第9回戦争の加害パネル展（4/27～5/5 横浜市）最終日

2024/05/05 第9回戦争の加害パネル展（4/27～5/5 横浜市）最終日

案内→http://www.labornetjp.org/EventItem/1708504170803staff01
　　　https://kiokukeisyo.web.fc2.com/

　戦後79年が経過した中、戦争の風化が言われています。
　第2次安倍政権以降、政府は「安保法制」等を成立させ、戦前の戦争体制だとさえ言える状況をつくろうとしています。
　日本が行った戦争で一体何が行われたのかを知り、加害の記憶を継承していくことは大変重要なことと考えております。
　触れたくない過去とお考えの方もあるかと思いますが、避けて通ることは出来ません。
　私達は2016年から、南京大虐殺・日本軍「慰安婦」・731部隊・毒ガス戦・沖縄戦等「戦争の加害」に関するパネル展示を行ってきました。
　2024年は、第9回目になります。
　今年のパネル展は、4月27日（土）から5月5日（日）まで、かながわ県民センター1階展示室で開催します。

戦争の加害パネル展
期　間：4/27～5/5
場　所：かながわ県民センター 1階展示室
　　　　〒221-0835 神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町2-24-2
　　　　「横浜駅」西口・きた西口から徒歩5分
　　　　地図→https://www.pref.kanagawa.jp/docs/u3x/cnt/f5681/access.html
主　催：記憶の継承実行委員会
連絡先：TEL 090-7405-4276、090-8721-3222
　　　　hiromimatu914@yahoo.co.jp
※入場無料

展示内容
・万人坑
・南京大虐殺
・重慶無差別爆撃
・７３１部隊
・毒ガス兵器
・満州に集団移住させられた朝鮮人
・マレー侵略
・朝鮮人・中国人強制連行
・日本軍「慰安婦」
・朝鮮植民地征服戦争
・沖縄戦と棄民化された人々
・ドイツと日本、戦後処置の違い

特集展示：上海で日本軍は何を～謀略・市街戦・特務機関の暗躍・南京事件の前兆
　横浜市は、50年前から上海市と姉妹都市協定を結んでいます。
　しかし戦前、日本軍が上海で何をしたのか、わたしたちはほとんど知らされていません。
　「租界」とは何か、何が問題か、「第１次上海事変」「第2次上海事変」ともに日本軍の謀略が引き金になったこと、日本軍の甘い見通しで始めた戦争で、甚大な被害を自軍にも与えたこと、もちろん中国の人々が大きな被害を被ったこと、にもかかわらず日本社会は戦争に浮かれていたこと、侵略－加害側であるにもかかわらず被害者であるかのようなアジテーション、戦意を煽った新聞報道、略奪、捕虜殺害、民間人殺害が南京より前に上海であったこと、大量の餓死者を生んだ「貨幣戦」、アヘン取引や暗殺などで暗躍した日本軍の「特務機関」…多面的に紹介します。

イベント
・映画上映
　日　時：4月27日（土）
　　　　　14:00～　映画「南京！南京！」
　　　　　18:00～　「ぼくたちは見た　サニム家の子どもたち」上映会
　資料代：800円（800円で両方の映画が観賞できます。）

・ミニ講演（パネル展会場内、無料）
・後藤周さん講演「それは丘の上から始まった」（関東大震災時朝鮮人虐殺）
　日　時：5月1日(水) 14:00～16:00
・特集展示「上海で日本軍は何を」制作メンバーによる解説
　日　時：5月3日（金) 14:00～16:00

　繰り返された虐殺
　中国大陸を侵略した日本軍は、多くの住民を殺害しました。
　いわゆる「三光」作戦のように未だ被害の全容が不明のものも多くあります。

　万人坑
　中国の各地、特に東北部に多数の『万人坑』と呼ばれる遺跡がある。
　数百から数万の大量の遺体が、積み重なっている。
　これらは何故できたのだろうか？
　日露戦争・満州事変で満洲に権益を得た日本は、満洲を日本の生命線とみなし、多数の軍事施設建設やダム建設、鉱工業開発を行った。
　これに必要な大量の労働者を、満洲内や華北他から、強制連や騙し募集等で集めた。
　しかし過少食･過労働･不衛生･暴行により大量の人々を死なせた。
　軍事施設建設では生き残った人々を機密保護のために全員殺した。
　死者は正常に埋葬せず、穴に遺棄したり、原野・谷間に投棄した。これが万人坑である。
　中国全体での死者数は、一千万人以上と言われる。

