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「ヴァレオ、不当な会社に屈服すれば人生の意味はない」

[インタビュー] 24年働いた工場を不当解雇されたヴァレオマンド支会のチョン・ヨンギュ氏

慶州=パク・チュンヨプ記者 2013.07.16 17:35

どん どん どん どん

夜になると昼は聞こえなかった音が聞こえてくる。水と電気が切れた暗い工場 なので、さらに音には鋭敏だ。夏の夜の暑さと飛び込んでくる蚊で眠れずに、 音はさらに大きく聞こえる。どん どん どん どん-ヴァレオマンド支会座込場 に響く音は、どっしりと鳴る音は、どこか奇妙だった。眠ることを諦めると、 ふとこの音がどこから出てくるのか気になった。どこから出てくる音なのか、 調べるつもりであちこちの壁に耳をあててみた。

「その音、うるさいですか? 事務室のすぐ裏の後乗用工場にある千トン (1000t)プレスの音です」という声に後ろを振り返った。そこには灰色の軍帽を 深くかぶった解雇者がいた。ヴァレオ電装解雇者のチョン・ヨンギュ氏だった。 彼も暗い夜に眠れないようだった。「ジェネレータの中に入るローターポール (ジェネレータの付属品)をプレスするときの音です。初めて聞くとかなりうる さいでしょう」

携帯用発電機で灯る暗い白熱灯の下、睡眠をのがしたついでにチョン・ヨンギュ 氏と焼酎一杯傾けた。「解雇後には焼酎を一杯やらなければまったく眠れません」 という彼は、1987年から2010年に解雇されるまで24年間、千トンプレスで ローターポールをプレスしていたという。彼は24年を2交代制(夜昼二交代)の 工場で働いた。

▲勝てば何頭かの牛を捉えて「大きな祭り」を開きたいというチョン・ヨンギュ氏

「工場から遠ざかると世の中はとても静かでした。違う世の中に来ているよう でした。時折遠くから千トンの音を聞くと、それでも誰か仕事をしているんだ、 という気がして、むしろ気が楽になりました。そのうちに私が働いていた姿を 想像すると、私もそこでプレスをしていたはずなのに、という気もします」

言葉を結ぶ口のまわりが焼酎のように苦い。数十年の労働で、からだが慣れた チョン・ヨンギュ氏、また騒音性難聴でよく聞こえず、普段の話声も大きくなっ た他の解雇者たち。彼らにとって解雇は単に経済的な困難の問題を越える。

24年働いた会社を解雇
「不当解雇」、「自由な労組事務室利用と労組事務室原状復旧」の判決が出たが...

「会社は2月に金属労組組合員600人に職場閉鎖をしたのですが、ラインは全部 動いていました。核心の現場班長たちはすでに抱き込まれて、代替人員も使い、 生産を続けたのです。数日後からは主に労組色が少ない組合員を選別して復帰 させました。最後の58人は待機発令されました。残った人は金属労組の前現職 幹部で、復帰しろと言われても戻らなかった人たちです」

「会社は24億の損害賠償を告示して、58人を懲戒委員会に回付しました。 あまり多くの人が辞表を書くので、解雇は会社のイメージに負担になりました。 辞表を書けば損害賠償金を払えと言い、無給休職を強要しました」

会社は2010年7月、懲戒委員会に問題を提起して、参加しない15人を解雇した。 その後、2011年9月に停職になった組合員13人も結局解雇された。3か月後に、 また1人を解雇して、解雇者は合計29人。その後、懲戒委員会の構成人員に瑕疵 があったという事実が明らかになった。懲戒委員は、金属労組ヴァレオマンド 支会に組織転換して設立されたヴァレオ電装労組(企業別労組)だったが、ソウル 高等法院は労組転換の過程の問題で、ヴァレオ電装労組は無効だと判決した。 結局、解雇を決めた懲戒委員会の懲戒も無効と判定されたのだ。だが会社は 解雇者を復職させなかったばかりか「自由な労組事務室出入保障、労組事務室 原状復旧」しろという大邱地方裁判所慶州支院の判決も履行していない。

