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●映画「パリ20区、僕たちのクラス」
クラスって何? 教育って何? 教室から見える現代社会の姿

 教室で集団の授業風景を描いた傑作に、古くは羽仁進の「教室の子供たち」(1954年)がある。カメラに布団を巻いて音を消し、「演技しない」児童を撮ったものだ。新しくは前田哲監督の「ブタがいた教室」(08年)がある。ペット用の豚が大きくなり、どう処分するかを議論する生徒らの迫真の演技を7台のカメラで撮った。今度公開されるローラン・カンテ監督の「パリ20区、僕たちのクラス」では、3台のハンディーカメラと16本のマイクを使って、24人の生徒と教師との生き生きとした丁々発止をとらえている。これが面白い。

 主人公の教師に原作『教室へ』の作者、フランソワ・ベゴドーが扮し、生徒役を現実の20区の中学校に通う子供たちが演じているので、フィクションなのにドキュメンタリーのような気分にさせられる。

 物語の舞台は中学3年の教室で、1年間にわたるすったもんだの授業風景が描かれる。まず新学期が始まり、生徒たちがゾロゾロ教室に入ってくるシーンから驚かされる。これまで見慣れたフランス映画(例えば「さよなら子供たち」)のような白人の子弟だけでなく、アフリカ、アラブ、アジア系と肌の色が異なる子供たちが混在し、服装もてんでんばらばら。これでタイトルに「20区」と付した意味ものみこめる。ここはパリ郊外で労働移民が多い低所得者層が住む地区なのだ。だから授業も尋常にはいかない。

 担任の国語教師が黒板に一つの単語について例文を書くと、生徒はその一つ一つに難くせをつける。「ビル」という人物名を使えば、なぜ「アイサタ」や「アーメッド」ではないのか、爛轡蹇頁鮨諭豊瓩量樵阿个り使うのか、と。それに教師はいちいち反論しながら巧妙に単語の意味を伝えていく。ぶつかり合いの中に教育がある。が、ある単語をきっかけに学校中が騒動に巻き込まれていく─。教室の中から狎菴聞餃瓩里い泙見えてくる。(木下昌明/「サンデー毎日」2010年6月20日号)

*映画「パリ20区、僕たちのクラス」は東京・神田神保町の岩波ホールで6月12日からロードショー c Haut et Court- France 2 Cinema

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*追記
前回紹介記事を書きました「『沖縄』から飛び立った米軍が何をしたか・・改めて見る」の映画「ハーツ・アンド・マインズ」と「ウィンター・ソルジャー」は、70年代のドキュメンタリーですが、いまなお色あせていません。ぜひ見にいってほしい作品です。6月19日から東京都写真美術館ではじまります。(木下)


Created bystaff01. Created on 2010-06-18 11:06:44 / Last modified on 2010-06-18 11:11:37 Copyright: Default

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