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「騙された」子会社労働者が新労組で闘争に立ち上がった理由

[イシュー]年俸差1千万ウォン、深刻な超過労働

キム・ハンジュ記者 2020.01.06 16:01

韓国道路公社の子会社欺瞞に一言でやられた。 韓国道路公社は、子会社(韓国道路公社サービス(株))の転換に同意した料金受納労働者に 賃上げ、定年1年延長、処遇改善を保障すると約束した。 去る7月、全国料金受納労働者6500人のうち5000人が子会社に雇用を移した。 だが直接雇用を主張した1500人は集団解雇され、 現在(12月末)まで金泉道路公社本社で占拠闘争を続けている。

しかし最近、子会社を選択した労働者たちが、 子会社と公社の処置に抗議して闘争を始めた。 子会社に転換しても賃金と労働条件などが良くならず、 彼らも事実上、公社の職員だという主張だ。 彼らは去る8月、新労組(exservice新労働組合、以下新労組)を作って本格的な闘争に突入した。 約3か月で新労組に200人越える労働者が集まった。 ワーカーズが子会社労働者と会って彼らの話を聞いた。

賃上げ? 超過労働手当てで上がった

[出処:キム・ハンジュ記者]

全北のA営業所で料金受納業務を遂行するパク・ソンテ(仮名)氏。 記者と会ったパク氏は、まず賃金明細書を見せた。 基本給212万3千ウォン、賞与17万6910ウォン、延長手当て13万2050ウォン、 夜間手当て40万1660ウォンで、支払い合計は283万3620ウォン。 保険などの控除金額31万9160ウォンを除けば手取りは251万4460ウォンだ。 パク氏はこの明細書について 「ここから超過手当てを抜いても200万ウォンにもならない」とし 「今われわれは与えられたよりもよく働き、 以前より少ない金を受け取っているだけで、 子会社転換で賃金が大きく上がったと言えない」として不満をさく烈させた。

彼は外注用役業者の時も、給与は200万ウォン近かったと話した。 用役の時は、食費と交通費も別に払われたが、今は基本給に入っている。 賞与金も月halo支払われて、今後の最低賃金引き上げで不利益を受けるかもしれない。 彼は子会社の設立前に道路公社が毎日自分に電話して 「二度とこんな条件で働ける機会はない」とし、 子会社への転籍を強要する時を思い出した。 彼は「事実、道路公社が多くの政策と福祉を出して、ひょっとすればと思った」とし 「私と同僚が考えていた期待の数値があったが、はるかに達しない。 前と違わないと思う」と吐露した。 それと共に彼は「初めから子会社を認めるべきではなかった」と深いため息を吐いた。

子会社転換以後に高まった労働強度も問題だ。 A営業所のイ・ギファン(仮名)氏は11年間料金受納労働をしているが、 今のように仕事が多いのは初めてだと言う。 A営業所は現在、人員が以前より3人減った。 直接雇用を主張して子会社転換に同意しない労働者が解雇されたためだ。 イ氏だけでも基本給は200万ウォン水準だが、 夜間手当てと延長手当てだけで50万ウォンに近い。 イ氏は「勤務人員が3人も減り、初番(午前6時〜午後3時)と中番(午後3時〜午後11時)、 中番と末番(午後10時〜翌日午前7時)を続けて18時間働く状況もあった」と指摘した。

子会社料金受納労働者の労働強度が高まったのは、単に人員削減のためだけではない。 道路公社は2016年からワン・トーリング・システム(無停車料金所)を導入したが、 これによる業務増加がかなりになると皆が話す。 イ氏は「ワン・トーリングでナンバープレート認識やカメラなどにミスが出る場合が多く、 そのたびに車両入口照会などの業務量が溜まる」と説明した。 実際に、10月の国政監査でワン・トーリング・システム導入以後、 誤りが合計40万件、誤つて精算された通行料が13億8179万ウォンにのぼるという事実が明らかになった。

全南のB営業所で働くパク・ソニ(仮名)氏も 「子会社は一から十まで不満」と話した。 パク氏の11月の給与は約220万ウォン。 記者が会った他の料金徴収員労働者よりも著しく少なかった。 B営業所には子会社転換拒否で解雇された労働者がなく、 そのため1日8時間より多く働くことがなかったためだ。 パク氏は今の給与もまた最低賃金引き上げ率を考慮すれば、自然増加の部分だとし、 子会社が特にさらに多くの金をもらっているわけではないと話した。 パク氏は労働条件と労働者に対する使用者の態度も変わっていないという事実に怒った。

