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また雇用不安が襲った韓進重工業…「売却すれば40%の人員削減憂慮」

政府の対策不在、「85号クレーンをなくすため造船所閉鎖か」

ウン・ヘジン記者 2021.02.03 14:05

過去2回の大規模構造調整危機を経た韓進重工業の労働者が再び雇用不安に包まれた。 昨年12月、韓進重工業の主債権銀行である産業銀行などが造船業と無関係な 私募ファンドを売却優先交渉対象者に選定したためだ。 労働界と地域社会は今回の売却が成功すれば 影島造船所の閉鎖による不動産開発が行われると批判している。 3年間、造船業を維持する方案が売却条件に含まれているが、 その後、労働者の雇用も不透明だ。 労組は会社の構造調整計画により40%以上の人員削減がなされると見ている。 韓進重工業は2002年に650人整理解雇、2011年に228人希望退職・172人整理解雇通知などで問題になった事業場だ。

[出処:チャムセサン資料写真]

影島造船所40%人員削減憂慮
「産業銀行は3年後の造船所閉鎖に免罪符」

昨年12月22日、産業銀行などで構成された韓進重工業債権者協議会は、 韓進重工業売却優先交渉対象者として東部建設コンソーシアムを選定した。 その後、釜山市が23日に影島造船所閉鎖と不動産開発、これによる雇用問題などを指摘して『遺憾』立場を示すと、 東部建設コンソーシアムは24日に報道資料を出して 「影島造船所敷地は釜山でも、造船業界でも象徴的なところなので、 開発ではなく造船業を営むための所にする」と明らかにした。 しかし金属労組韓進重工業支会のシム・ジノ支会長は 労働者の雇用不安は変わらないと話す。

「東部建設の事実上の親会社である韓国土地信託は、 不動産開発で利益をあげる会社です。 造船業を維持しないと疑うしかありません。 産業銀行は売却条件として3年以上造船業を維持するという内容を付けました。 3年維持した後には造船所を整理してもいいという免罪符を与えたのと同じです」

東部建設コンソーシアムは売却条件のとおり、本入札提案書に 「造船業雇用維持最低3年」という条項を入れたが、 その後はどうなるかわからないということだ。 韓進重工業支会はこのような内容で優先交渉者を発表した後、 1月から釜山駅を中心として平日1〜2時間ずつ対市民宣伝戦を行っている。

支会は東部建設が韓進重工業を買収すれば合計400人ほどの人員が減るものと見ている。 管理者が共有した携帯メールを支会が確認した結果、 会社は正規職の場合、2023年までに40%減員を目標にする具体的な構造調整計画をたてた。 現在、影島造船所には正規職が約1千人、非正規職を入れれば約1500人が働いている。 希望退職の具体的な日程もあった。 昨年6月12日から18日まで希望退職申込書を受け付け、 これに続いて6月30日に希望退職を実施するという内容だった。 遊休人員が管理者569人のうち219人、生産職477人のうち177人と記されている。 このうち生産職165人は定年退職である程度自然減少する予定だが、 管理職定年退職予定者は18人に過ぎなかった。 労組は売却以後に会社が該当の計画を本格的に進めるものと予想している。

「会社の構造調整計画は中断している状態だが、 東部建設が買収をすればまず構造調整が進められると思われます。 会社が昨年6月に正規職遊休人員が管理職219人、生産職177人と明らかにしました。 生産職は昨年12月末に50人程度が退職し、 今年も50人程度が退職する予定です。 管理職群にはこれから3年間退職する人がなく、遊休人員と見ているのです。 韓進重工業使用者側は造船業の人員構造の割合は、 生産職が6、管理職が3〜4であるべきで、 現在は逆構造なので管理職を減らさなければならないということが会社の論理です。 この論理のとおりなら、600〜700人程度まで人員を減らすということです」

