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今ドイツは反戦運動ニューウェーブ

ドイツの新しい世代が平和運動率先

今、ドイツの平和運動は、若者達に期待をかけている。先週末、ドイツの全 地域は反戦デモでざわざわとしていた。ベルリンをはじめとする19の都市で 同時多発的に行われた今回の反戦デモで明らかになったことは、ドイツの若 い世代の考えは「テロに対する断固とした報復」ではなく、「戦争はテロに 対する正しい対応ではない」ということ。今回のデモで「ドイツ国民は一致 してテロとの戦争に米国と連帯」(シュライダー連邦総理の記者会見)すると いう連邦政府の公式の立場とは一定の差があった。

[写真:DPA]ブランデンブルク門前での反戦デモ場面

ドイツ連邦軍の海外派兵を含む包括的な支援を約束した現在の社民・緑色 (SPD-Gruene)連立政府は、今回の反戦デモに公式な参加は拒否した。ただし、 党に所属する議員は個人的な決定で行動できることを党方針に定めた。

連立政府、反戦デモ参加拒否

そのため、一時、ドイツ平和運動の旗手だったゲハルト・シュライダー (Gerhard Schroeder)連邦総理とヨシュカ・フィッシャー(Joschka Fischer) 外相、ルドルフ・シャルピン(Rudolf Scharping)国防長官、オットー・シュィ リー(Otto Schily)内務長官などは、平和に対する自分たちの価値観が変わっ たか、もはや政策の優先順位は「平和」ではなく「安保」であることをあら わさなければならなかった。

唯一、今回の反戦デモに公式参加を宣言した政党は、旧東ドイツの統一社会 党 (SED)の後身である民主社会党 (PDS)だった。これと共に、緑色党の地域 別青年組織は参加拒否という党の公式方針に不服として大挙参加、平和に対 するドイツの若者の高い関心を見せた。

デモは、ドイツ各地の140の平和運動団体により組織され、ドイツ全域で始 まった。例えば、ベルリンでは午後1時にベルリン市庁、ブランデンブルク 門、フリードリヒ道りで「戦争反対! 平和のための決起」というスローガン で各々デモ行進が始められ、午後3時半ごろ、ベルリン市でも最も美しいと いわれるゲンダルメン(Gendarmen)広場での整理集会でしめくくった。

ベルリンで行われたデモには、ハンブルグ、ケルン、ドゥイスブルグ、ハノ ーバー、プルダー、ブレーメンなどドイツ各地域から集まったデモ隊が100 余台のバスを動員して参加した。この日のデモに参加した2万人以上のベル リン市民は、アフガニスタンに対する米国の攻撃を即刻中止することを要求 して、統一以後、国際政治の舞台で軍事力による問題解決をますます好んで あるドイツ覇権化の傾向に対する憂慮を表明した。

ドイツ極右団体も参加意思に主催側「反対」

一方、9月11日の米貿易センターに対するテロ以後、今回の事件をユダヤ人 に対するアラブ圏の報復と見なし、アラブ圏のテロ組織との連帯を表明した ドイツ民族党(NPD)をはじめとするドイツ内の一部極右団体等も「敵の敵は 味方」の論理で今回の反戦デモに参加する意思を表明した。

主催側は、これら極右団体のデモ参加に即刻反対、警察は約2000人の兵力を デモ現場周辺に配置して万一の事態に対応したが、憂慮した極右団体とデモ 主催側との衝突はなかった。デモはとても平和に進められ、平和を象徴する 鳩がきれいなベルリンの空を飛び交い、先週ベルリンで初めて反戦デモを始 めた中高等の学生達がデモ隊の先頭に立った。

若者の多くは、デモ主催側が用意した音楽に合わせてからだを揺らしたり、 若者達は「平和のためのビール飲み大会」を開き、三々五々、地面に車座に なって座り、喉を潤すこともした。

新しい平和運動の兆し

ひさしぶりの明るい秋の天気と、週末だったにもかかわらず、多くの市民は 余暇を楽しむために郊外に出ずに今回の反戦デモに参加、ドイツはまるで80 年初頭の平和運動の全盛期を彷彿させた。また、今回のデモには既成の政党 や既成世代よりも新世代の若者達が大挙参加し、新しい平和運動の可能性を 予告する兆しを見せることもした。

こうした現状に対し、長年、世界化と新しい国際市民社会の可能性について 重要な研究を続けてきたベルリン自由大学(FU)政治学科のエルマー・アルト バター(Elmar Altvater)教授はベルリン新聞とのインタビューで「最近連続 している反戦デモを通して新しい平和運動が登場しているという印象を受け ており、この新しい平和主義は世界化した国際社会の不平等が不安定要素と なって提起される多くの問題に対して答えなければならないという難しい課 題に直面している」と今回の反戦デモの意義とその新しい可能性を診断した。

ベルリン=ハニリポーター金HYUNSUNG記者webmater@eurozine.net

編集時刻 2001年10月16日13時14分KST

ハンギョレ新聞:ニュースメール(原文は韓国語)より http://www.hani.co.kr/section-014007000/2001/10/014007000200110161314006.html

日本語訳文責:安田


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