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トランプ政権による北朝鮮への圧力政策と朝鮮半島情勢

[ワーカーズ]インターナショナル

ペ・ソンイン(韓神大) 2018.02.27 17:20

「米国優先主義(America First)」を提示して登場したトランプ政権は、 この1年間、国際社会に多くの議論と大きな混乱を提供した。 彼は就任直後から反移民政策を打ち出し、人種主義発言もはばからず、 米国に不利な条件で締結されたとして各種の多者協定を破棄するなど、 国際社会の規範も揺さぶった。 イラン核合意の無力化とエルサレムをイスラエルの首都と公式に認めて、 中東秩序も混乱に陥った。

東北アジア情勢は、どの地域よりも躍動的、かつ不安定な状況が続いている。 特に対北朝鮮政策においては一貫して国際社会の経済制裁を強化する最大の圧迫政策が続き、 今後の展望は予測しにくい状況だ。

[出処:Democracy Now]

トランプの「鼻血戦略」と北朝鮮の対応

平昌冬季オリンピック前後の東北アジア情勢が尋常ではない。 1月30日、就任後、初めての国政演説でトランプは「米本土威嚇」という言葉まで使って 北朝鮮への圧力を公言した。 北朝鮮爆撃の正当性を米国民に強弁することで、 トランプ政権に降り注ぐ対内外の非難を薄める一つの言辞のように聞こえる。 「軍事的措置」という言葉はなかったとはいえ、また鳥肌が立つような恐ろしさを感じた。 そこにウォームビアの両親と脱北者のチ・ソンホを招請したのも、 綿密に構成された脚本のように見える。 彼の演説の語調は2003年に北朝鮮を「悪の枢軸」と規定した ブッシュ元大統領の有名な演説を思い出させる。

しかし彼の演説は、すぐ前日の1月29日、 米上下両院が異例にも平昌オリンピック支持決議案を同時に発議したことを無視する行為だ。 支持決議には朝鮮半島の平和と安定に寄与することを望むというメッセージが含まれており、 これはどこに跳ねるかわからないトランプの突発行動を牽制する意図があったからだ。

トランプは彼の確固たる意志を証明するかのように、 駐韓米大使に内定していたビクター・チャを更迭した。 彼の更迭は、北朝鮮に対する「鼻血戦略(bloody nose、strike 制約的先制打撃)」を テーブルにあげたホワイトハウスの方針と、 韓米自由貿易協定(FTA)の部分的廃棄を要求するトランプ政府の立場に反対したためだというのが定説だ。 対北朝鮮強硬派のホワイトハウスと、対話を好む国務省の間の対立がまだ通常ではないことをもの語る。

「鼻血戦略」は2017年12月21日、英国のデイリーテレグラフ紙が報道して一般人にも知らされたトランプ政権の戦略だ。 この戦略は2017年4月、シリア政府軍をトマホークミサイルで攻撃して効果を上げた作戦に着眼して作られた戦略で、 朝鮮半島での全面戦争を触発することなく北朝鮮の主要地域を制限的に攻撃するというものだ。 簡単に言えば、喧嘩で相手の顔を一発拳で殴り、鼻血を流させればおじけづいて逃げていくことがあるが、 これを北朝鮮に期待する戦略だ。

まだ完成された戦略ではないうえ、その方式や効果については全体として批判的な意見が多い。 北朝鮮はシリアと違って核とミサイルを保有しており、軍事的報復を始めるかもしれないからだ。 北朝鮮が戦争の拡大を恐れて報復はできないという、ごく少数の意見もあるが、 北朝鮮の核開発と米朝関係の歴史を考慮すれば、 報復手段と方式は多いので全く妥当ではない判断だ。 問題は、この戦略が公開されることによって北朝鮮の対応が新しくなり、 それが2018年に入って朝鮮半島情勢を動揺させたことだ。

米国の不満と中国の好材料

北朝鮮は去る1月1日、金正恩(キム・ジョンウン)委員長が新年の辞で南北対話を提案し、 文在寅(ムン・ジェイン)政府はこれを受け入れた。 それもホワイトハウスと相談せずに。 トランプの立場としては、韓国政府が米国と一言の相談もなく北朝鮮の提案を受け入れたのは非常に驚くべきことであり、腹立たしいことだっただろう。 そのためトランプ政府の不満は、国政演説での対北朝鮮圧力とビクター・チャの退任などとして表れ、 それに対して文在寅政府は世論の悪化を押し切って南北単一チームを強く押し通す方式で対応した。 冬季オリンピックを活用して戦争の可能性をできるだけ下げるという切迫感がうかがえる。

その後、ペンス副大統領による平昌オリンピックでの不適切な行動、 天安艦が展示されている2艦隊司令部の訪問、 そして脱北者との面談などは、 南北関係の改善に対する強い不満と抗議の表現だった。 さらに日本安倍総理の韓米連合訓練再開発言などが加わり、 日米同盟の横暴は見苦しいものだった。

