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約束は私が、履行は勝手に

[ワーカーズ・イシュー(4)]ソウル市が出した政策、履行の過程を調べる

パク・タソル、ユン・ジヨン記者 2018.03.29 14:54

「ソウル市傘下機関の労働者たちの本当の社長は市長でしょう。 金脈を握っていて、市が実質的に管理監督するからです。 なぜ労政交渉を要求するのでしょうか。機関には何の力もありません。」

ある公共機関労働者の言うように、ソウル市の傘下機関はソウル市の政策によって動く。 非正規職の正規職転換、賃金体系改編、各種事業まで、 ソウル市の影響が及ばない所はない。 傘下機関の労働者たちにとってソウル市長は「本当の社長」といえる。 ソウル市が口に唾して広報する「労働尊重特別市」ソウルの正規職転換は、 朴元淳(パク・ウォンスン)市長の意志が最も重要だった。 政府よりも先に常時持続的業務を正規職化すると言い、 九宜駅惨事以後は安全業務職に対する正規職転換の意思を明らかにした。 だがソウル市は多くの政策を発表しながら、 まさに履行については一歩後退する姿を見せた。 予算不足を理由として、傘下機関の独立性を尊重するという理由で、 調整が必要な過程から手を引いたりする。 「展示行政」と批判されるのもそのためだ。

ソウル市の約束

来る3月1日付でソウル交通公社に所属する1288人の業務職労働者(無期契約職)も一般職群(正規職)に転換される。 無期契約職が正規職に転換された事例は、全国地方自治体傘下機関の中で初めてだ。 これまで無期契約職を正規職と宣伝してきた政府と地方自治体が 「無期契約職は正規職ではない」ことを認めた初の事例でもある。 そのためか、ソウル市の自負心はすごい。 ソウル交通公社は「無期業務職全面正規職(一般職)転換関連労使合意書」を作成し、 ソウル市の「労働尊重特別市ソウル2段階発展計画」によるものだと明示した。

今回の合意がソウル市の政治的な功績にされることを見守った業務職当事者はあきれている。 今回の合意のために孤軍奮闘した6か月の時間が走馬灯のようにかすめる。 業務職は正規職転換合意がソウル市の計画ではなく、業務職転換要求闘争のためだという事実をよく知っている。 業務職協議体のユ・ソングォン共同代表は2月12日に開かれた 「ソウル交通公社非正規職闘争の意味と課題」討論会で、 「ソウル市、ソウル交通公社、労組はすべて2017年の計画に業務職の正規職転換はなかった」と明らかにした。 彼は「ソウル市と公社は1月初めに報道資料で 『既存の用役下請労働者たちが正規職転換された』と発表し、 労組も6月までは『正規職転換』を要求する業務職に『計画にない』と回答をしてきた」と話した。 また「昨年7月17日のソウル市の業務職転換発表は、突然で恩恵授与的な発表ではなく、 業務職が直接闘争して圧迫したことで勝ち取った結果」と強調した。

ソウル交通公社の業務職労働者たちは、2016年9月から直接雇用されたが、 相変らず低い差別と処遇に苦しんでいた。 100余人の業務職は昨年5月1日のメーデー集会に集まって 「正規職転換の約束を守れ」と要求した。 九宜駅事故の後にソウル市が出した「安全業務労働者正規職転換」を完全に守れということだった。 この集会を契機として50余人の業務職代表者が集まって「ソウル交通公社業務職協議体」を結成した。 業務職協議体はその後「差別ない正規職転換」を要求して各種の記者会見、1人デモ、朴元淳(パク・ウォンスン)市長との面談要請など、多様な闘争を作り出した。

こうした過程の中で朴元淳市長は2017年7月、 「労働尊重特別市2段階計画」を直接発表して、 ソウル市が投資・出資した11の機関で働く無期契約職2442人全員を正規職転換すると明らかにした。 パク市長は「同じ仕事をしても各種の差別を受けてきた非正規職の正規職化により、雇用構造を正す」と話した。 ソウル交通公社無期契約職の正規職転換規模は1000人以上で一番大きかった。 9月にはソウル交通公社と地下鉄3労組が正規職転換労使協議体を構成して議論も始めた。 だが労使間の意見の差が大きく、交渉決裂と再開を何度か繰り返した。 公社は8級の新設、勤続3年基準の差別転換など「差別ない正規職」とはほど遠い協議案を提示し、反発を買った。 労組の案も業務職の反発を買ったのは同じだった。

無期契約職の正規職転換に反対する正規職が勢力化

10月末、労組は一般職7級に転換するが、 1-2年昇進延期(ソウル地下鉄労組)とマイナス給与体系(都市鉄道労組)等の案を出した。 若い正規職組合員が市の正規職転換に反対して労組を相手として集団脱退の圧力をかけた時だった。 混乱の中で正規職と非正規職間の反目と対立は深刻になった。

