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人々に聞いた「なぜ女性委員長がいないのですか?」

[イシュー:女性は労組委員長してはいけませんか?]労働組合で女性委員長に会うことが難しい理由

ユン・ジヨン、ウン・ヘジン記者 2020.01.02 10:47

2019年8月基準、女性非正規職の割合は45.0%に達する。 男性の非正規職の割合29.4%より圧倒的に高い。 男性に対する女性の月給与額は10年間60%台を維持している。 女性労働者の多数が低い賃金と不安定労働に従事しているということだ。 1995年11月11日、民主労総は創立に先立ち 「男女平等の実現のために熱く闘争する」という宣言文を発表した。 それから24年経った現在。 民主労総は本当に熱い闘争で男女平等を実現したのだろうか。 いや、少なくとも組織内部の性平等程度は実現したのだろうか。

昨年末基準、民主労総は韓国労総を抜いて第1労総の地位に上がった。 創立から23年目だ。 だが残念なことに、相変らず民主労総内の女性組合員の割合は30%を下回っている。 24年間、女性の民主労総委員長は1人も輩出できず、 16の地域本部の歴代本部長の中にも女性はまったくいない。 民主労総のイメージは相変らず「大工場」、「正規職」、「男性」に代弁される 87年体制に留まっている。 これまで多くの女性事業場の闘争があり、 それらは激しく大胆な闘争として記録されているのに、 なぜ指導者に成長する女性は少ないのだろうか。 それで質問を投げてみることにした。 「女性は労組委員長してはいけないのですか?」

[出処:キム・ハンジュ記者]

前男性労組幹部に尋ねた

まず労組幹部を歴任した男性たちに尋ねた。 時代が時代なので、記者の質問に苦心する様子は歴然としていた。 まず前職地域本部本部長出身のA氏。 「女性たちは家事労働をするので、立ち上がって活動するのは難しい」と診断した。 家事労働と育児を女性たちが専門担当しているので、 簡単に労組幹部を引き受けるのは難しいということだ。 さまざまな困難のうち断然最大の困難は「拘束」だ。 文字通り、ブタバコに行けるのかということだ。 A氏は「過去の労組選挙立候補式は、そのまま拘束出征式だった」とし 「実際に民主労総の委員長は、立候補と同時に手配を覚悟しなければならないが、 女性の仲間たちは子供が小さいので立候補に制約的にならざるをえなかった」と説明した。 それと共に彼は女性を排斥したのではないと再度強調した。 「率直に、女性の仲間は多くありません。 地域では男性活動家も探すのが大変です。 地域本部選挙の時、どうにかして役員をたてなければならないが、 男性であれ女性であれ、人自体がいないのです。」

代表的な「男超」組織の金属労組役員出身B氏。 彼は「金属労組委員長・副委員長・事務総長選挙に女性を入れなければならないという話が出る程、女性組合員の数が多くない。 女性組合員は10%にもならない絶対的少数」と説明した。 幹部に成長できる女性組合員の土台そのものが弱いということだ。 では女性組合員を拡大するためにどんな努力をしてきたのだろうか。 B氏は「女性組合員や女性活動家がある程度いれば話も出るが、 そうではない状況で性平等問題に関する現場組合員たちの意識水準は低くならざるをえない」とし 「事実、全教組や公務員労組の場合も女性組合員数はかなりいるが、 活動家はあまりいない状況でないか」と伝えた。

かなりの女性組合員数がいる産別労組の役員出身のC氏も、 女性の「出産と育児」を幹部進出の困難にあげた。 彼は「女性が労組幹部になることに対する組織内の拒否感は全くないが、 まだ女性が家庭で育児などを専門担当しているので、あまり女性活動家は進出できない」とし 「女性組合員数は相当だが、今でも男性候補が女性候補を見つけられず、 候補登録ができないこともある」と説明した。 最大の問題は、それなりの「女超」組織なのに女性幹部は主に周辺的な業務に配置されるという点だ。 C氏は「女性選出職幹部が議決と執行構造や決定単位から疎外されるという批判があった」とし 「自ら克服してみようという努力もあるが、 現実的に幹部層が厚くないため、困難もある」と明らかにした。

変わらない「大工場」、「男性」、「正規職」文化

今回は労組の女性事業担当者や研究者に尋ねた。 彼らは女性組合員が絶対的に不足しており、 彼女らが出産と育児および家事労働に苦しんでいるのは事実だが、 それが全てではないと皆が話す。 世の中が変わったとはいうが、相変らず労組内での女性関連事業は、 中心的で、心的な事業としては扱われない。 女性組合員の土台拡張のための悩みも活発に続かない。 民主労総のキム・スギョン女性局長は 「(女性の労組幹部進出の障壁を)育児問題だけに置き換えるのは合わない」と説明した。 育児や家事などの外部的要因だけでなく、労組内部の構造的問題も存在するということだ。

