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  1. 19共同宣言2周年、宿題をせず余計なことをする政府

    [朝鮮半島縄跳び] 8千万民族と世界に明言した約束はどこに行ったのか?

    チャン・ヒェギョン(社会変革労働者党政策委員長) 2020.09.19 12:24

「同胞の皆さん、金正恩(キム・ジョンウン)委員長と私は去る4月27日に 板門店で会い、熱く抱擁しました。 両首脳は韓半島でもはや戦争はなく、 新しい平和の時代が開かれたことを8000万のわが民族と世界に向けて 厳粛に明言しました。(...) 今日、金正恩委員長と私は 韓半島における戦争の恐怖と武力衝突の危険を完全に除去する措置に具体的に合意しました」(9月19日、文在寅大統領平壌演説より)

2年前の今日9月19日、 文在寅大統領は4.27板門店宣言の約束のとおりに平壌を訪問して9.19平壌宣言に合意し、 韓国大統領としては初めて平壌綾羅島の5.1競技場で平壌市民に演説した。 「朝鮮半島には新しい平和の時代が開かれ、 戦争の恐怖を除去する措置に具体的に合意した」とし、 「朝鮮半島平和の到来」を約束した。

[出処:http://www.korea.kr/]

しかし2年経った現在、この約束は空文句になってしまった。 「4.27板門店宣言(1次南北首脳会談) → 6.12シンガポール共同声明(1次北米首脳会談) → 9.19平壌宣言(2次南北首脳会談)」で好循環の構造を描いた 南北と米朝の関係改善の流れが2019年2月、 ハノイ・ノーディール(2次北米首脳会談)以後に反転したためだ。 今年の6月に北朝鮮の開城南北共同連絡事務所の爆破措置が象徴するように、 南北関係は完全に不通になった。

しかし朝鮮半島平和の到来が「空文句」になったのは、 ハノイ・ノーディール、つまり米朝関係改善の膠着のためだけではない。 朝鮮半島の「戦争か-平和か」を分ける軸は、米朝関係という単一軸だけでなく、 米中関係、南北関係、韓米関係、北中関係、さらにロシアや日本の対朝鮮半島政策などの さまざまな軸によって規定されており、 これらの軸は互いにからんで独自の軸を形成しているためだ。

たとえば、米朝関係の膠着は、米朝関係だけに影響するのではなく、 南北関係にも影響する。 代表的には2018年以後も米朝交渉が進展せず、 米国は細かい対北朝鮮制裁で南北交流と協力を事あるごとに妨害し、 南北関係の進展を妨害した。 しかしこれだけで現南北関係の梗塞をすべて説明することはできない。 南北鉄道連結などの南北交流は米国の妨害で推進が難しくなったが、 「軍事分野」は韓国政府の意志にかかっていたためだ。

9.19宣言、南北間の終戦宣言になったか?

南北は4.17板門店宣言で、 朝鮮半島平和のための軍事的緊張状態を解消することにした。9.19平壌宣言では 「板門店宣言軍事分野履行合意書」を付属合意書に採択し、 南北間で実質的に「終戦宣言」をしたという意味まで与えられた。

実際、南北は板門店宣言の第2項で 「南と北は朝鮮半島での尖鋭な軍事的緊張状態を緩和して、 戦争の危険を実質的に解消するために共同で努力していく」と合意した。 また「南と北は地上と海上、空中をはじめとするすべての空間で 軍事的緊張と衝突の根源になる相手方に対する一切の敵対行為を全面中止」することにした。 第3項では「南と北は朝鮮半島の恒久的で強固な平和体制を構築するために積極的に協力していく」と合意し、 「不可侵の合意を再確認して厳格に遵守」と言い、 「軍事的緊張が解消されて互いの軍事的信頼が実質的に構築されることによって 段階的に軍縮を実現していく」ことにした。