業務職協議体のイム・ソンジェ共同代表は、ソウル市が役割を放棄したと指摘した。 イム代表は「最終決定権者はソウル市で、ソウル市の意志によって推進過程が変わるのに、 議論の主導者がそれぞれ異なる案を語り、協議案が何度も後退したのは明確な指針がなかったから」だと主張した。 彼は「正規職が心配する賃金蚕食など他の被害がないことを明確にするべきだった。 公社も労組も、ソウル市が予算を支援するとは言ったが、 まさにソウル市は予算関連の質問について労使が処理する問題だと押し付けたため、 正規職の反対は深刻だった」と説明した。

何度も後退する協議内容と一部正規職の深刻な反発の中で、 業務職協議体と少数の正規職労働者が共に「共同行動」を作った。 彼らは遅々として進まない交渉を批判して、昨年11月2日からソウル交通公社本社正門前でテント座り込みを始めた。 政策決定権を握るソウル市庁に行かなければならないという意見もあったが、 ターゲットを明確にしようと力を貸した。 彼らは62日間テント座り込みを続け、合意文が出た後の今年1月2日に座り込みを撤収した。 当時、座り込みに参加したある業務職労働者は 「行けばますます連帯の足も少なくなり、孤立した戦いを続けて、 後で勝利報告大会もうやむやにする程、皆が疲れていた」と伝えた。

共同行動招集権者のキム・デフン氏は 「正規職転換合意は賃金団体協議で労組の譲歩を要求する公社の攻撃カードにも作動した」とし 「2017年の最終日、すでに労組統合を議決したソウル地下鉄労組と都市鉄道労組は、 労組間、職種間の不和の火種を残したまま事実上、終わってしまった」とも診断した。

入社3年目程度の若い組合員たちが労組の正規職合意に不満を抱いて集団脱退する事件も起きた。 ソウル地下鉄労組のイ・ホヨン教宣室長は、正規職-非正規職の対立に見られることが負担になるとしつつも 「正規職転換の議論の過程を経て、100人ほどの組合員が脱退した」とし 「若い組合員を中心として組んだ労組事業もみんなおかしくなった」と話した。 イ教宣室長は「1月から若い組合員を対象として今回の合意の意味を説明し、 残念な部分について聞いている。 正規職転換に反対する彼らと青年世代の言語で労組存立の理由と連帯の価値などでコミュニケーションする作業が必要だと思う」といった。 続いて「業務職労働者とも会って、意外に対立が長期化していることに謝罪して、対話をしようとしている」と付け加えた。

「モデルケース」の中の弱点

当事者が協議の過程から抜けたことも批判される点だ。 不安定労働撤廃連帯のキム・ヘジン常任活動家は2月に開かれた 「ソウル交通公社非正規職闘争の意味と課題」討論会で、 「職群を統合した正規職転換を実現し、 政府のガイドラインを越える可能性を作ったという点でとても大きな意味がある」としつつも 「ただし、当事者が抜けたまま合意が形成された点は残念だ」と強調した。

「消防、電気、冷房、換気」の4分野の直営転換が後回しになったことも、今回の合意の限界とされる。 5-8号線はすでに都市鉄道ENGという子会社により駅施設整備業務を別途分離して運営している。 ソウル交通公社は2月初めに1-4号線の用役労働者をこの子会社に無期契約職として雇用するという意向を明らかにした。 労働者たちは「直営化は昨年、労使政代表者協議体で出てきた約束なのに、 この合意を後にして子会社に押し込もうとしている」と反発している。 都市鉄道ENGのユン・ドンイク事務局長は 「まず子会社に送って再議論するという形だが、 4分野の直営化を1年近く先延ばししており、 交通公社使用者側は人員も大幅に減らして業務職の正規職転換とは別に、採用方式も違うようにするといった。 ソウル市が外部から見える正規職化の成果に集中し、闘争で勝ち取った合意まで無力化している」と吐露した。

4分野の直営化は朴市長の約束の一つだった。 2016年5月に九宜駅惨事が発生した後、 朴元淳ソウル市長は 「市民の生命の安全に直結する業務、危険な業務の外注化に対しては直営する方案を段階的に推進する」と明らかにした。

九宜駅事故真相調査団も昨年発表した2次報告書で 「実際の現場設備および人員運用は非常に密接に関連しており、 消防設備だけを転換することは公社直営と子会社運営の分離による効率性の低下をそのまま維持する可能性が高い」とし 「公社直営転換は、少なくとも施設管理部門に関する限り、全体的に行われることが望ましい」とし、 4分野の直営転換を要求した。

機関士の自殺防止対策はあるが、金はないというソウル市

都市鉄道公社で9人の機関士が自ら命を絶つたびにソウル市は関連対策を注文し、再発防止のために努めると約束した。 機関士の死を防止するために2012年に「ソウル市地下鉄最適勤務委員会(最適勤務委)」が組まれた。 2014年には「機関士勤務環境改善団」、 2016年には「機関士死亡根本対策用意のための特別委員会(機関士特別委)」が順に用意された。 彼ら委員会は公社はもちろん、ソウル市の責任も糾弾して各主導者に勧告案を提示した。

