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朴元淳式再開発、技術職人を追い出すのか

[イシュー: ヒプチロの内部事情]

キム・ハンジュ、ユン・ジヨン、ウン・ヘジン記者 2019.11.26 09:01

「協業」するといいながら「協業」を破壊した朴元淳式都市再生

朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長は、 ソウルの乙支路世運商街一帯の都市再生事業を進めてきた。 2017年6月、ソウル市が告示した「世運商街一帯都市再生活性化計画」には、 都市の産業と共同体を育成するという目標が入っている。 具体的には、 △4次産業革命を率いる都心創意製造産業中心の育成(産業再生)、 △歩行中心空間で都心内の代表名所空間造成(歩行再生)、 △住民の暮らしと歴史を尊重する都市再生推進(共同体再生)等を打ち出した。

ソウル市は創意的製造産業育成と共同体再生のために 「また世運プロジェクト」という事業を展開する。 とても古くなった世運商街を撤去しない代わりに、 ここを再生して創意的製造産業の拠点にするという趣旨だ。 そのために一時は世運地域一帯の技術職人と青年のアイデアが結合する 「協業」を強調した。 世運商街内の世運メイカーズ・キューブには、 青年のスタートアップと芸術家など、10余りのチームが入居した。

事実、技術を共有して協業するシステムは、 既存の清渓川・乙支路一帯の商人が数十年間積み重ねてきた生産方式でもあった。 皮肉なことは、青年と技術を共有しながら協業する技術職人が、 再開発の狂風に押されて世運地域から追い出されていることだった。 世運3-1、4、5区域では、350軒ほどの店舗がすべて追い出され、 そこで協業システムを作って作業をした技術者はちりぢりに散った。 世運3-2、6、7区域も現在、再開発が進行中で、 施行社が土地所有権を移転する手順を追っている。 世運4区域は管理処分の認可が出て、近い将来撤去を控えている。 撤去された世運3-4区域には高層アパートとオフィスホテル、ホテルなどが入る予定だ。 こうした世運地域の再開発狂風は、 ソウル市が事業施行認可を出したから可能になった。

またソウル市は、世運商街群一帯の産業的な潜在力を集合・共有し、 技術職人と青年の協業を支援するとして「世運商街産業地図」も作った。 今はサービスが中断されたこのインターネット・プラットフォームには、 昨年、世運3-1区域(笠井洞)から追い出された工場が堂々と紹介されている。 撤去と再開発に反対して地方自治体や施行社と戦っている世運3区域の工具店も 「産業的潜在力」がある業者として登録されている。

中区庁も二重的な態度を取っている。 中区庁は去る7月、世運3-6、7区域に土地収用裁決のための閲覧と意見聴取をした。 土地収用裁決は、開発区域内土地補償の価格を決める再開発の手続きだ。 一方では2016年4月から観光客と市民に対して乙支路路地ツアーの 「乙支遊覧」を進めている。 乙支路3街から出発して、撤去予定地だった乙支麺屋、ヤンミ屋などの老舗と 撤去後に追い出された3-1、4、5区域、 現在撤去予定の3-2、6、7区域も乙支遊覧のコースだ。 中区庁は撤去を前にしても該当地域で乙支遊覧を行い、 そこの技術者をゲストに立てた。 撤去予定地域のシナ鋳物のキム・ハンニュル社長は 「再開発を進めながら、中区庁はシナ鋳物がソウルの文化遺産だと話して 乙支遊覧観光を進め、取材をして行ったりもした」と説明した。

そのため清渓川、乙支路一帯で活動する青年技術者、芸術家、技術職人などは、 再開発反対の声に力をのせている。 商人・職人・芸術家で組織された清渓川乙支路保存連帯は 「韓国の製造業を引っ張ってきた清渓川、乙支路一帯の職人が 再開発によって追い出され、職場が壊れている」とし 「政府は再開発を全面中断して清渓川、乙支路を製造産業文化特区に指定し、 産業生態系を保存して活性化しなければならない」と要求した。

朴元淳市長の都市再開発、呉世勲、李明博と何が違うのか?

