本文の先頭へ
LNJ Logo 韓国:国家情報院のKT労組破壊文書、追加であらわれる
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 1613123053539St...
Status: published
View


国家情報院のKT労組破壊文書、追加であらわれる

国家情報院がKT労組委員長の民主労組候補動向把握後に牽制…2か月で10回

パク・タソル記者 2021.02.01 11:55

[出処:メディア忠清]

李明博政権の時に国家情報院が2008年のKT労組委員長選挙と2009年の民主労総脱退戦略に具体的に介入していた文書が追加であらわれた。 国家情報院は民主派候補陣営を監視して対応戦略を用意し、 彼らの当選を阻止するために別名「穏健派」と分類した候補者の一本化を誘導して、 選挙の後には民主労総脱退宣言を支持する労組の声明を直接企画した。

この文書はKT労働人権センターのチョ・テウク執行委員長が 国家情報院に情報公開請求を要求して新しく受け取った文書で、 国家情報院は前後方でKT労組の選挙とその後は執行部に介入し、 民主労総脱退という目的を達成した。 資料の内容は検察の捜査ですでに明らかになったわけだが、 実際の文書がわかり、いくつかの新しい事実があらわれた。

資料によれば、国家情報院は2008年10月から同年12月3日に行われた 「第10代KT労組委員長選挙」関連の動向を把握して使用者側候補にこれを提供する一方、 該当候補を当選させるために使用者側に支援を求めて積極的に選挙介入に動いた。 青瓦台がKT労組委員長選挙で候補別に指向と選挙運動実態などの報告を指示し、 2018年10月から12月まで国家情報院は4回関連動向を総合報告した。

特に国家情報院は、KT労組委員長選挙で剛性候補者と分類された チョ・テウク執行委員長をターゲットにして見守った。 チョ執行委員長は当時、KT構造調整に反対して闘争意志を明らかにした候補で、 彼が所属するグループのKT民主同志会(民同会)は国家情報院の監視と牽制の対象だった。 チョ・テウク執行委員長の動向把握は12月9日の決選投票前まで 10月22日、10月30日、11月4日、11月7日、11月13日、11月17日、11月20、11月21日、12月1日、12月8日まで10回にわたって行われた。

10月30日、国家情報院は「チョ・テウクKT労組委員長立候補予想者動向」の報告書で 「極左派の『民同会』(全国会員180人)候補のチョ・テウクは20%内外の支持率を押し上げるため 雇用不安が台頭したKTプラザ1500人を対象として悪意の世論戦を続け」ていると書き 「1500人が10人ずつ抱き込めば選挙で勝利できるという内部の判断により、 同調勢力拡散に注力」しているといった。

国家情報院はこの文書でKT労組選挙に介入する意もまた明らかにしている。 国家情報院はIMF以後、人員削減、完全民営化などの構造調整を経て、 2001年以後KT労組は会社の影響力の下で自主性を失ったと判断し、 「KT労組選挙は会社で好む委員長候補が決定されれば人物とは無関係に当選が可能で、 内部の情緒上『民同会』出身候補は当選の可能性がない」、 「政府の労働政策に応じる人物イの委員長候補に決定するように指導が必要だ」と明らかにした。 該当判断は当時、イ・ドンゴル前雇用労働部長官室政策補佐官が作成した文書などを基礎に出されたと見られる。

イ・ドンゴル前政策補佐官はKT労組7代委員長(2000年〜2002年)だった人物で、 2007年には李明博当時大統領選候補選挙対策本部で活動し、 2008年には雇用労働部長官室政策補佐官にスカウトされた。 彼はKT労使関係先進化(民主労総脱退)実践方案等の文書を作成するなど、 民主労総所属労組の脱退と国民労総設立などを率い、 国家情報院から1億5700万ウォンを受け取り 昨年、国家情報院政治工作控訴審で懲役1年・執行猶予2年を宣告された。

国家情報院、KT労組委員長候補一本化に直接動く

国家情報院は2008年11月13日に作成された資料で 委員長候補をあげ、チョ・テウク執行委員長を「剛性」候補に分類した。 国家情報院は「剛性の民主同志会側は、 チョ・テウク(西部本部所属)を委員長候補に確定」したとし、 「チョ・テウクは11月12日から14日まで休暇を取って 全国支社巡回をするなどして勢力集めに突入」したと書いた。 続いて「穏健指向の立候補者の一本化が失敗したため、 候補の乱立による混戦が予想」されるとも憂慮した。

