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統合進歩党の解散決定は不当だがひとつの契機

[寄稿]進歩党解散審判事態の主体的責任

チョ・ドニ(蔚山住民センター代表) 2014.12.24 17:30

憲法裁判官8人は朴槿恵政権の下手人か

私は憲法裁判所の統合進歩党解散判決の後、憲法を読んでみた。 私が読んだ憲法は赤い表示の小冊子だったが、一か月ほど前、道端に落ちているのを拾ったものだ。

それはちょうど70年代に北から南に撒かれたビラのようにやぼったかった。 私は道端で拾った小冊子を後で読むつもりでカバンに入れていたが、それを取り出してみたのだ。 道端で拾った憲法の小冊子は赤い表紙だった。 2013年9月に憲法裁判所が発行し、トンガン文化社が印刷した非売品だったが、 憲法裁判所が全国に無料配布したようだった。 すでに1年前に全国民に「憲法には政党を解散できる条項があります」と知らせる目的でもあったかのように。

憲法第1章総綱の第8条4項は 「政党の目的又は活動が、民主的基本秩序に違背するときは、政府は、憲法裁判所にその解散を提訴することができ、政党は、憲法裁判所の審判により解散される」 と書かれており、政府と憲法裁判所はこの法の通りにしたのだった。

しかし疑問がわいた。 「政党の目的又は活動が、民主的基本秩序に違背するとき」にその政党を解散できると言うが、 統合進歩党の目的が何だったのか気になりはじめ、 民主的基本秩序に反する統合進歩党の活動があったのかという疑問がわいたのだ。

もちろん政府と憲法裁判所の8人は、進歩党の目的が大韓民国を北朝鮮式社会主義にすることで、そのために活動したという根拠をあげて解散を決定した。 それで私はまた統合進歩党の綱領を調べてみないわけにはいかず、進歩党の綱領を探して掘出してみたが、 どこにも北朝鮮式社会主義を作る目的と言えるような文章は見つからなかった。 それもそのはずで、統合進歩党は綱領を改正する時、進歩陣営から綱領が内容的に後退したという批判を受けたほどだった。

統合進歩党の綱領は「働く人が主人になる世の中に向かって」という宣言で、 進歩党がこの土地の労働者・民衆の闘争の歴史に続けていくべき精神と進む道を明らかにし、 綱領本文で「私たちが作る世の中」を47項目で構成して提示していた。 私は、もしかすると「従北」的な表現でもあるのではないかと目をこすって調べてみたが、そんな文章はみつからなかった。 44項に米軍を撤収させるという立場があるが、米軍撤収の要求はすでに主体思想ができる前からすべての進歩陣営が「ヤンキー・ゴーホーム!」を叫んで闘争してきたわけで、 これを進歩党解散の根拠に提示することはできないようだ。

そして憲法裁判所は目的と活動の根拠を、ありもしないのにデッチ上げたと言われる組織の会であるRO会合と、そこでの発言を唯一の根拠にした。 この事件はまだ大法院判決が出ていない未決状態なのにだ。 現在、8人が朴槿恵政権の下手人で「盲従」という姿ではなければ何だろうか。

統合進歩党解散審判事態の主体的な責任はないか

今日の統合進歩党の解散審判に対する不当性に共感し、政治的に共同対応することを認めつつも、大衆的な怒りはないようだ。 もし、以前のように政治的統合力が強く大衆的な信頼があった時に政府が民主労働党を解散させようとしたとすればどうだっただろうか?

憲法による政党解散の理由とは全く無関係な統合進歩党の道徳性と内部民主主義の問題まであげつらって 抹殺しようとする政府と憲法裁判所、そして保守マスコミに対して私たちが言える言葉は 「お前たちに言われたくないね」という言葉だけだ。

私は民主労働党の時代から合法的な制度政党活動に参加したことはなかった。 そのため、言いたい言葉はあるとしても、責任という次元では私もまた無縁ではない。

主体的な次元で一番問題なのは、何百回も言われている「覇権主義」の問題だ。 それによって「覇権」に不利な勢力から「覇権勢力」に対して「従北主義」のレッテルが貼られ始め、 結局、分裂に分裂を繰り返して昨今の事態を迎えたといっても過言ではない。

残念なことに「従北」という用語は今や内部批判の用語を越え、保守が進歩を攻撃する時に使われる最も強力なイデオロギー攻撃の武器になってしまい、 その武器によって進歩党が殺害されたのだ。 あるいは自分の足を自分で刺したも同然だ。

そのような次元で見れば、統合進歩党は主導者が過去を反省して出直す闘争の過程であり、死なずに生き返る過程だった。 しかし保守政権は進歩党抹殺に動き、党を解散させてしまったのだ。

危機を機会に! 新しい勢力作りには意味がある

ある者はこれについて、統合進歩党の大統領候補だった李正姫(イ・ジョンヒ)に対する朴槿恵(パク・クネ)の復讐だと話す。 それでも問題はそこでは終わらないという点だ。 彼女の復讐は復讐を超え、いわゆる「自由民主主義の秩序」を否定する「政治勢力」の種を絶つという意志が敷かれていることが問題だ。

他方で誰もが判断するように、朴槿恵政権は統合進歩党解散審判政局を形成し、自分の政治危機局面をこっそりと抜けだそうとしている。 しかし進歩陣営は共通して危機を感じつつ、大衆的な怒りはあまり強く形成されていない。 以前からの対立と不信が問題だ。

だが大衆的な怒りはいつでも爆発のように起きる。 朴槿恵政権が無理に労働者運動と進歩的社会運動への弾圧を加えれば、大衆的怒りは大きく起きるだろう。 大義のためになら、保守陣営から進歩陣営に対する攻撃に対抗する共同戦線でまた会わなければならない。

危機を機会にして、統合進歩党解散事態を新しい政治勢力誕生の契機にしなければならない。 その意味で、新しい勢力を作り直すことは意味あることだ。 過去の覇権主義の誤りを克服して労働者民衆すべてがうまくいくようにする活動に進むことを期待する。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2014-12-24 22:50:41 / Last modified on 2014-12-24 22:50:42 Copyright: Default

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