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カナダで反グローバリゼーションの平和連合〜新しいオルタナティヴ運動への試み〜


「9・11平和連合の結成」
  CoCニュース(2001年10月5日)

 カナダ国内の30におよぶ、平和団体・労働団体・学生団体・宗教団体・女性団体・環境団体・文化団体・地域団体が、2001年9月11日米国同時テロ後の報復軍事攻撃へのカナダの参加およびレイシズムに対抗するという明確な意志をもって、国内連合組織を結成した。「9・11平和連合」(The September Eleventh Peace Coalition)には、「カナダ労働組合会議」(Canadian Labour Congress: CLC: ナショナルセンター)、「軍拡競争停止を求める会」(End the Arms Race)、「カナダ人会議」(The Council of Canadians)、「カナダ公務員労組」(Canadian Union of Public Employees: CUPE)、「平和の科学」(Science for Peace)、「カナダ平和同盟」(The Canadian Peace Alliance)、「カナダ学生連合」(The Canadian Federation of Students)、「カナダ郵便労働者組合」(Canadian Union of Postal Workers: CUPW)など、巨大で多様な組織が参加している。

 9・11平和連合は、平和と国際法の尊重を求める声明を発表した(※下段へ)。カナダ労働組合会議のジャン・クロード副委員長は、「我々は、9月11日のテロ攻撃で犠牲となった人々を哀悼し、その犯行者たちが国内・国際的法律によって裁かれなければならないと信じる。我々はまた人々に、この犯罪を理由に特定の文化・宗教グループを責めることなく、尊重と寛容の姿勢を示すよう求める」と述べた。軍拡競争停止を求める会の全国オーガナイザーのピーター・クーベスは、「軍事報復は、世界中の罪なき人々に、さらなる苦悩と悲しみをもたらすだけである。カナダは、より安全な国際環境をつくりだす公正で民主的な世界を構築するという試みの、先頭に立てることを信じている」と述べた。9・11平和連合は、カナダ中で軍事報復反対運動を組織するだろう。同メンバーはカナダ中に、カナダの戦争協力に反対して平和を構築するためにあらゆることをする人々がいると確信している。


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カナダ「9・11平和連合」結成声明

 我々、米国における恐ろしい同時テロを受けて形成された「9・11平和連合」は、カナダ中の、平和団体・宗教団体・女性団体・労働団体・地域団体・環境団体・学生団体・青年団体・文化団体の大連合を築きつつある。我々は、テロ攻撃の犠牲となった人々・家族・地域に強く同情し、人命が失われたことに対して深く哀悼する。

 我々は、今日の混沌と恐怖に対して、戦争とレイシズムの枠組みではなく、法と平等の枠組みによる解決を求めるため、結集した。我々は、道理に反し逆効果でもある、戦争に反対する。我々は、平和と世界の社会的公正の実現をめざして尽力する。しかし、軍事報復が犠牲者を報いる正義をもたらすとは考えないし、むしろそれが9月11日よりも遙か前からはじまっていた暴力の連鎖を永続させてしまうことを懸念する。暴力のサイクルは止めなければならない。

 我々は、9月11日のテロ行為に対して強い憤りを覚える。その犯人たちは、国内・国際法のルールに基づいて裁判で裁かれなければならない。我々は同様に、無差別軍事攻撃に対しても憤りを覚える。それは、人々を傷つけ、苦悩・死・難民をつくりだしているからである。我々はカナダ政府に、他のいかなる国も爆撃しない・侵略しないという姿勢を明確にするよう求める。また我々は9月11日以降、カナダでレイシズムが強まってきたことを強く懸念する。人種差別攻撃をおこなってきた人々を告訴し、差別表現を一掃することを求める。

 さらなるテロと不安定化を抑えるために採りうる、そして採るべき手段はたくさんある。その中には、国際法の役割を強化すること、富める者と貧しい者・男性と女性との格差を是正すること、民主主義を確立すること、世界的な軍事経済と武器貿易をやめること、が含まれる。我々は、世界的なテロの犠牲を嘆き、英知・共感・そして寛容の精神がそれにうち勝つことを希求する。この地球はもろいものである。戦争と貧困が蔓延している中では、長く生き続けることはできない。今こそ人々が、人間性を回復し、この地球とすべての人々を守るために、団結して立ち上がる時ではないか。

