びとを組織していくことが大切だ、と報告しました。そして、?一 般の人びとに判りやすく投資協定やFTA、そしてWTOの問題点を伝えていくこと の必要性を述べました。 ◎第2報告:日韓投資協定NO!緊急キャンペーン改め、「異議あり!日韓自由貿易 協定」キャンペーンの尾沢孝司さんによる「日韓FTA共同研究会から見えてきた日 韓FTAの危険な内容」では、今年3月25日に緊急キャンペーンが取り組んだ外務 省行動の報告と私たちの今後の対応方策について報告がありました。外務省行動で明 らかになったことは、いま進行中の産官学による日韓FTA共同研究会の構成がFT A推進派に偏り、労働社会市民団体の声を代弁する人が入っていないこと、研究会が 閉鎖的で透明でないこと、労働権をはじめ私たちの生存権全般を侵害する内容が検討 されていること、などでした。私たちの対応方向では、ドラキュラ作戦(ドラキュラ が白日の下では生きていけないように、FTA共同研究会を白日の下にさらす=公開 性・透明性をかちとることで、民衆の批判を集中する作戦)をとる。そのために、外 務省行動や共同研究会参加者に公開討論を申し込むこと、全国の反WTO・反グロー バリズム戦線と共闘し、またFTAが私たちの生活全般に影響を及ぼす協定であるた め、多様な分野の戦線と共同していく必要性も提起されました。 ◎第3報告:全日本建設運輸連帯労働組合の小谷野毅書記次長による「セメント業界 の北東アジア経営戦略と日韓生コン労働者の共闘」では、97年のアジア通貨危機で アジアのセメント企業が連鎖倒産していくなか、欧米セメント企業が先を競ってアジ アのセメント企業を買いあさった時期があり、出遅れた日本企業は2002年に太平 洋セメントが韓国の双龍セメントを買収した。いま、日本のセメント企業も最適地生 産最適地販売方針のもと、グローバル展開を経営方針に掲げている。一方、韓国の生 コン労働者はアジア通貨危機の時、いっせいに非正規職にさせられた。その手法は、 企業が生コン輸送労働者に車輌を払い下げ、労働者を個人事業主にするかたちをとっ た。これを「持ち込み運転手」という。個人事業主だから、労働法による保護は受け られないという「理屈」だった。これに韓国の生コン労働者が怒り、2000年に奴 隷契約撤廃を要求して13人の労働者が組合結成に立ち上がり、翌2001年には2 500人が組合に加盟して、法務部に対して組合認定を要求して闘っている。この 「持ち込み」制はそもそも日本のセメント資本の手法だった。全日建連帯労組の歴史 は、この「持ち込み」制と闘う中で組合を建設してきた歴史だ。2002年から日韓 生コン労働者の交流が始まった。日韓生コン労働者共同闘争委員会を作り、共同のゼ ネスト展開ができる体制をめざしている――以上のような、先駆的な日韓労働者交流 の報告をいただきました。

3人の主題報告の後、全体討論に移りました。 そこで出された意見として、資本のグローバル化がすすむ中で、日本でも労働法の改 悪や入管法の改悪問題など労働力の流動化政策と関連して、さまざまな問題が出てき ている。また、資本のグローバル化が先行して、政府・独占の政策はこのグローバル 化の実態をよりダイナミックに推し進めていくために後追いの形で出てきている点な どの指摘がありました。さらに、日韓FTAに対する取り組みの視点として、韓国労 働運動を敵視する条項が盛り込まれる恐れだけでなく、この2国間協定が日本の労働 者民衆に与える影響を分析し、その危険性を訴えていかなければ、国内で運動は広が らない点が指摘されました(また、ワークショップでは論議できませんでしたが、日 韓FTAを日韓だけの視点で見るのには限界があり、中国・ASEAN諸国の動向も 含め、少なくとも東アジア全体の視点で、2国間協定の動きを分析していかなければ ならない、という指摘を集会参加者の方からいただいたことも付記しておきます)。 こうした点で、このワークショップは「異議あり!日韓自由貿易協定」キャンペーン が今後、取り組んで行くべき課題を多く提出したといえます。具体的には、皆で「異 議あり!日韓FTA」の宣伝パンフレットをつくる共同作業を通じて深めていく、日 韓FTA共同研究会や外務省への公開要求書や質問状を共同で作成し、公開の場に産 官学の日韓FTA共同研究会参席者の出席を求める、また他の反グローバリズムの運 動体や他分野の戦線とも共同した公開学習会の設置やwebサイトを活用した運動づく りなどが提案されました。今後、私たちはこうした課題に取り組みながら「異議あり !日韓自由貿易協定」キャンペーンを起こしていきます。

集会にご参加・ご賛同いただいた皆さん、ありがとうございました。 私たちはこれから「異議あり!日韓自由貿易協定」キャンペーンとして活動を継続し ていきます。今後とも、皆さんのご支援・ご協力をよろしくお願いします。

●「異議あり!日韓自由貿易協定」東京集会の賛同者 (2003年4月18日現在、順不同・敬称略) 〔個人〕 白鳥さとし、田中伸一郎、山口啓、谷島光治、武田隆雄(日本山妙法寺僧侶)、吉松 繁(日本基督教団王子北教会牧師)、鳥海豊、秋本実(戦争に反対し、アジアの人々 と共に行動する会(PAL))、三浦光世、神保欣也、大谷禎之介、平野彰男、武井美 子(編集者)、岩見崇、柳本吉乃、伊野信之、友田幸枝、白井清美、新田進(小川町 シネクラブ)、倉田智恵子、原光、渡辺健樹(日韓民衆連帯全国ネットワーク)、尾 沢孝司、石井寛、北川広和(「日韓分析」編集)、土松克典、大下富佐江、大畑龍 次、加藤正姫、尾沢邦子(ノレの会)、高槻民枝(戦争に反対し、アジアの人々と共 に行動する会(PAL))、広野省三(HOWS)、北原れい子、渡辺一夫、秋本陽子 (ATTAC Japan)、河添誠(レイバーネット日本)、村田久(北九州かわら版)、 斉藤竜太(医師)、西尾正二、匿名3名 〔団体〕 ATTAC Japan、在日韓国民主統一連合、労働運動活動者評議会、全水道東京水道 労働組合、全国労働組合連絡協議会、日韓民衆連帯全国ネットワーク、全日本建設運 輸連帯労働組合、全国一般労働組合東京南部、全統一労働組合、本郷文化フォーラム ・ワーカーズスクール(HOWS)、韓国労働者支援連絡会議、アジア共同行動(A WC)日本連絡会議、反資本主義行動(ACA)、全国一般労働組合全国協議会、神 奈川シティユニオン、アジア太平洋労働者連帯会議(APWSL)日本委員会、中小 労働組合政策ネットワーク

****************************** 土松克典 (Domatsu Katsunori) E-mail : k-dmt@par.odn.ne.jp ******************************


Created byStaff. Created on 2003-04-24 09:15:43 / Last modified on 2005-09-05 02:59:15 Copyright: Default

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