国家情報院は委員長選挙2日前の12月1日まで、 チョ・テウク執行委員長への緊張を解かない。 国家情報院は自己分析の結果、チョ執行委員長の得票は20%内外に終わると展望して 「チョ・テウク候補の『底辺の隅々まで調べ』て集票が成功すれば、 決選投票の余地もあるが、(…)決選投票まで行っても異変の可能性は高くないと予想する」と書いた。 ただし「委員長選挙の時にチョ・テウク候補が善戦すれば、 12月5日の下部組織選挙でも剛性派が躍進する可能性は排除できず、 2010年の複数労組許容を前にして労労対立や 使用者側の労務管理上の困難が加重する展望」と若干の憂慮を表わした。

だが国家情報院の予測を破り、 チョ・テウク執行委員長は1次選挙で42.75%の得票率で 12月9日に予定された決選投票に進出するが、 国家情報院はこれを分析した報告書(2008.12.8.作成)で 「XXX(他の決選候補)候補が当選しても相当数の組合員が強勢候補を支持した点を意識して、 これまでの協力的な労使関係を持続・維持することは容易でないだろう」とし 「これに伴い、民主労総からの脱退および連盟費納付中断など、 労使関係の地形を変えられる急激な路線変更には 相当期間が必要になるものと展望」した。

同日作成された「KT労組委員長選挙状況分析および展望」の報告書では、 当選の可能性が高い穏健派新執行部に対する国家情報院の指針が用意された。 国家情報院は「当院(国家情報院)では(…) 新執行部の活動方向が合理路線から大きく逸脱しないように事前に指導して(…) 労務管理が経営上の最優先課題であることを認識させ、 労務管理に万全(人事労務ライン交替および補強など)を期するように要求し(…) 民同会側の勢力を牽制・萎縮させる方案を用意するように促す一方(…) 長期的に韓国で2番目に大きいKT労組が労働界の地形を変えて 労使関係先進化の先導事業場になるように、 民主労総からの脱退など労働運動の路線変化を誘導していく」とし、 KT労組の民主労総脱退戦略を構築する。

選挙の後、12月11日に作成された 「穏健候補KT労組委員長当選ための当院支援活動実態」には、 選挙の過程で国家情報院がどんな活動を行ったのかが要約されている。 文書によれば 「当院ではKT労組委員長選挙で穏健候補が当選するように 強勢候補の選挙戦略を把握して情報提供するなどの側面支援」をしたとし、 「3人の候補が乱立したことで穏健候補の当選が不透明になると予想してきたのは、 候補の中心人物に連鎖接触、陣営間の出逢いを周旋し、候補一本化を誘導した」と書いた。 一本化が難しくなると 「8年間維持してきた協力的な労使関係の枠組みが崩れないように、自主的に辞任することを説得」もした。 また一本化できない状態で使用者側候補の当選を支援するために 「民同会側候補の選挙戦略および選挙運動動向を把握して候補陣営に提供し(…) 当選に必要な使用者側の支援要望事項を把握して使用者側労務ラインに伝え、 使用者側の積極的な支援を誘導した」と書いた。

チョ・テウク執行委員長は今回の追加資料について 「国民の血税で運営される国家情報機関が、 単位事業場の労組選挙にまで介入して労働三権を蹂躙した。 この過程で国家情報院がKT労務ラインを思いのままに動かしたことも確認された」とし 「2009年、2014年にKTで大規模構造調整があったが、 この時、労組と使用者側が密室合意をした。 国家情報院はKTをテコとして労働改悪の手先に活用したので、 KT構造調整にも関与したものと見る。 この部分に対する捜査がさらに必要だ」といった。

また「国家情報院がKT労組破壊になぜ死活をかけたのか、追加調査が必要だ」とし 「さまざまな理由があるだろうが、 KT労組が民主労組と呼ばれた時期には、 国家情報院がKTで盗監聴をするのが難しい状況になった。 組合員が容認しないことだが、 その時からKTには絶対に民主労組ができてはいけないという考えを 政府次元で深く共有したものと見られる」と話した。