最近の2016年8月に組まれた機関士特別委は、10か月の間、 都市鉄道公社機関士勤務環境改善関連履行点検および根本対策を用意した。 これを基礎として既に履行されていない対策を含む合計18の課題を提出した。 ソウル市は昨年6月に「機関士対策特別委員会運営結果」を発表し、 18件のうち10件は議論を完了し、履行されていない8件も統合公社が発足すれば共に検討できると自信を示した。

実際、2017年2月、ソウル市とソウル市都市鉄道公社、5678ソウル都市鉄道労組、5678ソウル都市鉄道労組常務本部は、 特別委の議論課題である2人乗務モデルの実施および機関士処遇改善に対する合意を実施した。 100人程度の機関士人員を追加で投入し、7号線大公園乗務事業所で2人乗務モデル実施を進めることが主な内容だ。 ただしここには「機関士特別委員会の国内外の比較調査の結果、 2人乗務ではなく1人乗務が現実的な代案と判断された場合には、 1人乗務による労働強度を考慮して1人乗務手当てへの転換を検討する」という但し書きが付けられた。

ソウル市は大々的な広報を始めた。 合意直後の2017年3月に報道資料を出し、 機関士104人を追加で確保して1人乗務で運営されている7号線一部区間に2人乗務制をモデル実施し、 機関士の勤務環境改善を推進すると明らかにした。 安全管理人員も2人ずつ合計556人に増やし、地下鉄保安官は50人を補充すると約束した。 今月中に5〜8号線ホーム安全扉(PSD)技術人材175人も追加で採用すると明らかにし、 大きな注目を引いた。

だがこうした合意は予算の制約でほとんど実行されなかった。 カン・ホウォン元事務局長は 「2人乗務モデル実施というタイトルを付けるのも心苦しい」とし 「短くは16分、長くは40分を資格もないインターンを乗せて通った。 事実上、機関士がインターンを教えて終わるというひどい試験事業だった」とした。 彼は「さらにあきれるのは、機関士の評判が良くないので、 2人乗務システムについては機関士の満足度が高くなかったと勝手に評価をしてしまった」とし 「昨年の特別委で単独勤務ができる人できちんとやってみようといったが、 費用がかかって難しいというのだから、何をしようとしているのかわからない」と吐露した。

5678ソウル都市鉄道労組のキム・テフン元常務本部長は、 ソウル市が予算責任を回避するために嘘をついていると主張した。 キム元常務本部長は 「ソウル市が自治行政部を理由にして自治行政部の公企業チームの担当課長と面談をした。 自治行政部ではソウル市と合意しろ、なぜ私たちにと言いながら、 ソウル市と合意していくつかの手続きさえ経たら自治行政部も当然認めて予算配分に協力するといった。 結局、これまでソウル市は自治行政部がやらないという理由を上げていた」と声を高めた。

勧告案履行完了? ソウル市の「一方的」な主張

誠実に対策を用意するという約束を破ったのは初めてではない。 2013年の相次ぐ機関士の自殺で、 ソウル市は人員を増員しようと労使特別合意を作成した。 だがいまだに78人の人員補充はなさずにいる。 カン・ホウォン元事務局長は 「また予算問題をあげて、他の方法を探してみようと言って取り出したのが構造調整」とし 「休日を増やす代わりに勤務表をさらに複雑に変えようという。 事故が増える可能性が高くなるだけなので反対した」と話した。

労-使-政が各々推薦した外部の人物で構成された最適勤務委は、 2012年7月から2013年09月まで11回にかけて7つの分野で約100種類の細部勧告案を提示した。 この案を報告された市長は各公社に「実行計画書」を設計しろと指示したが、 各実行計画書はあまり費用がかからない非争点領域に力を入れ、 予算が必要な勧告案は中長期計画に配置、改善の意志が疑われた。

労働環境健康研究所のハン・イニム研究員は2016年6月 「機関士の自殺実態と解決方案討論会」で、ソウル市への勧告案が失踪したと批判した。 ハン研究員は「ソウル市に経営評価システムのために発生する過度な競争と展示行政中心の現場運営という問題を改善するよう措置することと、 整備時間不足の問題を解決するために地下鉄延長運行の時間短縮を検討してくれと言ったが、 こうした勧告案に対してソウル市は答えていない」とした。

マスコミは言論は朴元淳ソウル市長の「親労働」の動きに賛辞を送ったりするが、 まさに当事者の労働者たちは今日も彼に対して約束の履行を要求している。 36歳の無期契約職青年の死と機関士の引き続いた自殺、 正規職と非正規職間の反目と対立。 すべて「労働尊重特別市」で起きた「過去と同じ現在」だ。〈ワーカーズ40号〉

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2018-04-27 05:33:30 / Last modified on 2018-04-27 05:48:01 Copyright: Default

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