板門店宣言軍事分野履行合意書では、 「双方は相手方を狙う大規模な軍事演習や武力増強の問題などに対して 『南北軍事共同委員会』を稼動させて協議していく」ことにした。 また「段階的な軍縮を実現していくことに合意した板門店宣言を具現するために、 これに関係する多様な実行対策の協議を続け」ることにした。 すなわち、9.19宣言は 「非武装地帯をはじめとする対峙地域での軍事的敵対関係終息」を宣言し、 「相手を狙う大規模な軍事演習と武力増強問題」、 そして「段階的な軍縮のための実行計画」を協議していくことにした。9.19宣言を南北間終戦宣言と呼ぶ理由もこのためだった。

しかし2年経った、9.19軍事合意は反故になってしまった。 共同警備区域(JSA)の非武装化、相互監視警戒所(GP)の撤収などは行われたが、 あとは進んでいない。 現在、南北間のすべての通信線と対話テーブルは中断され、 相手方を狙った大規模軍事演習や武力増強問題、段階的軍縮問題は 協議されるどころか、南北は激しい軍備競争状態にある。

反故になった韓米連合軍事演習中断、段階的軍縮

北朝鮮はすでに昨年から放射砲武器システムの高度化のための試験発射を何回も施行しており、 新しく建造したSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)潜水艦の公開もした。 韓国はさらに先進的(?)だった。 「双方は相手方を狙った大規模軍事演習や武力増強問題」を協議することにしたが、 昨年、文在寅政府は 北朝鮮が体制威嚇と受け止めて一番警戒している韓米連合軍事演習を続けた。 「段階的軍縮」も無視し、イミョンパククネ政府の時よりもさらに大きな規模で国防費を増額してきた(2020年国防予算は史上初めで50兆ウォンを突破)。 結局、昨年7月、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は ミサイル発射を指導する場で 「南朝鮮の当局者が人々の前では平和の握手をして合意文書をいじりまわして帰ったが、 最新型武器を導入して米国と共同軍事演習をするという二重的態度を見せている」とし 「一日も早く4月と9月の『正しい姿勢』に戻れ」と勧言した。

こうした勧言にもかかわらず、文在寅政府は 今年も連合訓練と軍備増強を続けた。 6月の北朝鮮の強硬行動で南北関係が一触即発の危機状況に置かれた8月、 それも米軍内のコロナ確診者が発生するような危険なコロナ情勢であるにもかかわらず、 米爆撃機が6機も同時出撃する連合軍事演習を実施した。 今年の8月に国防部は北朝鮮の放射砲を捉えて首都圏を防御する 「韓国型アイアンドーム(Iron Dome、長射程砲迎撃体系)」の開発に本格着手する 「2021〜2025国防中期計画」を確定した。 そのため今後5年間で総額300兆7000億ウォンを投入する予定だ。

文在寅政府はこう言うかもしれない。 南北合意で「双方は相手方を狙った大規模軍事演習および武力増強問題」を「協議」することにしたので、 連合軍事演習が南北合意の違反ではないという話だ。 段階的軍縮も「双方は軍事的緊張解消および信頼構築により」という前提条件がついたので、 米朝-南北関係に進展がなく、この前提条件が解消されなかったので問題にならないと。

しかし、米朝関係と南北関係改善で、韓米連合軍事演習問題はとても重要な意味を持っている。 北朝鮮はこれまで韓米連合訓練に深い憂慮を表明してきたが、 これは最近発行されたボブ・ウッドワードの〈激怒〉(Rage)でも再確認される。 ハノイ・ノーディール以後、昨年板門店での米朝会見で トランプ大統領が韓米連合軍事演習中断を約束したが、 これを守らなかったため金正恩委員長は昨年8月に トランプ大統領に送った親書で強い不満を表出したという。 失望した金正恩委員長は 板門店の米朝会見の合意事項だった北米実務会談をしまい込み、 その後米朝関係は膠着状態におちいった。 北朝鮮は先に言及した7月の金正恩委員長の 対南『勧言』を通じて韓国に厳しく忠告した。 韓米両国に向かって連合軍事演習を中断しろと同じシグナルを送ったのだ。 しかしいわゆるならず者国家と呼ばれる帝国主義国家の米国は、 板門店宣言と平壌宣言に合意はした文在寅政府まで、 こうした北朝鮮の要求を徹底的に無視したのだ。