彼は相変らず10年間、食堂で自分の食事の仕度をして、皿を洗い、 営業所のあちこちをぞうきんで清掃していた。 また、料金受納業務への苦情が発生した時、自分に戻る上部の叱責も変わらない。 女性労働者として料金受納業務の途中に男性運転手がタバコの煙を吹き出す行為、 暴言、セクハラなどの問題解決を望んだが、 使用者側は何の対策も出さなかった。 自分が道路公社正規職労働者のうっぷん晴らしの対象ではないかと空しさを隠せない日が続いていた。 彼は道路公社が子会社労働者に「公務員水準の自負心を持って働け」という言葉が詭弁に過ぎなかったと話した。 彼は定年まで2年しか残っておらず、直接雇用を選択できなかったと言葉を濁した。

子会社、道路公社無期契約職賃金と比較すると

新労組が子会社労働者と道路公社無期契約職の号俸表を入手して分析した結果、 子会社の労働者の年俸が道路公社無期契約職より多ければ1500万ウォンも少ないという事実を確認することができた。 子会社の労働者の賃金上昇段階は、1段階200万3千ウォン(1〜2年目)、 2段階204万3千ウォン(3〜5年目)、 3段階208万3千ウォン(6〜8年目)、 4段階212万3千ウォン(9〜12年目)、 5段階216万3千ウォン(13〜16年目)、 最後の6段階220万3千ウォン(17年目以上)になっている。 数十年間、子会社に身を置いてもせいぜい20万ウォン基本給が上がるだけだ。

だが道路公社の無期契約職1年目は173万7千ウォンから始まり、 10年目には217万1千ウォンに達し、同年次の子会社労働者の給与を越える。 20年目で262万ウォン、33年目には312万6千ウォンに達する。 新労組のキム・ジョンミョン事務局長は 「韓国道路公社は子会社に職務給制度を作り、賃金上昇を抑えた。 われわれは一般正規職でなく無期契約職水準の賃金テーブルに合わせてくれと言ったが、 子会社共生協議会は5月に賃金体系を確定した。 これにより、子会社労働者は道路公社武器職より年1000〜1500万ウォン程損害を受ける。 道路公社の職員と子会社の労働者の差別をさらに強固にした」と説明した。

[出処:キム・ハンジュ記者]

集団解雇の空席を埋めた期間制労働者

子会社は集団解雇された1500人の料金受納労働者の席を期間制労働者で埋めている。 新労組は、使用者側が期間制労働者約900人を採用したと把握している。 大田のC営業所で働くチェ・キウク(仮名)氏も、7月1日に期間制で入社した。 C営業所の場合、24人のうち半分ほどが期間制労働者だ。 チェ氏は過去料金所で料金受納労働をして2012年に成果を強要する用役業者社長とケンカをして自主的に退社した。 片足を失った障害者として生計をたてるのは難しく、 またここに戻ることになった。 (韓国道路公社によれば、2018年基準料金受納労働者の障害者割合は25.1%だ。)

チェ氏も劣悪な労働環境に置かれていた。 彼の基本給は208万ウォン。 超過労働も例外でなかった。 人員不足で主任までブースに入る時が多いという。 また、C営業所は過剰積載車両が多いため、 受納労働者がまともな休息を保障されずにいた。 同僚が年次でも使うと、週52時間労働を超え、 勤労基準法に違反する状況も発生した。 彼は週52時間制施行で公共機関はもっと労働者を採用すべきなのに、 むしろ労働者の足手まといになっているとし、政府の政策を批判した。 それと共に彼は何よりも自分が集団解雇労働者の席で働くのが一番気にかかるといった。

彼は「高空(キャノピー)上がって、青瓦台の前で戦う労働者たちを見れば、 私は辞めるのが当然だ。 私がいくら生活が困窮しても、ここはもともと彼らの席ではないか」とし 「とにかく道路公社が作った子会社の素顔があらわれた。 子会社労働者たちが道路公社直接雇用を主張するのは当然だと思う。 今のような状況を作ったのには、 巨大労組(韓国道路公社営業所労働組合)の責任もある。 道路公社ときちんと戦う労組が必要だ。 それでひとまずここで働く私は新労組に加入して、 その闘争に力を貸したい」と力説した。