　南京事件
　南京事件は中国全面侵略（日中戦争）の初期、1937年12月～翌1月に起こった虐殺、略奪、強姦などの総称です。
　「南京事件はなかった」という主張も見られますが、当時の日本軍中枢はほぼリアルタイムで事件の存在を認識していました。
　東京から調査に入った阿南陸軍人事局長は、38年1月に『軍紀風紀の現状は皇軍の一大汚点なり、強姦、掠奪たえず』と陸軍局長会議で報告しています。
　ただし、このような日本軍の残虐性は1937年に始まったものではなく、1894年旅順虐殺、1895年朝鮮・東学農民戦争（第2次）、同年の台湾征服戦争、さらに1931年の中国東北部（満州）侵略、1932年の第一次上海事変での虐殺……などの歴史的蓄積がありました。
　さらに南京事件後は、毒ガスや細菌兵器などの残虐兵器も使用しながら、主に農村部で住民の虐殺を繰り返していったのです。

　空爆・細菌兵器・毒ガス
　日本軍は重慶はじめ中国の諸都市に国際法違反の無差別爆撃を行い、細菌兵器・化学兵器を開発して実戦に用い、多くの中国人民を殺害した。

　重慶無差別爆撃
　中国は、1937年の南京陥落後、内陸部の重慶に臨時首都を移した。
　重慶は、天然の要害の地であり、地上による攻略は困難な地形であった。
　そこで、1938年12月2日、大本営は大陸命第241号を発令、華北･華中爆撃の企図について「政略中枢ヲ制圧擾乱スルト共二敵航空戦カノ撃滅」と定め、「海軍卜協同スル」こととした。
　そして、抗戦継続意志の破壊を目指して本格的に戦略爆撃を行った。
　空襲は、どこの国の首都よりも早く、長期に、最も回数の多い「対都市爆撃」の実行例だった。
　爆撃は1938年2月から1943年8月にかけて218回、被害は死傷者2万6千人、焼失家屋1万7千戸。
　ほかに1941年6月5日、防空壕で数千人から1万人以上が窒息死したとされている。
　長期間に亘り数多くの民間人の死傷者を出したこの爆撃は、後に連合国による日本本土に対する爆撃への合理性・正当性を与える結果となってしまった。

　731部隊
　日本は中国東北部の平房に731部隊を設置して、人体実験を繰り返し、細菌兵器を開発し、中国各地で細菌戦を行い、多くの中国人民を殺戮した。
　主に使われた細菌は、ペスト菌、コレラ菌等であった。
　細菌兵器開発のために人体実験が行われ、それで犠牲になった人は3000人以上といわれている。
　人体実験をされた人々は「マルタ」と呼ばれ、人間扱いされなかった。
　現在、1944年の日本軍占領下のインドネシアで「ロームシャ」と呼ばれた労働者に打った破傷風ワクチンで多数の人々が亡くなった事件の真相に注目が集まっている。
　1948年1月に起きた帝銀事件では、警察の捜査は、元731部隊員を中心に進んだが、戦犯免責の取引のために、アメリカに731部隊のデータを提供した事や、731部隊の実態が知れ渡ることを恐れたアメリカは、731部隊員の捜査にストップをかけた。
　戦後、アメリカは、これら残虐行為を裁かず、日本から得たデータをもとに生物兵器を作り、朝鮮戦争に使用した疑いを持たれている。
　また、元731部隊員はじめ、科学者をアメリカの核戦略に協力させた。

　毒ガス戦
　第１次世界大戦中、ヨーロッパの戦場ではイペリットガスなどの毒ガスが使用され、多くの死傷者が出た。
　その反省から1925年のジュネーブ議定書では、化学兵器（有毒ガス）と細菌兵器の使用が禁止されたが、日本はこの批准を見送り、陸軍はびらん剤や催涙ガスといった毒ガスを開発・製造していく。
　日中戦争中の1939年から中国全土で使用し、国際的非難を浴びるも、敗戦まで非人道的な攻撃を続けた。
　毒ガスの製造拠点は、陸軍は広島県の大久野島、海軍は神奈川県寒川の工廠であった。
　戦後、これらの工廠で働いた人々も毒ガスによる重い傷害を背負い、一方、中国でも日本軍が遺棄した毒ガスが漏れ出して多数の中毒者を生んだ。
　1997年に発効した化学兵器禁止条約によって、日本は中国に遺棄してきた毒ガスの処理を履行することになったが、当初の工程より遅れ、また処分できない砒素をドイツに輸送しようと画策。
　この問題で現在、情報公開裁判が係争中である。