軍備増強問題も同じだ。 韓国と北朝鮮の軍事力格差が一層広がっている。 今年の7月、米国の軍事力評価機関のグローバルファイアーパワー(GFP)によれば、 韓国は国家別軍事力順位で世界6位だった。 これは昨年の7位より一段階上がった。 これに比べて北朝鮮は今年は25位で、前年より7階段落ちた。 これは韓国が軍備増強をしなくても南北間の軍事力の差はとても大きいことを語っている。 北朝鮮が中国と共に韓国を狙った合同軍事演習を敢行しない状況、 南北間の顕著な軍事力の格差は南北間の力の非対称の状況を克明に見せている。 ある者は、北朝鮮は核を保有しているではないかと言う。

しかし、これは韓国は米国の核の傘の下にいることを忘却している。 したがって北朝鮮側が北朝鮮に対する先制核攻撃までを含む韓米連合軍事演習に対し、 韓国側の軍備増強に対して南北合意違反だと強い不信の眼差しを送るのはあまりにも当然だ。 これは韓国が先導的に韓米連合軍事演習の中断と軍備増強を中断することで、 北朝鮮が韓国に対する不信をたたみ、対話の場に出ることができ、 南北間の段階的軍縮の基盤を用意できるということを意味する。 したがって、4.27板門店宣言と9.19宣言が反故になったのは 文在寅政府の責任が大きい。

無駄なあがきは、もうそろそろやめる時

それでも政府はずっとむなしいあがきを続けている。 文在寅大統領は 今年の光復節の祝辞で家畜伝染病とコロナ19、集中豪雨などに言及し 「南北生命共同体」を強調した。 「韓半島で生きるすべての人の生命と安全を保障することが、 今の時代の安保であり、平和だ」と力説した。 南北生命共同体のための方案として防疫協力、保健医療と山林協力などを提案し、 特に南北の鉄道連結の重要性を強調した。 「南北がすでに合意した事項を一つ一つ点検して実践しながら 『平和と共同繁栄の朝鮮半島』に向かって進む」と明らかにした。 北朝鮮に「南北協力をやり直そう」と提案したのだ。

7月に新しく任命された李仁栄(イ・イニョン)統一部長官も、 南北物々交換推進(北朝鮮制裁で結局失敗に終わる)、 人道的支援協力推進、南北交流協力を活性化するための 「南北交流協力法改正案」など、 人道的・経済的な交流の活性化で南北関係の膠着を突破する動きを見せている。 彼が8月の韓米連合軍事演習中断を要求したり、 国防部の「2021〜2025国防中期計画」を問題にしたという報道は見られない。

文在寅政府は 韓国の先導的軍備凍結や縮小のように、独自でできることはせず、 そして韓米連合軍事演習を中断させようという努力もしないまま、 また、これまで米国の北朝鮮制裁を突破しようとする強い意志も見せなかったにもかかわらず、 南北交流協力推進で南北関係を改善するという。 北朝鮮は軍事的・政治的な問題で韓国に対して門戸を閉ざしているのに、 小さな交流協力のために扉をあけろ、開けることができると話す。 これは現実を主観的に解釈してつまらない夢を見たり、 北朝鮮と韓国の国民を欺瞞することでしかない。 完全「むなしいあがき」だ。

一言付け加えよう。 文在寅大統領は8.15の慶祝辞で 南北生命共同体を強調した。 しかし南北合意を守らないことで生まれる朝鮮半島の戦争危機の放置こそ、 南北生命共同体を威嚇する最大の威嚇ではないのか? これを解決するとし、文在寅大統領が率いた9.19共同宣言2周年に、 果たして8千万民族と世界に明言した約束はどこに行ったのか、十分に振り返るべきだ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2020-09-27 06:07:49 / Last modified on 2020-09-27 06:07:52 Copyright: Default

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