子会社労働者たちが新労組を作った理由

新労組は8月19日に設立総会を開いた。 12月基準、新労組組合員はたちまち200人に増えた。 既存の労組に対する反発のためだった。 既存の労組は韓国道路公社サービス労働組合(サービス労組)と 韓国高速道路営業所労働組合(営業所労組)だ。 この二つの労組は10月にサービス労組という名前で統合した。 本来、営業所の労組は数千人を率いる巨大組織だった。 営業所労組は全国高速道路営業所非労組勤労者協議会(全英非)から出発した。 2013年、全英非は3800人営業所労働者を募集して、 不法派遣と賃金差額訴訟を提起した。 その後、道路公社との争いでさらに強い交渉力を持つため、営業所労組に転換した。 営業所労組とサービス労組は子会社設立に同意して、 会社と足並みをそろえた。 現在、約4000人の労働者が統合されたサービス労組に身を置いているという。 サービス労組の上級団体は韓国労総全国公共産業労働組合連盟だ。

労働者たちは、既存労組の態度に強い不満を抱いていた。 新労組によれば、営業所労組は道路公社が子会社転換の過程での約束を履行させるための 集会を5月7日の予定していたが、5月17日の金泉支院弁論期日を控えて突然取り消した。 また、8月には営業所労組のバンド(SNS)である組合員が 「なぜ労組活動を知らせるのでないか」と聞かれ、 「裁判所の早い判決を待っている状況」という短い公示が書き込まれた。 また、労働者たちは子会社転換以後、さらに労働環境が悪くなったのに、 労組は何の役割もしていないと口をそろえた。 以前は1日24時間を3交代に分けて8時間ずつ労働していたが、 今は9時間労働に変わった。 その上、直接雇用希望労働者が解雇されて発生した人員不足による労働強度も高い。 決定的には、去る8月の大法院、12月の金泉支院の不法派遣連鎖判決で、 直接雇用に対する子会社労働者たちの自信が強まった。

新労組幹部でもあるイ・ギファン氏は 「サービス労組は秘密裏に運営して、交渉だけに集中する」とし 「子会社転換後も労働者の不満が出てきたが、営業所労組は何もしない。 組合費を2万ウォン払っているのに組合員は何の情報も聞くことができない。 それで、9月に新労組が怒った子会社労働者たちと共に、 課題人員を補充しろという集会を道路公社本社前で別途に開いた。 まだ少ないが、組合員は急速に増加している」と話した。

「子会社の労働者は道路公社と暗黙的な勤労契約関係」

新労組は11月18日、道路公社に対して暗黙的勤労契約関係地位確認訴訟を提起した。 子会社の労働者たちは、道路公社と暗黙的勤労契約関係が成立するので 自分たちは道路公社料金受納労働者だと主張する。 民主労総法律院は訴状で 「子会社は支配構造、経営陣構成の面で経営事項に関する独自の決定権限がなく、 全てを道路公社が決める」とし 「子会社は公社が100%の株式を保有しており、公社の(李康来(イ・ガンネ)前)社長が 子会社の代表を兼ねている。 さらに、子会社の主要経営陣も100%公社から派遣された人員で構成されている」と 子会社労働者と公社の関係を説明した。 続いて、 △子会社が独自の採用権限がない点、 △公社が子会社に転籍させられた料金受納労働者に対して 相当程度の業務上指揮・監督権を行使している点、 △料金受納労働者の賃金などの勤労条件を決める主体が公社である点、 △子会社が料金受納業務を遂行するための独自の設備を保有していない点を 訴訟の理由に上げた。

キム事務局長は、 「運営構造を見ると子会社は道路公社の『人員補給所』に過ぎない」とし、 「実際の料金受納業務を指示する人は道路公社から派遣されてきた代理級労働者で、 営業所でもチーム長や主任級は道路公社の社員番号で道路公社の社内ネットに 接続、管理する。 とにかく道路公社と子会社の代表理事が同じなのに、 その2人が取り引き契約をするということがコメディーではないか」と説明した。 新労組は暗黙的勤労契約関係訴訟に129人が参加し、 新労組の組合員が多いと明らかにした。

原文(ワーカーズ/チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2020-01-15 15:29:39 / Last modified on 2020-01-18 05:25:35 Copyright: Default

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