「解雇無効判決が出たのに、原職復帰でなく自由な労組事務室出入を要求して いるので、私たちもくやしいです。でも今回の判決がなければ会社の中に入る こともできなかったでしょう。警官がすぐ連行したでしょうが、今は裁判所の 判決があるので、手を出せないだけなんです。法は当然守るべきものですが、 これを守れと要求して闘争しているのですから... どれほど困ったでしょうか。 他の人が見れば悪口を言うでしょう。とても当然だからだと。私たちも、当然 復職を要求したいのですが、そうすると最終判決が出ていない状況で、警察が 無断占拠や業務妨害だと言って連行するでしょう。これが現実なんです」

「会社はヴァレオのフランス本社からも非難され、金属労組の幹部中心に解雇 する核心は労働組合です。金属を壊し、御用を作ったのに、今になって判決の とおりにまた金属を認めるわけにはいかないでしょう。誰が見ても、当然聞き 入れなければならないことを履行しない上、その他の弾圧も激しくて、心の中 が煮えくり返ります。狂いそうな状況です。飲料水、電気遮断。組合員に農薬 散布。これが人間がすることですか?」

▲9日と10日に労組事務室出入りを止めた警察と使用者側職員

現在、ヴァレオマンド支会労組の事務室は、解雇者と金属労組慶州支部の拡大 幹部まで、合計80人ほどが座り込みをしている。初めて事務室に入った時に、 会社は激しい制止と断電・断水を敢行するなどで、闘争の展望は不明だった。 だが次第に時間が経つと、闘争の行方がはっきりし始めた。会社の内部からも 同調する雰囲気ができ始めたのだ。

「また工場に入ると、とても感慨新たです。昔の同僚と会えるとは考えていま せんでした。実際に入り、ここで粘っていると、どうしても何年間も会えなかっ た人たちと会うようになります。会っても注目もしてくれませんが... 管理者 がそばにいると目をあわせず、後で電話がきます。「理解する。判決も出たの に、近い将来、一緒に働けるのではないか」と。これは力になります。初めは、 管理者、事務職職員、複数労組で設立された御用労組が激しく妨害しましたが、 今は適当にして、やむを得ず私たちを制止するふりをします。会社に言われて やむを得ず... 労組事務室に出入して労組活動を始めればやり直せます」

負ければ「人生自体を間違って生きることになる」
退職後になっても必ず勝つ

相変らず大法院の約束のない判決を待っている。いくらかかっても、解雇者が 簡単には闘争を放棄できない理由は、職場が単に金儲けの手段だからではない からだろう。「個人的にはこの闘争にどんな意味がありますか」という最後の 質問に、彼は目を曇らせる。だが声ははっきりしている。

▲乗用工場の施設を紹介するチョン・ヨンギュ氏。施設への愛着がにじみ出る

「今は労組で役員をせずにいます。以前は10年間、役員生活をしましたが、自 ら労組観を持って活動していましたし、それが職場生活の中で一番充ち足りて いて、人生で一番よかったと考えて生きてきました… 会社に屈服すれば生きて いる意味がありません。人生そのものを間違って生きたことになるからです。 必ず勝たなければなりません。10年かかっても、退職後になっても、誤りは 必ず整理しなければなりません」

「労組の歴史は23年でした。その過程で多くの幹部がいましたが、みんな会社 に屈服して、残ったのは29人です。私のように労組活動をした人には、とても 悲しい現実です。われわれの労働界が政府や労働弾圧を克服できない理由は、 正に資本に屈服するからです。幹部が苦しい時期になると、突破しようとせず 屈服するのですから、一般の組合員はどうでしょうか。うまく行っている時、 闘士だの烈士だの言いますが、ほとんどの組合幹部はそれを克服できずに屈服 するのが現実です。金属でも民主労総でも、幹部がその調子できちんと回って いきますか。私たちの実力がこの程度だと認めなければなりません」

勝てば何頭かの牛を捉えて「大きな祭り」を開きたいというチョン・ヨンギュ 氏。「もし大法院で勝訴しても、会社はまた懲戒するだろう」とし、もし解雇 されても彼は労組の組合員として生きていきたいという。(記事提携=ニュースミン)

どん どん どん どん どん-鳴り続ける音に、小さな声も埋もれた。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2013-07-17 02:27:34 / Last modified on 2013-07-17 02:27:34 Copyright: Default

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