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「平和連合が、反戦・反グローバリズムの全国行動日を呼びかけ」
     CoCニュース(2001年10月22日)

 カナダ「9・11平和連合」は、2001年11月17日(日)を、世界の平和と公正を求める非暴力行動日と位置づけ、カナダ全国の諸団体にそれへの参画を呼びかけている。このアクションは、カナダ政府に軍事活動から軍隊を撤退させることを要求し、世界貿易機構(WTO)・国際通貨基金(IMF)・世界銀行(WB)の協定や政策が、平和と経済発展に寄与してきたのか検討することを求めるものである。「9・11平和連合」は、すでにカナダ中の都市でイベントが計画されていると発表した。「軍拡競争停止を求める会」全国オーガナイザーであり「9・11平和連合」の共同議長であるピーター・クーベスは、「バンクーバー、オタワ、トロントでは、戦争と資本のグローバリゼーションに対抗する平和的行動が、最も顕著に示されるだろう」と述べた。

 11月17日の「世界の平和と公正を求める」全カナダ行動日には、同日オタワで開催される予定であるG20蔵相会議についての集会もおこなわれる。「カナダ人会議」のスティーヴン・ステープルスは、「カナダ政府は、オタワで行われるG20・IMF・WBの会議の際に、WTO・IMF・WBが近年決めてきた協定や政策が、平和と社会的公正とすべての人々にとっての安全を求めるカナダ人の価値観に照らしてどうなのかを査定すべきである」と述べた。「9・11平和連合」の行動議長を務める「カナダ郵便労働者組合」のデボラ・ブークは、「戦争の道に対するオルタナティヴ(=異なる道)は、世界中の社会基盤を再構築し、労働者が必要とする食糧・住宅・医療・教育・雇用・公正処遇などを人々に提供できるようにすることである。カナダの人々はこうした真の正義の必要性を理解している。だからこそ、11月17日の世界平和公正デーに、全国で多くの人々が参加するのである」と述べた。

 「9・11平和連合」は、カナダの軍事報復への参加に反対し、テロ事件後に生じてきた人種差別攻撃に対抗するために、全国の平和団体・労働団体・学生団体・宗教団体・女性団体・環境団体・文化団体・地域団体が集まり、2001年10月5日に結成された。

「カナダ人会議」へ
http://www.canadians.org - inquiries@canadians.org

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※訳者コメント

10月5日に結成されたカナダの「9・11平和連合」の意義は、まず組織的には労働組合ナショナルセンターを中心組織として含む社会的大連合を形成したこと、そして内容的には戦争・侵略に加担させないための平和運動と今日の経済的社会的問題の背景であるグローバリゼーションへの対抗運動を結び付けていることである。「グローバリゼーション(グローバリズム)」とは、多国籍企業・国際資本の利潤追求活動の自由を押し進める今日の経済動向をさす概念であり、市場万能・弱肉強食のイデオロギーのもとに、産業界では企業リストラ・産業空洞化・失業・不安定雇用問題を、政界ではいわゆる新自由主義政策(規制緩和や社会保障の削減など〜日本で構造改革と呼ばれているもの)を押し進めている。また経済力のない諸国にも、IMFなどの国際機関を通じてこうしたルールが強制されてきた。グローバリゼーションの破綻は地域的な不安定化をもたらし、最終的に米軍を中心とする軍事力によって穴埋めされてきた。荒廃した地域の民主的再建を不可能とするこれまでのグローバリゼーションとは異なるオルタナティヴを探ることが、世界の貧困とテロ・戦争を撲滅する上でも欠かせない課題となっている。カナダ以外の国でも、労働組合がこうしたオルタナティヴ運動を担いうるかどうかが問われているのではないか。


翻訳:JNK(国際部)


Created byStaff. Created on 2001-10-29 16:11:23 / Last modified on 2005-09-05 02:58:30 Copyright: Default

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