キム・スギョン局長は 「中央幹部の場合、女性役員を見つける努力をしないことが最も大きく、 女性を育てるためのリーダーシップ教育や計画も多くない」とし 「特定の加盟組織を除くとあまり女性組合員がいないのは事実だが、 女性が労組幹部に進出した時、メリットがないのも問題だ。 一例として、現場では女性が幹部になると昇進できないという話が多い」と批判した。 男性中心の労働組合文化が相変らず改善されないことも問題だ。 キム局長は「まだ民主労総に87年体制が残っているのは事実だ。 労組幹部に過度な責任意識と犠牲、徳性を要求する文化がある」と指摘した。

民主労総ソウル本部で女性事業を担当するキム・スンヒ組織局長も、 労組内部の体質改善がなされていない点を指摘した。 キム・スンヒ局長は「民主労総は労組内部の女性代表性を高め、 組織内の性平等文化を作ると話してきたが、 本気なのか疑いを持つ時がある」とし 「大工場、男性中心性から抜け出すには未組織女性労働者を組織しなければならないが、 何が必要なのか、また組織文化がどう変わらなければならないのかを考え、 議論する構造ができていない」と説明した。

女性事業はいつも次の順位

こうした問題は、民主労総内の女性事業の不在に起因する。 民主労総女性委員会が252の事業場労組を相手にアンケート調査をした結果、 女性委員会あるいは性平等委員会を設置している事業場は 各々14.68%、7.94%に過ぎなかった。 労組中央や地域本部に女性委員会が存在するとしても、 専門担当人員が配置されていなかったり、次順位の事業に押し出される場合も多い。 金属労組のキム・ヒョンミ副委員長は 「女性事業担当者の場合、労組内で教育、宣伝などの業務を重複して担当することが多く、 女性事業にだけに没頭できる環境がない」とし 「女性委員会事業は重要事業に配置されず、次順位に押し出されることが多い。 予算も豊かではないばかりか、内部での女性事業に対する共感もとても不足している」と指摘した。

キム・スンヒ組織局長も 「民主労総加盟傘下組織の女性事業担当者は、ほとんどが兼職のことが多い。 女性委員長がまったくない所も多い」とし 「現場の状況はさらに深刻だ。 女性委員会議が開かれた時、現場の労組専従が時間を割いて出てくるのが容易ではない。 タイムオフによる専任活動時間中にある程度の時間を女性事業に使うので、区分されていないため」と説明した。

団体協約のような重要な決定の過程で女性労働者の要求が反映されない場合も多い。 女性役員だけでなく、女性交渉委員も絶対的に不足しているためだ。 民主労総女性委員会のアンケート調査結果によれば、 252の事業場労組のうち96(38.10%)の組織では、 たった1人も女性交渉委員が配置されていなかった。 キム・スギョン局長は「事業場別に性別賃金格差がとても大きく、 昇進や配置でも差別が発生するが、 女性交渉委員の不在のためにこれを問題提起して変える通路がない」と明らかにした。

性別固定観念が職責にも影響

労組内の職責で、性別固定観念が従う傾向も存在する。 民主労総で女性組織室長がいたのは2015年が初めてで最後だ。 ペ・テソン前民主労総組織室長は 「私が(組織室長に)なった時も反発が激しかったと知っている。 基本的に女性が組織室長になることに対する反発が潜在していたという気がする」と伝えた。 キム・スンヒ局長も 「他の地域本部は女性を組織局長に任命しないこともあるという。 うちの地域本部で女性を組織局長にしたことに驚く人もいた」と伝えた。

韓国女性労働史を研究するユ・ギョンスン活動家は 「過去の清渓被服労組の事例で見られるように、 支部長選挙で女性が候補に出てくれば戦闘力がないと覆ってしまう。 現実的にそうした偏見があるようだ」とし 「女性は補助の仕事をしなければならないというよくある社会的認識が 労働組合にも同じように適用されるので、 女性がさらに進むことができる機会はきちんと与えられない」と診断した。

もちろん、会社内部の性差別文化が女性労働者の労組活動をさらに難しくする場合も相当だ。 深刻なのは、女性が労組幹部になる場合、 事業場で昇進をはじめとする差別に苦しむという点だ。 キム・スギョン局長は「事務職や公務員などの女性正規職が労組幹部になると昇進できない」とし 「端的には、某公共機関事業場の場合、 団体協約上女性と男性の職級別昇進割合があったが、 会社がこれを破って女性はみんな除外された。 だが前職・現職の男性幹部はすべて昇進の対象に入っていた。 労組の女性代表性問題は、産業構造内の性別構造とも密接に関連している」と説明した。