支会は東部建設への売却を中断し、 韓進重工業の競争力を高めなければと指摘する。 売却が避けられない場合、少なくとも造船所を運営する企業が韓進重工業を買収し、 雇用維持を約束しなければならないということだ。 もし影島造船所が閉鎖されると関連の100余りの協力業者を含む 釜山市の2千ほどの雇用もまた影響を受けるようになる。

「韓進重工業が中型造船所で中国に価格競争力で負けているのは事実です。 バルク船は競争力が低くても、コンテナ船、特殊目的船、タンク船などには 競争力がないわけではありません。 韓国造船所の技術力がないわけでもないのに、 資本は価格で遅れている面だけを見ます。 韓進重工業は協力業者をなど2千の雇用を維持しています。 協力業者は100社ほどになります。 造船所が廃業するとこれら全てが影響を受けるでしょう。 造船業の青写真を描いて雇用維持を約束する企業が買収すれば受け入れることもできるでしょう。」

[出処:金属労組]

政府、昨年は造船産業に方案なし

構造調整の問題は韓進重工業だけではない。 造船業業界の状況の頻繁な騰落で、造船業界全体が構造調整された。 労組は大型造船所の場合、LNG船などで競争力があるが、 中型造船所では中国に価格競争力が負けており、 政府の造船業政策が重要だと話す。 そのために金属労組は造船所の維持と運営、発展のための労政あるいは 労使政間の業種別交渉を要求しているが、進んでいない。 造船業の発展戦略がきちんとなされず、 財閥中心の構造調整が進められていると労組は指摘する。

金属労組のキム・テジョン政策局長は、造船産業発展方向に関して 「昨年下半期、造船業に大規模な受注契約があった。 今年はビッグ3(現代重工、サムスン重工業、大宇造船海洋)の峠だろう。 2022年以後には回復するものと見られる。 しかしその後にどう運営するのか、政府の悩みが必要」だとし、 「非正規職ではなく、正規職労働者を中心として雇用再編をする企業が造船会社を買収しなければならない。 これは会社ごとに対策が必要なものではなく、 政府の造船政策自体を変えなければならない問題」と指摘した。

政府は2018年に造船産業活力向上方案、2019年造船産業活力向上方案補完対策など、 造船産業の発展に関する戦略を出した。 しかし昨年には何の方案も提出しなかった。 キム・テジョン政策局長は 「2018年、2019年に政府は造船業関連発展戦略を出した。 しかし昨年にはその資料さえ提出しなかった。 大型造船所には競争力があるとしても、 中小造船所は価格競争力面で中国に負けるなど、 自生的な発展が難しい構造だ。 大型造船所が発展しても中型造船所は生き残らない。 中小造船所をどう発展させるのかについての政府の戦略が必要だ」と説明した。

また彼は政府の造船産業方案と共に 「労政、労使政の業種別交渉がなされなければならない。 造船業種労働組合連帯は8つの事業場(現代重工、大宇造船海洋、サムスン重工業、ソンドン造船海洋、STX造船海洋、韓進重工業、現代三湖重工業、現代尾浦造船)で構成されているが、 交渉は進められていない。 その間、財閥だけに恩恵が行く売却がなされ、構造調整が進められている」と批判した。

8年前の労組破壊の議論以後も
「使用者側、御用労組の代表労組地位獲得に力」

現在、金属労組は韓進重工業売却関連の議論から排除されている。 代表交渉労組ではないためだ。 8年前の2012年、金属労組が交渉権を奪われたのも「労組破壊」ためだった。 民主労総釜山本部のキム・ジンスク指導委員がクレーンに上がった2011年、 そして企業労組が設立された2012年に韓進重工業は、 労組破壊で有名な労務法人創造コンサルティングに合計9回にわたり、 10億3400万ウォンを入金した。 過去1千人にのぼる金属労組組合員は当時200人に減ったと韓進重工業支会のシム・ジノ支会長は説明した。