歴代のソウル市長は絶えず清渓川・乙支路工具街の撤去と都心再開発事業を試みてきた。 李明博(イ・ミョンバク)元ソウル市長の時期の2003年、 ソウル市は清渓川商人移住対策としてソウルの長旨洞に 「ガーデンファイブ」ビルを設立すると発表した。 ソウル住宅都市公社が1兆3千億ウォンをかけて建設したガーデンファイブは、 国内最大規模の流通・商業施設団地だ。 移住対策を発表した当時、ソウル市は商店街を7000〜8000万ウォンで分譲すると 明らかにしたが、入居時期になると分譲価格が1億5千万ウォン水準に上がった。 2007年当時、清渓川商人6万人のうち移住の意思があった商人は6097人だったが、 実際に契約した商人は1028人に過ぎなかった。 高価な賃貸料に耐えられなかったためだった。 その上、このビルには塗装・鋳物・プレス種目の入居が不可能で、 実効性論議も起きた。

呉世勲(オ・セフン)元ソウル市長の時期の2009年には、 世運地域一帯を「世運再整備促進地区」に指定した。 世運商街など8つの売り場を壊し、そこに1kmの長さのセウン緑帯公園を造成すると同時に 122m(36階)の高さの業務・都心活性化施設を作る計画だった。 実際に呉元ソウル市長は2009年に作った1区域に 世運緑帯公園(旧現代商店街)を造成したが、 この外の計画はそれ以上推進できなかった。 文化財委員会の審議の結果、1区域と連係して施行しようとした世運4区域の開発計画が 失敗したためだった。 結局呉元市長の事業は968億ウォンを注ぎ込んだ3748m2規模の菜園造成で終わった。

では朴元淳(パク・ウォンスン)市長の動きは彼らと違うだろうか。 これまで朴市長は世運商街群都市再生事業を推進し、 露店、商人の強制退去に批判的な声を上げてきた。 これまでの市長の傍若無人な撤去と開発ではなく、 「市民参加と住民主導型都市再生」を推進するということだった。 実際に朴市長は2012年に「ニュータウン出口戦略」を発表し、 ニュータウン解除地域に都市再生事業を推進した。 世運商街群は、ニュータウン地域から解除され、都市再生事業の対象になった。 2014年にはさらに具体的に世運商街群の計画を発表した。 呉世勲元ソウル市長が全面撤去しようとしていた世運商街群を 世運促進区域から分離措置する「世運再整備促進計画変更案」だった。

だがこの計画は、世運商街群を「都市再生事業」に転換すると同時に、 周辺の商店街は再整備促進の対象に維持するものだった。 事実、再整備促進事業は李明博元市長のニュータウン事業に根を持つものでもあった。 2005年に李明博元市長が ニュータウン事業のために制定した「都市再整備促進のための特別法」が 再整備促進事業の根拠法令だった。 結局、ニュータウン開発区域から解除されない世運整備促進区域は、 全面撤去と再開発の対象として残った。 朴元淳市長は 世運再整備促進計画により、該当区域に都心型住居を供給する計画だと明らかにし、 施行社に事業施行認可を出した。 マスコミの報道によれば、撤去が完了した世運3-1、4、5区域と6区域には、 住宅商店複合アパートが入る予定だ。 朴元淳市長は まだ撤去対象の商人に対する移住対策も出していない。 これに関してソウル市の関係者は 「3区域再開発事業は都心住居環境法による手続き」だとし 「(補償関連の基準を)政策で決められた内容以上に要求するので問題になった」 と指摘した。 続いて「年初に商人対策を用意すると話をしていた。 対策方向は公表したように産業生態系を保存する方向で、 商人非常対策委が提示した内容も共に検討中」とし 「具体的な内容は検討中なので話すのは難しい」と明らかにした。

各種の再開発問題に対応している竜山惨事真相究明委員会のイ・ウォノ事務局長は 「朴元淳市長の 都市再生が今まで住宅供給と同じ物理的な概念に焦点が合わされているとすれば、 今から人生と記憶を保存することにも焦点を合わせる必要がある」とし 「老朽した地域を放置できないのなら、 それを再生する方式は居住者がまず維持される方向に行くべき」と説明した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2019-12-02 15:20:23 / Last modified on 2019-12-06 16:07:48 Copyright: Default

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