使用者側候補をつけて本格的に民主労総脱退指示

委員長選挙以後にはKT労組の民主労総からの脱退のための手綱をさらに引きしめる。 2009年3月27日の文書で 「5月中に民主労総から脱退するように促す一方」、 「労組指導部が民主労総脱退を決行できるように、 強硬派の牽制など現場労務管理を一層強化するように」するとした。

KT労組が民主労総脱退を決める組合員賛否投票を実施して民主労総脱退を可決した2009年7月17日の直前にも、 脱退支持を誘導する声明などを発表するように操縦した。 組合員投票がある7月が近くなると、 国家情報院は脱退賛成の雰囲気を拡散させ、 脱退反対勢力を抑圧する雰囲気を造成した。 KT労組の民主労総からの脱退は「政府次元」で推進され保護されたものだったが、 2009年7月7日に作成された 「KT労組民労総脱退推進日程および措置必要事項」で国家情報院は 「反執行部および民労総の脱退妨害のために活動を遮断する後続措置が必要」で、 「政府次元でKT本社および主要支社に対する施設保護」を要請すると明らかにした。

民同会がKT労組組合員に 「民労総脱退と同時にKT労組は解体され、 大規模構造調整につながる」という内容の携帯メールを発送し、 これに対応してKT前労組幹部に民主労総脱退支持声明を発表するように誘導するが、 声明の内容はすべて国家情報院が企画した。

控訴時効満了…労組破壊関連者の処罰なく

一方、国家情報院のKT労組破壊に責任がある者は何の処罰も受けないか、 他の容疑で軽い処罰に終わった。 2009年1月に就任した李錫采(イ・ソクチェ)前KT会長は就任後、 チョ・テウク執行委員長を業務妨害、建造物侵入罪など5つの容疑で告訴して、 社宅を与えずに慶南道沙川の三千浦支社に発令状を出すなど、 チョ執行委員長に積極的な嫌がらせをした。 チョ執行委員長も李前会長を不当労働行為などで相互告訴したが、すべて無嫌疑処理された。 国家情報院の労組破壊が水面上に出た時は、 KT次元の不当労働行為控訴時効が満了した後だった。

「KT労使関係先進化(民主労総脱退)実践方案」等の文書を作成した 雇用労働部長官室のイ・ドンゴル元政策補佐官は、 懲役1年と執行猶予2年(社会奉仕160時間命令)を宣告されて終わり、 元世勲(ウォン・セフン)元国家情報院長は昨年の控訴審判決で 1審と同じ懲役7年を宣告された。彼らの主要容疑は「国庫損失」だった。

最も上で労組破壊を指示した李明博(イ・ミョンバク)元大統領も、 労組破壊の容疑では処罰されなかった。 李明博政権の時、 国家情報院と青瓦台が数百件の文書を共有して民主労総瓦解作業に動き、 2009年から2011年の間に21の労組が民主労総から脱退した。

KT労組破壊の一環として解雇された人々の人生もまだ復旧されていない。 チョ・テウク執行委員長は1989年にKTに入社し、2010年に懲戒解雇され復職できなかった。 チョ執行委員長は 「国家情報院がKT労組民主労総脱退工作を推進する過程で自分が解雇された」とし 国家情報院に情報公開請求を申請したし、 昨年12月から2か月ほどにわたって国家情報院から19件の文書を受け取った。 チョ執行委員長は請求した資料ははるかに多かったが、 国家情報院は資料がないとか、請求対象が包括的で漠然としているという理由で 部分的に資料を送ってきた。

チョ執行委員長は「国家であれ、KTであれ、 自分たちの不法行為で不当に労働者が解雇された問題に対して謝罪して、 原状回復措置しなければならない」とし 「最近3回目の情報公開請求を要求した。 最後まで真実を究明するために闘争する。 国家情報院が作成した文書を読むと非正規職運動、青年組織まですべて介入して、 韓国の労働運動を妨害したことが確認される。 これらの内容は全面的に公開されなければならない」と強調した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2021-02-12 18:44:13 / Last modified on 2021-02-12 18:44:15 Copyright: Default

関連記事キーワード



世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について