「2012年の整理解雇の戦いが終わる前に労組の執行部選挙がありました。 民主派側が勝ち、御用労組勢力が負けました。 会社は創造コンサルティングの諮問を受けて、複数労組法が施行されたので 御用労組を作ったのでしょう。 執行部選挙で敗北した彼らが企業労組を作りました。 そして会社は物量がないので休業しなければとそう言いました。 御用労組に行けば休業させないという調子でした。 そして当時、民主労総組合員は200人しか残らず、企業労組は800人になりました。 たった2か月で企業労組と会社は2009年から2012年の4年間の 賃金および団体協約に合意して、現在まで交渉権を維持しています。」

昨年には金属労組韓進重工業支会が多数労組になった。 しかし交渉窓口一本化手続き開始日の前後に事務技術職118人が集団で加入して、 企業労組が再び交渉代表労組の地位を得た。 そのため支会は昨年2月7日、地方労働委員会(地労委)に過半数労組に対する異議申請をした。 支会は地労委に「これまで労使は2019年の団体協約で 代理職級以上の事務職郡の労組加入を制限してきたが、 企業労組の組合員の多くが脱退して交渉代表労組の地位を確保するために使用者の助けを受け、 組合員数算定基準日の昨年1月16日の直前に事務技術職勤労者らを大挙加入させた」と反論した。

しかし昨年2月、4月末、れぞれ地方労働委員会、中央労働委員会は 「二つの労組が提出した組合員名簿の勤労者のうち、 組合員資格を認められない勤労者は発見できない」とし、 11人違いで企業労組の主張を認めた。 各労組が労働委員会に提出した組合員名簿の労働者数は 金属労組316人、企業労組323人だった。

「昨年、私たちの執行部ができた時、さらに40〜50人程度の組合員がいれば 逆転していたでしょう。 それで熱心に組織しました。 しかし昨年、組合員数算定基準日の直前に、 120人程度の管理職が御用労組に集団加入をしました。 労働委員会関係者もできないと言っても受け入れられません。」

[出処:チャムセサン資料写真]

シム・ジノ支会長はパク・チャンス烈士の2周期が終わる頃に韓進重工業に入社し、 28年目になった。 彼はこれまでの韓進重工業整理解雇闘争を思い出すと、 まっさきに「85号クレーン」を思い出すという。 85号クレーンは2003年、解雇者復職、損害賠償仮差押え撤回などを要求してキム・ジュイク烈士が、 2011年にキム・ジンスク指導委員も整理解雇者復職を要求して高空籠城をした所だ。 闘争の中心だったこのクレーンは、 キム・ジンスク指導委員が地面を踏んだ後に会社により撤去された。

「93年に入社しました。 2003年のキム・ジュイク烈士闘争からは会社にいました。 一番残念なのが85号クレーンです。 民主労組闘争の象徴で、2003年、2011年の整理解雇闘争でも クレーンは闘争の求心点でした。 会社はそのクレーンをキム・ジンスク指導委員が降りてくるとすぐになくしました。 一番多くのことがあったクレーンだったのに。 資本が労働運動の象徴性が強い韓進重工業影島造船所自体を 85号クレーンなくすように整理してもいいという考えに対し、 さらに危機感を感じています。」

一方、35年間、韓進重工業解雇者であるキム・ジンスク氏は 「解雇者復職、雇用安定ない韓進重工業売却反対」を要求して約一か月間、 釜山市湖浦駅から青瓦台までの徒歩デモ行進を続けている。 現在キム・ジンスク解雇者と労働者、市民など徒歩デモ行進参加者は京畿道地域に入り、 2月7日に青瓦台に到着する予定だ。 同じ要求をしながら青瓦台前でハンストを始めた7人は44日目の現在、3人が残っている。 医療スタッフは血糖と電解質数値が非正常に下がっており、 栄養失調状態が続いているなど、ハンスト者の健康は非常に危険な状態だと明らかにした。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2021-02-10 03:38:29 / Last modified on 2021-02-10 03:38:32 Copyright: Default

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