　「満洲」に集団移住させられた朝鮮人
　「満洲」に渡った朝鮮人移民について、膨大な数の直接体験者の聞き取りをし、写真を撮ってきた李光平（リグァンビョン／中国吉林省延辺朝鮮族自治州の歴史研究者・写真撮影家）さんの表現には、移民たちの生活、葛藤、抗いなどが生々しく記録されている。
　「満洲」に渡った人たちにとって、もっとも必要だったのは、朝鮮に残してきた親兄弟や知己の者たちを写した写真、故郷の風景を映し出す写真・一族の歴史を刻む家系図など。
　生きていく心を支えるのになくてはならないものだったはずである。

　マレー虐殺／戦時性暴力／強制連行
　1941年マレー虐殺など、日本軍の住民虐殺は中国以外でも行われました。
　また、日本軍兵士の性欲処理として多数の「慰安所」を設置し、さらには労働力不足を補うための戦時強制動員など、植民地や侵略地の人たちを戦争に動員していきました。

　マレー侵略
　1941年12月8日未明、真珠湾奇襲のほぼ1時間前、マレーシアのコタバル侵攻で、アジア・太平洋戦争が始まった。
　日中戦争の行き詰まり、三国同盟締結が、主な要因である。
　日本軍は、シンガポールに向かって激進、2月15日に英軍が降伏し、マレー半島を支配下に置いた。
　以後、日本軍支配下の3年8ヶ月は、The Dark Years と呼ばれている。
　日本は華人を抗日勢力とみなして、華僑狩り（大検証）をして、多くの成人男子を虐殺したり、「奉納金」として多額の財産を奪い取った。
　参謀の辻政信中佐は、「俺はこの島の人口を半分にしようと思っている」と述べている。
　それを裏付けるように、日本軍はマレー半島を北上し、赤子から老人まで村ごとの虐殺を繰り返した。
　マレーシアの鄭来さんの目の前で生後まもない弟が空中に放り上げられ銃剣で刺殺された。
　シンガポールの李華さんは、老人が日本兵に最敬礼しなかったため銃殺されたのを見て抗日活動に加わったと証言した。

　日本軍『慰安婦』
　「満洲」事変、日中全面戦争、アジア太平洋戦争と15年にわたる戦争の中で、日本軍は1937年の侵攻以降、朝鮮半島などの植民地や占領した中国・東南アジアの女性を強制的に日本軍兵士と性行為をさせる「慰安所」を作りました。
　これまでの調査・研究から明らかとなった、日本軍「慰安婦制度」の仕組みと実態を展示します。

　強制連行
　中国全面侵略（日中戦争）によって日本の鉱工業は急激に労働力不足に陥ります。
　日本軍がつねに100万を超す日本人男性を徴兵したのが原因です。
　不足した労働力を補うために動員されたのが国内の女性、少年少女、そして朝鮮人男女労働者、さらには侵略した中国で捕捉され、強制連行された兵士や住民たちでした。
　「貧しいから日本に出稼ぎに来ただけ」ではなく、日本の戦争遂行のために強制的な労働動員が必要だったのです。
　とりわけ労働環境の劣悪な炭鉱・鉱山、土木現場には朝鮮人・中国人労働者が多く投入されました。
　軍需工場にも「徴用工」として多く投入されました。
　偽りの労働条件を示して「だまして」日本に連れてきたケースや、日本人労働者よりもより危険で劣悪な現場に投人したケースが、いくつかの企業側の史料からも明らかになっています。

　沖縄戦と棄民化された人々
　琉球処分という名の植民地化から始まり、戦時中は「国体護持」「本土決戦」「捨て石」にされた沖縄戦の実相を「沖縄戦新聞」で振り返ります。
　戦後は「天皇メッセージ」で米軍政下におかれ、「本土復帰」後も日米の「要石」にされている実態があります。

　ドイツと日本、戦後処理の違い
　日本は明治以来、朝鮮・韓国、中国、及びアジアで大量の人々を死に追いやり、傷つけ、財産を奪い、毀損した。
　その責任を日本は取っただろうか？
　日本人･日系人の受けた被害はシベリア抑留と米国の強制収用で、明確な謝罪が行われている。
　ドイツはユダヤ系の人々や周辺諸国に対して加害の事実を認め、繰り返し謝罪・救援をしている。
　被害者たちの要求は、①事実を認め謝罪、②その証の碑等を建立、②次世代への教育である。
　日本は慰安婦問題で、①を不十分ながら実施したが、その後打ち消す動きが続く。
　村山談話で認罪と謝罪をしたが、具体的中身を欠き、更にその後の後退が続く。
　これで今後、アジアで尊厳ある地位を獲得できるのだろうか？