こうした状況では、北朝鮮労働党宣伝煽動部第1部の金与正(キム・ヨジョン)部長と ペンス米副大統領の会見の霧散は当然のなりゆきだった。 十分にわかってはいたが、北朝鮮は現場でペンス副大統領の反北朝鮮的な態度と無視戦略を確認し、 彼と対話をしても実益がないと判断したのだろう。 また、米国が北朝鮮との探索的な対話に開放的な立場であることを確認した以上、 急ぐ理由もなかった。

こうした情勢は、中国にとっては嬉しいものだろう。 中国がこれまでより高い水準で国連の北朝鮮制裁に参加したので北朝鮮の不満が高まっており、 その後、習近平特使が平壌を訪問した時に金正恩(キム・ジョンウン)と会えずに体面を失ったが、 現在の雰囲気は悪くない。

北朝鮮の南北関係改善と平和攻勢が韓米関係に緊張をもたらしていることは中国にとっては明らかに好材料だ。 いつまで続くかは分からないが、当面の朝鮮半島の緊張緩和は中国が望むものだ。 その上、トランプ行政府の鼻血戦略がその不適切さによって同意を得られず、水泡になる危機に置かれているのだから、 これより良いことはないだろう。

同じパターンの反復と判断の錯誤

朝鮮半島問題は同じパターンの反復だ。 米国と日本は、朝鮮半島の緊張状況を適切に活用している。 米国は朝鮮半島緊張を口実として日本や韓国との同盟を強化して東北アジアの地政学的な覇権を維持しようとしており、 日本は朝鮮半島の緊張を理由として戦争ができる「正常国家」に進もうとする。

北は核開発により体制認定-平和協定締結を勝ち取ろうとしている。 しかし平和協定を締結するには、北の核放棄と駐韓米軍の撤収が核心的な争点になる。 駐韓米軍と駐日米軍が米国の太平洋覇権の駆動軸であることを考えれば、 米国が朝鮮半島平和協定に同意するはずがない。 米国の太平洋における覇権の追求と東北アジアの平和は両立しないからだ。

したがって、国際的な制裁により窮地に追い込まれた北朝鮮は、 米国の介入を阻止して体制を維持するために 韓国から最小の代価で最大の利益を勝ち取ることに専念するほかはない。 米国の拡張抑制力に対抗している状況で、韓国を米国から引き離し、 南北の両者関係に引き込むことが最善の選択になるだろう。 それができなければ、米国の介入を最小化することが現段階では次善の選択だ。 これは韓米連合軍事演習がカギになるだろうが、 当分は金正恩委員長の対米平和攻勢がさらに本格的に駆使されると思われる。 金正恩委員長の対米平和攻勢は、 終局的には北朝鮮と米国との対話を実現させることに集中することになる。

さらに大きな問題は、トランプの「米国優先主義」が通商と経済の分野だけに適用されるものではないという点だ。 米国は、韓国、日本などの同盟国が米国の防衛提供に無賃乗車していると認識している。 その代価として通商圧力を加えたり、防衛費の分担交渉を考えている。 トランプのように「略奪的取り引き」にたけた商売人が、 韓米関係の優越的地位という好材料を使わないわけがない。

これに対して文在寅政府は北朝鮮核とミサイル問題を解決するためには、 韓米日の協調を緊密にしなければならないという立場だ。 特に北核問題の解決のためには韓米間協調が何よりも重要だと強調し、 米国から信頼の確認を受けようとしている。 だが韓米日軍事同盟が望ましいという立場ではない。 中国との関係は、経済協力と北核問題の平和的な解決のための戦略的協力という次元で重要だとしても、 何度も米国から不満が提起されている。 一言でいえば均衡外交を追求しようとしている。

文在寅政府の情勢分析と展望予測は非常に脆弱だ。 南北関係は、北核問題を解いていくとともに進むという好循環の構図を作るのが重要だが、 北米関係の改善がなければ現実的に不可能だ。 青瓦台は2017年11月7日の韓米首脳会談を起点として朝鮮半島情勢が安定すると展望したが、現実は正反対であった。 北朝鮮が核ミサイル実験を行い、核兵器保有国を宣言したため、 米朝間での交渉の余地が少なくなると見られているが、本当にそうだろうか? 科学的かつ慎重な判断が必要だ。

とにかく米国の経済的な圧力が始まった。 GMの撤収はその始まりだ。 米国は北と対話するふりをしながら、裏では軍事圧迫と経済的利益を同時に取ろうとし、韓米対立は激しくなるだろう。 韓国は今、トランプの「米国優先主義」の前に韓米同盟がいかにむなしい概念なのかを実感している。

韓米軍事合同訓練が再開されるのは時間の問題だ。 これと共に朝鮮半島に戦争が起きる可能性も高まるだろう。 「戦争が起きても韓半島で起きる」というトランプの言葉のように、 危機はいつでも勃発しかねず、これが帝国主義に対抗する闘争が重要である理由だ。 何としても戦争を防がなければならず、トランプと米国の支配勢力の戦争の企みに強く抵抗する労働者民衆の平和運動、反戦運動が切実だ。[ワーカーズ40号]

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


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