製造業の女性事業場だが、交渉力を理由としていつも男性管理者が労組幹部になったりもする。 会社内部の職級や昇進差別がそのまま労組職責にも反映される場合だ。 ユ・ギョンスン研究活動家は 「管理者あるいは課長出身は会社情報に通じているので、労組委員長をするのに有利だ。 現実的には生産職の女性労働者は情報が多くなく、 管理職出身が交渉力があるため、 女性主導者も自信を失って男性中心に動かしてきた傾向がある」とし 「労組の中で女性の指導力がどのようにして形成されるか、 現在の構造をどのようにして克服できるかが悩み」と明らかにした。

女性割当制は「万能」ではない

一方、民主労総は組織内の女性代表性拡大のために、 2004年から女性割当制を施行してきている。 これにより女性役員や代議員、中央委員が多少、数的に拡大した側面もある。 だが、女性割当制が労組内の女性代表性に対するアリバイ用の措置として存在するだけで、 むしろ女性の意志決定と意見収斂を妨害しているという批判もある。 意志決定の過程で女性の意見が反映されず、 女性割当で配置された女性が「賛成ロボット」の役割を果たしていると評価されたりもする。 また女性割当制が女性代表性向上のための唯一の方法として認識され、 その他の女性事業を縮小させるという批判もある。[1]

社会公共研究所は3月に発行した 「公共運輸労組女性事業現況と課題」の研究報告書で 「性的不平等がただ権力機構に進入できない女性集団に一定の量を出せば 黙らせることができると見なされる時に発生する問題」だとし 「女性割当制が唯一の装置として過剰代表されることは、 むしろ労組が割当制施行に限らず、積極的介入の責任を放棄した結果と読める」と診断した。

事実、労働組合の選挙はたいてい男性中心の政派運動を基盤にするため、 特定の政派所属でなければ女性が独自に選挙に対応するのが難しい。 キム・スギョン局長は 「普通、委員長・副委員長・事務総長選挙は政派の構図で進められるので、 政派に属さない女性は参加が難しい」と明らかにした。 民主労総女性委員会は 「民主労総性平等指数調査結果」報告書で、 「初期には正当性で割当を守り女性が進出したが、 男性権力と政派によって指名された代表性だという汚名と蔑視に勝ち抜くには、 女性一人一人の努力では足りない」とし 「安定した力量強化訓練システムとリーダーシップ涵養のための 組織の努力が要求される」と注文した。

キム・スンヒ局長も「民主労総の組織文化は、 労組内の政派運動の組織文化と連動されていると見る」とし 「短期間で変わるのは難しいが、30%の女性組合員を中心として組織文化を考え、 これを支持基盤として組織内の性平等認識を変えて決議する段階が必要でないだろうかと考える」と明らかにした。

道が遠い性平等組織文化

このような組織文化は、労組内の性平等感受性の向上を難しくする悪循環を生む。 社会公共研究所は上の研究報告書で 「女性委員会および女性事業機構活動は、 公共運輸労組内で簡単に軽んじられ、 現在、公共運輸労組には『女性事業』に分類されるような活動を制止しようとする積極的な反女性主義的抵抗もまた存在する」と明らかにした。

労働運動が女性の声を言語化できないまま、 相変らず伝統的な女性観から抜け出せずにいるという指摘もある。 該当研究報告書に参加したパク・チョンジュ研究員は 「労組内部で(ジェンダー問題に対する)話をすると、 討論につながらずに個人的な不満程度にとどまることが多い」とし 「したがって、女性労働者の言語が労働組合の外で形成され、 労働組合の活動家に伝えられている構造」と説明した。 キム・スンヒ局長も「民主労総の会議構造で女性割合が10%にもならない」とし 「それだけ女性の観点で語ることが難しいということ」と伝えた。

また、パク・チョンジュ研究員は研究報告書で 「家父長的資本主義構造と性別分業イデオロギーに対する問題提起が十分に受容されず、 相変らず『労働組合で女性労働者は保護ないし配慮を必要とする特殊集団と見なされる』状況がある」とし 「女性労働者を相異なる欲望を持つ主体として復元する作業がまず必要だ」と注文した。

〈脚注〉

[1] キム・グムスク、2011、『割当制の二つの顔-民主労総女性割当制効果分析を中心に』、 聖公会大学校NGO大学院修士学位請求論文

原文(チャムセサン/ワーカーズ)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


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